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バーウィック丸の内|店舗出店ケーススタディ

  • 2024年8月20日

“モノとコト”を追求した新しい店づくり。ビジネス街に狙いを定めた直営店戦略と、魅力的な商品開発で若い世代を開拓する。

バーウィック丸の内
BMS株式会社

バーウィック丸の内

2023年10月、革靴ブランド「Berwick1707」の直営店「バーウィック丸の内」が、有楽町から丸の内に移転してオープンした。店舗面積を3倍以上に増やし、カフェラウンジや映えスポットを設けるなど、商品購入に加えて体験を重視した店づくりが特徴である。近年は苦戦が続く革靴市場において、若い世代への訴求を強化して好評を博してきたバーウィック。新時代を見据えた直営店戦略、さらにはSNS時代における直営店の可能性について、運営会社・BMS商品管理グループ グループ長の粟野陽介氏に話をうかがった。

バーウィック丸の内

靴専門店にカフェ&映えスポット、モノとコトが融合した新感覚店舗

革靴ブランド「Berwick(バーウィック)1707」は、昨年10月、直営店である「バーウィック丸の内」を有楽町から丸の内に移転し、大幅増床してオープンした。

バーウィックは、スペイン南東部の靴産地であるアルマンサで1991年に誕生した。ブランド名の「バーウィック1707」は、1707年にスペイン継承戦争の一部となるアルマンサの戦いで功績を上げ、ヨーロッパにその名を知らしめた「バーウィック公爵」に由来する。1707という数字から、一見すると老舗ブランドのような印象を受けるが、実際には創業33年の比較的新しいブランドである。グッドイヤーウエルト製法を取り入れた職人技で作られる紳士靴が主力。日本への上陸は2010年。2019年からはBMSが総代理店となり、百貨店への卸販売、オンラインショップのほか、東京・赤坂と大阪・淀屋橋にも直営店を展開している。

丸の内店に足を踏み入れて驚くのは、店内の広さである。奥行きの長さにまず圧倒される。店舗面積は移転前の3倍以上となる67坪に拡張され、広々とした店内には直営店最大級の豊富な商品ラインナップが並ぶ。

そして、丸の内店の一番の特徴は、直営店初のカフェラウンジが併設されていることだ。店舗面積の5分の1強を占める15坪の広さがあり、商品購入者やアプリ会員がゆったりとくつろげる空間になっている。「航空会社のラウンジをイメージしてつくりました。アパレルのハイブランドにはカフェラウンジ併設の店もありますが、靴業界では我々が先駆けではないでしょうか」と話すのは、同ブランドの店舗開発やブランディングを担当するBMS商品管理グループ グループ長の粟野陽介氏だ。他にも、靴のフィッティング用にアンティークソファを3席置くなど、そこに座って“映え写真”を撮りたくなるようなスペースを設けている。

また、国内ではこれまで紳士靴を中心に展開していたが、今回の丸の内店の移転オープンを機に、レディースシューズの販売を新たに始めた。特に週末は、来店客の大半がカップル客であり、女性客からレディースシューズの取り扱いの要望が多かったことから導入を決めたという。

丸の内店が目指すのは、「モノとコトの融合」である。「価格以上の良いモノが買えるだけでなく、豊富な品揃えから選ぶ、計測器を使い最適なサイズを選ぶ、カフェでリラックスする、映える写真を撮る、そうした“コト”も体験できる店づくりを意識しました。そのため、靴を陳列していない“遊びのスペース”が多くなっています。買い物した後に店の奥のカフェで飲み物を提供されることは、ヨーロッパではよくある話です。それを丸の内店で実現することで、お客様には単なる靴屋というより、ヨーロッパにいるような感覚を味わっていただけたら。そうした体験がお客様の感動を呼び、次の来店にもつながると考えています」と粟野氏は話す。

バーウィック丸の内

バーウィック丸の内

バーウィック丸の内

梅田よりも淀屋橋、新宿よりも赤坂、ビジネスパーソンを狙った立地戦略

バーウィックが日本で直営店展開を始めたのは、つい最近の2019年からである。それ以前は日本における総代理店が存在せず、販売店によって仕様や価格に一貫性がない状態が続いていた。同年、BMSがバーウィックの独占販売権を獲得すると、国内マーケットの整備とブランディング強化に乗り出した。その一環として、ブランドの世界観を表現できる場として直営店展開を始めたのである。

では、ここからは、バーウィックの直営店戦略と、バーウィック丸の内が移転オープンするに至った経緯を見ていこう。

2019年、1号店「バーウィック大阪」を淀屋橋にオープンした。大阪からスタートしたのは、BMSが本社を置く地元だからである。翌2020年3月には、2号店となる旧丸の内店を有楽町にオープン。その直後に新型コロナウイルスの感染が拡大し、オープン1週間で臨時休業に追い込まれたものの、再開してからは、コロナ禍にもかかわらず売上は堅調に伸びていったという。2022年4月には、3号店となる「バーウィック赤坂」をオープンした。これらの3店舗はどれも18~20坪の大きさで、ブランド直営店としては一般的な店舗面積と言える。

立地の選択で重視するのは、「ターゲットであるビジネスパーソンに近い場所」だという。そうであれば、例えば大阪なら梅田も有力候補になりそうなものだが、なぜ淀屋橋だったのだろうか。「梅田には大企業も集積していますが、どちらかと言えば新宿のイメージに近く、一般のお客様も多い土地柄です。それよりも、純粋にオフィスビルが立ち並ぶ淀屋橋のほうがターゲットに効果的に訴求できると判断しました」と粟野氏。また、赤坂を選んだ理由については、「赤坂は放送局や外資系企業のほか、大使館や領事館が集中するエリアです。近くには議員会館もあります。比較的高収入のビジネスパーソンや富裕層にアプローチできると考えました」と話す。

バーウィック丸の内

バーウィック丸の内

バーウィック丸の内

「日本一の紳士靴売り場をつくる!」、67坪という広さが決め手

旧丸の内店の移転が検討され始めたのは、2022年3月頃のことである。きっかけは、店が大繁盛し、想定を超える来店客で店内が手狭になってしまったからだ。粟野氏は当時の様子をふり返ってこう話す。「5人の販売員がそれぞれのお客様を接客し、さらにお待ちになるお客様もいて、店内は歩くスペースもないくらい混雑していました。繁盛店だったので本当は移転したくなかったのですが、お客様にご迷惑をおかけしないためにも拡張しようと」。折しも、入居する有楽町ビルが翌年10月に取り壊されることが決まり、移転を決めたという。

同じ丸の内界隈で探していたところ、偶然見つけたのが、現在入居する複合施設「丸の内MY PLAZA(明治安田生命ビル)」1階の物件だった。表通りからは一本入った立地とはいえ、67坪という広さが魅力だったという。「あの辺は、空物件が出たとしても一般的な店舗サイズの20坪でしょうし、それでは十分な接客やブランド世界観の表現ができません。60坪強の広さを確保できたのは幸運でした」と粟野氏は話す。

店づくりは、バーウィック本社と何度も協議を重ねて進めていった。本社からは、「日本一の紳士靴売り場をつくりたい」という強い意向が伝えられたという。インテリアや家具をどうするのか、レイアウトをどうするのか、店づくりの構想だけで1年以上を費やした。その中で出てきたコンセプトが、前述の「モノとコトの融合」だったのである。

移転までの約1年間を粟野氏はこのようにふり返る。「スケジュール管理やコスト管理など大変なことはありましたが、楽しみながら店づくりができました。移転オープンにこぎつけたときは感無量でした」。

バーウィック丸の内

SNSを使った若者への訴求が奏功、品揃え豊富な直営店に可能性あり

近年、靴の販売額は下落傾向にある。健康志向の高まりから、ウォーキングやランニングなどのスポーツシューズやスニーカーの需要は高まっているものの、市場全体を押し上げるには至っていないのが現状である。一方、革靴は、ビジネスのカジュアル化が進むにつれスニーカー出勤が増えたり、リモートワークの広がりでビジネス向けの靴を履く人が減ったりして、苦戦を強いられている。革靴市場には老舗ブランドも多く存在しており、「そのような中で我々がどのようなプレゼンスを示せるのか、それが課題でした」と粟野氏は話す。

そこで着目したのが若い世代だった。「若い世代はスニーカーを好む傾向があり、そもそも革靴ブランドに馴染みがありません。また、ブランド広告の主戦場だったテレビや雑誌を見る機会も減っています。それは逆に言えば、彼らの情報収集ツールであるSNSを駆使すれば、若い世代に効果的に訴求することができるのです」と粟野氏。加えて、「ここ1~2年はスニーカー人気の反動なのか、若い世代でスニーカーから革靴へ一部揺り戻しが起きつつある」とも指摘する。バーウィックには願ってもない追い風である。

革靴に向かう若い世代にフィットしたのが、バーウィックの人気アイテムの一つ、ローファーだった。ローファーなら、パーカーにパンツという装いにも合わせやすい。革靴は「硬くて履きにくい」と感じる人もいるが、バーウィックは底材を従来よりも軽く柔らかい素材に変えることで、「まるでスニーカーのような履き心地のローファー」を開発した。これがSNSを活用した情報発信と相まって、若い世代に受け入れられ、コロナ禍以降の販売好調につながったのではないかと粟野氏は分析している。

SNSを使って消費者自身が膨大な情報に触れることができる今、バイヤーの目利きに頼る百貨店売場や、複数ブランドを取り扱う靴屋よりも、豊富な品揃えを誇る単一ブランドの直営店に可能性があると粟野氏は考えている。「消費者が持つ情報が少なかった時代は、いろんなブランドの中から売場の店員さんに薦めてもらいながら選んでいましたが、SNSを通じて消費者が情報に精通している今は、すでに欲しいブランドの目星はついているので、たくさんの種類の中から自分で選びたい。そうした背景もあり、ブランド直営店が今、すごく伸びていると思います」。

今後の直営店の出店について尋ねると、「あと3店舗くらいは出店し、5~6店舗体制にしたい」と粟野氏。東京か横浜、名古屋、福岡あたりを検討しているという。もちろん、コトを意識した店づくりを進化させていく。「お客様の期待を裏切らない良質なモノをつくり、提供していくことはブランドとしての役割です。それプラス、体験という名のコトの提供を追求していきたい」と粟野氏は抱負を語った。

企業名 BMS株式会社
施設 バーウィック丸の内
所在地 東京都千代田区丸の内2-1-1 「丸の内MY PLAZA(明治安田生命ビル)」1階
アクセス 東京メトロ「二重橋前〈丸の内〉」駅直結
営業時間 11:00~20:30
規模 約67坪
オープン 2023年10月14日
CBRE業務 施設賃貸借仲介業務

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上記内容は BZ空間誌 2024年夏季号 掲載記事 です。本ページへの転載時に一部加筆修正している場合がございます。

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