CBREのコンサルティングが全国各地の主要商業集積地を分析
全国の商業集積地には、数多くの賃貸店舗ビルが存在しているが、これまで、このプロパティタイプの不動産市況は体系的に調査されてこなかった。その理由として、店舗施設や契約形態の個別性の高さが挙げられるが、それに手をこまねいて投資判断を行うためのデータ整備が進まず、都市型店舗ビルの投資市場形成への一つの足かせとなっていたといえる。
このような状況を背景に、CBREでは近年、全国主要商業エリアのマーケットデータ整備を進めており、今回、この「店舗マーケット情報」でその一端を紹介する。
対象エリア | ||
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東 京 | 銀 座 | 中央区銀座1~8丁目 |
表参道 | 港区南青山3・5丁目、北青山3丁目、渋谷区神宮前1,3~6丁目 | |
新 宿 | 新宿2~4丁目、西新宿1丁目 | |
渋 谷 | 渋谷1丁目、道玄坂1・2丁目、宇田川町、神南1丁目 | |
池 袋 | 西池袋1丁目、東池袋1丁目、南池袋1丁目 | |
大阪市 | 梅田 | 鶴野町、茶屋町、芝田1・2丁目、大深町、角田町、小松原町、梅田1~3丁目、 曽根崎2丁目、曽根崎新地1・2丁目、堂島1・2丁目、堂島浜1・2丁目 |
心斎橋 | 心斎橋筋1・2丁目、西心斎橋1・2丁目、南船場3・4丁目、宗右衛門町、 北堀江1丁目、南堀江1丁目 |
|
名古屋市 | 栄 | 中区栄1~5丁目、大須1~3丁目 |
福岡 | 天神 | 中央区天神1~4丁目、大名1・2丁目 |
定 義 | |
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平均募集賃料 | 募集空室ごと、募集賃料+共益費 |
募集面積 | 3,6,9,12月末時点の空室面積 |
路面相場 | 各エリア『オフィスジャパン』誌で発表している店舗賃料相場より掲載地図の道の色は最新号に準じており過去年では道の色が異なる個所がある |
全国
「『銀座』や『表参道』など都市型店舗ビルのマーケットデータはないのか?」最近、このような相談を良く受ける。投資マーケットにおける商業施設の市場規模を見ると、J-REIT、私募ファンド共に資産額ベースで20%程度のシェアを占めている。しかし、その内訳は、郊外型ショッピングセンターが中心と思われる。では、なぜ今、冒頭のような「都市部」に目を向け始めている人が増えているのか? 都市型商業ビルは個別性が非常に強く、投資判断を行うために必要なマーケットデータもほとんど存在しないことから、"投資対象とすることが難しい"プロパティタイプであると考えられる。しかし、我々が日々クライアントと接している中で感じることは、投資マーケット全般がなかなか活性化しない現状において、投資対象として「都市型店舗ビル」が注目されてきているのではないかということである。そこで弊社では、投資判断を行うために必要なマーケットデータが存在すれば「都市型商業ビル」を投資対象として検討しやすくなると考え、全国主要商業エリアのマーケットデータの整備を行った。
まず初めに、全国主要商業エリアの「募集面積指数」を見てみる。「募集面積指数」は、店舗用途として一般に募集に出ている面積を積み上げ、指数化したものである。この「募集面積」は、「需要」と「供給」のバランスを示す「空室率」を算出する際の「分子」(分母は市場規模)にあたる数値である。マーケットに募集物件がどの程度あるのか? 増加傾向なのか減少傾向なのか? を示す指標と言える。
【図表1】は、東京の主要商業5エリアの募集面積指数(2005Q1銀座の、地階~地上階の総募集面積を100とした指数)の推移を示したものである。まず、直近2012Q1時点の各エリアの序列は、「銀座」の募集面積が最も多く、次いで「表参道」「渋谷」「新宿」の順になり、「池袋」が最も少ない。次に、2005年以降の推移を見ると、「銀座」と「表参道」は景況感にあわせて大きく変動しているが、「新宿」と「池袋」は、この2エリアに比べると緩やかな変動となっている。また、「渋谷」は、「銀座」「表参道」と「新宿」「池袋」の中間に位置していることがわかる。
次に、地方都市について見てみる。【図表2】は、地方都市における主要商業5エリアの募集面積指数の推移で、やはり2005Q1銀座の総募集面積を100として示したものである。既述の東京と同じように、2012Q1時点の各エリアの序列を見ると、「心斎橋」の募集面積が最も多く、次いで「天神」「栄」「梅田」の順になっており、「名駅」が最も少ないエリアである。次に、推移を見ると、「心斎橋」「天神」「栄」「梅田」は景況感にあわせて変動している一方で、「名駅」は変動が少ないエリアとなっている。
続いて、賃料水準について見てみる。【図表3】は、各エリアの一等地における1階部分の路面賃料相場レンジを示したものである。グラフでは「銀座」「表参道」「新宿」の3エリアは上値が20万円/坪以上を示し、全国の中で最も賃料水準が高いエリアとなっている。そして、この3エリアに続くエリアは「心斎橋」となっており、次いで東京の「渋谷」「池袋」、大阪の「梅田」、名古屋の「名駅」「栄」、福岡の「天神」となっている。
このように、全国の各商業エリアのデータを並べてみると、「募集面積が少ないエリア・多いエリアはどこか?」、「募集面積指数が安定的に推移しているエリアはどこか?」、「賃料水準が高いエリアはどこか?」といった商業マーケットの全体像を見ることができる。
全国
「『銀座』や『表参道』など都市型店舗ビルのマーケットデータはないのか?」最近、このような相談を良く受ける。投資マーケットにおける商業施設の市場規模を見ると、J-REIT、私募ファンド共に資産額ベースで20%程度のシェアを占めている。しかし、その内訳は、郊外型ショッピングセンターが中心と思われる。では、なぜ今、冒頭のような「都市部」に目を向け始めている人が増えているのか? 都市型商業ビルは個別性が非常に強く、投資判断を行うために必要なマーケットデータもほとんど存在しないことから、"投資対象とすることが難しい"プロパティタイプであると考えられる。しかし、我々が日々クライアントと接している中で感じることは、投資マーケット全般がなかなか活性化しない現状において、投資対象として「都市型店舗ビル」が注目されてきているのではないかということである。そこで弊社では、投資判断を行うために必要なマーケットデータが存在すれば「都市型商業ビル」を投資対象として検討しやすくなると考え、全国主要商業エリアのマーケットデータの整備を行った。
まず初めに、全国主要商業エリアの「募集面積指数」を見てみる。「募集面積指数」は、店舗用途として一般に募集に出ている面積を積み上げ、指数化したものである。この「募集面積」は、「需要」と「供給」のバランスを示す「空室率」を算出する際の「分子」(分母は市場規模)にあたる数値である。マーケットに募集物件がどの程度あるのか? 増加傾向なのか減少傾向なのか? を示す指標と言える。
【図表1】は、東京の主要商業5エリアの募集面積指数(2005Q1銀座の、地階~地上階の総募集面積を100とした指数)の推移を示したものである。まず、直近2012Q1時点の各エリアの序列は、「銀座」の募集面積が最も多く、次いで「表参道」「渋谷」「新宿」の順になり、「池袋」が最も少ない。次に、2005年以降の推移を見ると、「銀座」と「表参道」は景況感にあわせて大きく変動しているが、「新宿」と「池袋」は、この2エリアに比べると緩やかな変動となっている。また、「渋谷」は、「銀座」「表参道」と「新宿」「池袋」の中間に位置していることがわかる。
次に、地方都市について見てみる。【図表2】は、地方都市における主要商業5エリアの募集面積指数の推移で、やはり2005Q1銀座の総募集面積を100として示したものである。既述の東京と同じように、2012Q1時点の各エリアの序列を見ると、「心斎橋」の募集面積が最も多く、次いで「天神」「栄」「梅田」の順になっており、「名駅」が最も少ないエリアである。次に、推移を見ると、「心斎橋」「天神」「栄」「梅田」は景況感にあわせて変動している一方で、「名駅」は変動が少ないエリアとなっている。
続いて、賃料水準について見てみる。【図表3】は、各エリアの一等地における1階部分の路面賃料相場レンジを示したものである。グラフでは「銀座」「表参道」「新宿」の3エリアは上値が20万円/坪以上を示し、全国の中で最も賃料水準が高いエリアとなっている。そして、この3エリアに続くエリアは「心斎橋」となっており、次いで東京の「渋谷」「池袋」、大阪の「梅田」、名古屋の「名駅」「栄」、福岡の「天神」となっている。
このように、全国の各商業エリアのデータを並べてみると、「募集面積が少ないエリア・多いエリアはどこか?」、「募集面積指数が安定的に推移しているエリアはどこか?」、「賃料水準が高いエリアはどこか?」といった商業マーケットの全体像を見ることができる。