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M&A時代の資産所有

不動産戦略の明確化が、M&A時代を切り抜ける新しい武器になる

みずほ信託銀行
コンサルティング部 企業コンサルティング開発チーム
室長 秋山 和之

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M&Aは、時代の必然として拡大

昨今、企業の分割や売却が活発になっていますが、その契機になったのは、2001年に実施された企業再編税制です。組織再編の根幹を担う税制改正により、まずは企業グループ内を再編成する手法が確立したといえます。

それから現在に至るまで、著しく市場は変化していますが、こうした動きは決して一過性のものではなく、これから、さらに拡大していくものと思われます。今日のように、日本の産業の成長性が高成長から低成長時代へと移行し、業界により成長度が違うといった図式になると、成熟産業は自力だけでは立ち行かなくなり、競合他社との協力・共存、つまりM&Aが不可欠となっていきます。

加えて、これまで成熟産業を中心に普及・浸透してきたM&Aが、事業拡大のための時間を買いたい成長産業にとっても、コンペティターを有効に取り込む手段として活用されるのが大きな流れになっています。昨今世間を騒がしているIT企業の成長戦略を鑑みれば、これは説明するまでもないでしょう。

企業規模別に見ても、中小企業なら世代交代にともなう後継者の問題、大企業なら生き残りをかけたシェア争いの競争激化と、M&Aを活用する背景は、その深みを増しています。また、オールドエコノミーな企業群は、再編の必然性に加え、簿価が低くしかも優良な不動産を持っているためM&Aのターゲットになりやすく、医薬のようにグローバル展開が不可欠な業界では、再編のためのニーズが強まっています。つまり、成長産業も成熟産業も、大企業も中小企業も、そして業種・業態を問わず、M&Aが今後も活発化することは、まさに必然といえるのです。

日本型M&Aの構築が急務

今後の国内のM&Aを考える上で重要なのは、米国のような敵対的買収の潮流は早い段階で乗り越え、調和や共存を目的としたスタイルを構築することでしょう。「和を持って尊し」として、労使が協調的な関係を保つ日本の文化のなかでは、従業員の労働意欲が低下しては企業の価値は下がるばかりです。

相手と十分な対話をする時間を設けるなど、法律や環境の整備を進め、完全自由化には一定の歯止めをかけた上で、双方がノウハウを出し合うようなM&Aが理想的でしょう。ですから、完全な買収というより、共同で会社分割や新会社を設立し、人やノウハウを出しあうスタイルが、増えていくのではないでしょうか。

不動産所有の四つのポイント

さて、こうした企業再編・M&A時代における資産所有のあり方についてですが、大きく四つのポイントが考えられます。

(1)不動産に関する会計・税務・法務の動きに注視が必要。

2004年3月期に早期適用が導入された減損会計を筆頭に、近年、不動産を巡る会計の税務・法務の流れが大きく変化しています。これに伴い、各企業は自社の所有不動産の価値を見直し、同時に要・不要の区分けを行うことで、不動産戦略に注目し始めたといえます。

一方、これまでは不動産に先高感がなかったため売買マーケットが冷え切っていましたが、J-REITや私募ファンドなど買い手も増え、不動産を処分するにはいい時期を迎えています。つまり両者の思惑がうまくかみ合い、今がターニングポイントになっているわけです。

(2)オフバランス手法の選択肢は増えており、自社の保有不動産に合った対応をすべき。

会社分割・営業譲渡やオリジネーター出資型流動化、折半出資型流動化、第三者出資型流動化、バルク売却、個別売却など、保有する資産をオフバランスするための手法には、様々なバリエーションが生まれています。所有不動産の市場性や汎用性などの特性を見極めた上で、その対応を検討すべきでしょう。

(3)保有するリスクをコントロールできる体制を作ること。

不動産処分と同様に、企業再編の手法も増えています。具体的には、事業(資産)を子会社に集約するための手法としての会社分割や現物出資、譲渡。逆に、必要な資産を親会社に集約するための合併や会社分割、一部会社分割後の合併など、手法が多様化して、グループ内のみならず社外を含めた、資産の再配置が容易になっています。

(4)不動産戦略に一定の物差しを持つ。

これは、不動産の使用価値に対して、減損発生や処分価値の減少、事業機会損失などのリスクがどれだけあるかを見極め、それに対応する財務体質を有しているか否かを検討する必要があるということです。

このなかでも、(1)~(3)に挙げたテーマが時を同じくして生まれてきたのが現在の状況であり、それが大きなうねりになっています。例えば、親会社が賃貸不動産を所有していて、そのままの売却も可能だが、含み益を有効に利用し全社のリストラを進めたいといった場合、この含み益を子会社に移転し、そこで売却すれば処理が進むという方法が可能です。

あるいは、子会社に優良な資産がある場合、それを親会社に取り込んで順次処理していけば、財務的なニーズに対応しながら資産売却と借り入れの圧縮が進められるのです。

税制・法制の変更が再編を後押し

こうしてみると、近年の税制や法制の整備が、M&Aを含めた企業再編の後押しをしていることがお分かりになるでしょう。

さらに詳しく見ていくと、例えば税制では、以前は資産の移転に絡む登録免許税や取得税などのコストが非常に高かったのですが、現在は歴史的な移転コストの軽減期にあります。このメリットをM&Aに絡めて、企業が有効に活用しているといった状況がそこかしこで見て取れます。例えば医薬業界では、開発と生産を分離し、工場を次々と分社化して生産拠点を統合していますが、これなど、税制の恩典がなければ極めて高コストなものとなり、現在のようなドラスティックな進展は起こり得なかったといえます。

また、法律面でも、先に記した減損会計や連結納税制度などここ数年で大きく変化し、企業は損か得かに関わらず、不要な資産を売り始めています。つまり、バランスシートへの信頼回復や国際基準への適用、コーポレート・ガバナンスの変貌に対して進められた法整備が、結果として、企業価値の向上のために何が必要で何が必要でないのかを明らかにすることに繋がり、それにより、たとえ売却損が出るにしても、いらないものは捨てようとする流れがはっきりしてきたわけです。

もちろん、不動産戦略と事業戦略とは、必ずしもイコールではありません。しかし、どの場所に、どのような資産を所有して事業を行うのかということは、いわばビジネスの根幹。メーカーの工場の価値など、立地による生産コストの差はかなりありますし、海外か日本かでも大きく違います。そうしたなかでも、不動産戦略と事業戦略の関連性を高めていくことで、例えば精密機器メーカーのキヤノンのように、国内でありながら、海外のどこで作るよりも安いコストで生産できる工場や物流システムを構築するといったことも可能なのです。

M&A対策はこの1年が正念場

最後に、自ら戦略とするM&Aではなく、買収される側の視点から見た対策についてですが、敵対的M&Aの動きは、例えばポイズンピルの導入がしやすくなるなど、来年度の会社法の改正でかなり抑えられるでしょう。ただし、逆の見方をすれば、法整備が追いついていないこの1年間に、非常にアクティブな動きが出てくる可能性が高いということです。

現在でも、低迷する株価により株の買占めに遭い、「企業価値向上」の名の下に、非効率な資産の売却や事業の再構築、身売りを含めた検討などの要求を突きつけられている企業からの相談が後を絶ちません。戦略として使える武器ができたということは、相手に使われやすくなったことでもあるのです。

特に、優良資産を安い簿価で保有している企業は狙われる傾向が強いといえます。敵対的買収者といわれる人たちが狙うのは、必ずしも事業上有用な会社とは限らず、むしろ、含み益不動産や株を所有する清算価値が高い企業が多いといえます。

その際、対応策として資産を売ってしまえばキャッシュに変わり終了ですが、完全に売却するのではなく、不動産なら流動化や買い替えなどの手法で企業価値を向上させることや、あるいはいっそ非上場化する、自らどこかに身売りするなどといった対応も、今の時代、選択肢として挙げられるでしょう。

いずれにしても、企業はまず保有する資産の価値を見極めるとともに、重要性の有無や狙われた際のリスクの大きさを多方面から早急にチェックする必要があります。さらに、コア、ノンコアの基準を設け、事業の明確化とコア事業の拡大を図ることです。いたずらに恐怖心をあおるわけではありませんが、自らが価値を見切る前に買われてしまったら、元も子もないのですから。

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上記内容は オフィスジャパン誌 2005年夏季号 掲載記事 です。本ページへの転載時に一部加筆修正している場合がございます。

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