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タカラアセットマネジメント株式会社 | 再生可能エネルギー施設投資の今、これから

インフラファンドのパイオニアとして、
資金調達と投資運用の両面から
市場拡大を実現する。

タカラアセットマネジメント株式会社
代表取締役社長
髙橋 衛

タカラアセットマネジメント株式会社 代表取締役社長 髙橋 衛氏

再生可能エネルギーを支える、上場インフラファンド市場に第1号で上場

上場インフラファンド市場とは、発電所や空港、道路、鉄道などのインフラストラクチャーに民間資金を呼び込むために、2012年頃からワーキンググループを中心に議論がスタートし、2015年に東京証券取引所の上場市場として創設されたものです。現在では7銘柄にまで拡大。その中でタカラアセットマネジメントは、2016年、インフラファンド第1号として上場したタカラレーベン・インフラ投資法人の運用会社として、2013年10月に設立されています。

インフラファンド市場が創設されたきっかけの一つは、2011年に発生した東日本大震災です。この災害により、日本のエネルギー政策は大きな転換期を迎えました。元々エネルギー自給率が低い上に、原子力発電所が停止に追い込まれたのです。そのため、自給率向上の観点も後押しし、2012年に太陽光発電などによる電気のFIT制度(固定価格買取制度)が始まり、再生可能エネルギーの本格的普及が国策として取り組まれることになりました。現在上場中の7銘柄すべてが、再生可能エネルギー発電設備を保有しているのも、その表れでしょう。

当社のスポンサーであるタカラレーベンは、マンションデベロッパーとして、物件の屋上に太陽光パネルを設置した太陽光発電マンションを分譲していました。そのため、ファンド創設のアナウンスが入った時点で、上場を検討し始めました。差別化のポイントとして、一つは来年に創業50周年を迎える不動産デベロッパーとしての経験から、全国の土地の取得には強みがあること。もう一つは、ファンドというスキームであれば専業でない当社でも資金調達がしやすい上、開発物件の受け皿にもなり、拡大戦略が取りやすい点があるからです。

とは言え、上場第1号としての苦労は大変なものがありました。大枠は、先行していた不動産投資信託(REIT)や投資信託法があったとは言え、インフラファンドという新しいマーケットなので、具体的な申請手続きに必要な書類や提出方法も決まっておらず、そのために細かい規制から目論見書まで、すべて1から作り上げていく必要がありました。

ただ、その甲斐もあって、市場規模ミニマム50億円という上場規定を超えた10物件、78億円でスタートしましたが、5年間運用した現在では38物件、資産価値520億円規模にまで拡大しています。

ポートフォリオの概要

親会社の競争優位性を活かした、二人三脚で実現する事業の拡大

当社の事業戦略としては、これまでスポンサーであるタカラレーベンからのパイプラインをメインに成長してきています。同社には開発能力があり、当社は優先売買交渉権を持っているため、それを活用しながら物件を購入していくのがメインの手法です。それ以外のルートから取得したものも38物件中5~6物件あり、今後も二つのラインで成長を図っていくことになります。

再生可能エネルギーには、太陽光発電のほか、風力、バイオマス、水力、地熱などがあります。当社は太陽光発電所に特化した会社ではありませんが、現実にはそれ以外のポートフォリオを所有しておりません。これは当社の特徴というより、再生可能エネルギー施設のほとんどが太陽光発電である日本特有の背景によるものだと言えます。その理由は、例えば日本で風力発電所のような大規模な施設を造ろうとすると、環境アセスメントの問題で、計画から開発に至るまでに5~7年と長期間かかってしまうこと。こうした時間的な制約などが他の発電所開発の大きな障害になっており、一番に着手しやすい太陽光発電が再生可能エネルギー発電施設の大半を占めることになったのでしょう。ただ当社としては、今後は他の発電施設も、加えていきたいと考えています。

新制度FIPの導入以降も安定成長に向けた戦略を駆使

今日、再生可能エネルギーに関連して注目されるトピックスの一つは、2022年度より導入されるFIP制度です。これは平たく言えば、従来のFITにおける固定価格での買い取りを廃止し、市場の相場に基づく価格に連動した取引に変わるということです。従来のFITは迅速な普及を目的に、買取価格の一部を再生可能エネルギー賦課金として徴収することを前提とした制度でした。今回は、それが一定程度普及したことからの変更といえるでしょう。当社のような事業者にとっては、太陽さえ出ていれば発電し決まった額で買い取ってもらえたものから、キャッシュフローが変動化するわけですから、当然、対応が必要となる課題となります。

我々としては、この変動分をどう手当てし、収入を安定的に確保するかが一番のポイントでしょう。ただし、現実的には固定価格と言っても、2012年当時からは段階的に下がって現在は約4分の1の10円強程度であり、FIPに移行しても近時のFIT価格とは大きく変わりそうにないこと。そもそもFIPに該当するのは、2022年度以降に開発する案件で、従来から現在開発中のものはFITのままの20年間固定価格であることなどを考え合わせると、当社に直接的な影響が出るのは3~5年後ぐらいではないでしょうか。開発ベースで考えれば、まだFITの権利がある発電所も残っているので、移行期ではあるもののタイムラグはあると言えます。

FIP移行後の見通しとしては、我々が直接、営業して顧客を獲得するというより、発電事業社と需要家の間を取り持つPPA(第三者所有モデル)を提供する事業者が登場して、そこが束ねながら運用していくというのが現実的だと思います。また、現在より売電価格が下がることを想定した運用をしなければならないため、発電所を取得する場合も、それに見合った価格で取引しなければなりません。これについては市場原理として発電所の価格が決定される部分であると思っています。また、FIP制度が導入されると、電力買取価格が変動するので、昼間に発電した電気を蓄える蓄電池が今まで以上に重要になり、蓄電池の導入なども、活発になるのではないでしょうか。

国内の再生可能エネルギー発展に最も重要な役割を果たす

菅政権になった2020年10月、2050年にはカーボンフリーを目指すという、政府としての目標が掲げられました。これを実現するには、二酸化炭素を出さないだけでなく、再生可能エネルギーを大幅に増大する必要があります。特に政府は風力発電に力を入れ、2040年に向けて発電量を45GWにまで伸ばすとしています。これは原子力発電所45基分に相当し、開発コストにすると数百兆円が必要になる計算です。資金調達と同時に、これまで障害となっていた環境アセスメントにおける規制緩和なども重要となるでしょう。

これだけのコストが現実的かどうかは別にして、嬉しいニュースがありました。この7月、経済産業省は2030年時点における太陽光発電のコストが、1kW/h当たり8円台前半~11円台後半と、原子力より安くなるという試算を発表したのです。つまり太陽光発電は、コスト的にも最善な手段となるわけで、今まで以上に導入が進むとともに規制緩和も進むことが期待されます。

インフラファンドは、個人を含む民間資金の活用とともに、開発資産の売却により資金回収を行い、再度新たな開発へと資金シフトしていくキャピタルサイクルに対する資金調達という大きな役割を担うことになります。そしてだからこそ、気を付けなければならない点が二つあります。その一つが市場の健全性です。私募ファンドと違い不特定多数の投資家を対象とするマーケットである以上、ガバナンスを含めて一定のクオリティを保つのは当然のことでしょう。残念ながら、個人などが所有する太陽光発電所運営に問題がないわけではありません。上場ファンドではプロの管理のもとに投資運用することで発電所のクオリティを維持しながら、健全性を担保することが求められます。そしてもう一つは安全性です。不動産を扱うREITと違って、ポートフォリオが公共の高いインフラである以上、安全であることは最も重要な点だと言えるでしょう。

2050年のカーボンフリー実現に向けて、資金調達と安心・安全な運用という二つの役割にアクセスできる上場インフラファンドだからこそ、政府や社会と手を組んで、ともに発展していくのが理想の形だと考えています。

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上記内容は BZ空間誌 2021年秋季号 掲載記事 です。本ページへの転載時に一部加筆修正している場合がございます。

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