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移転コストシュミレーション

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2009年3月2日

どのような移転なら、何年でイニシャルコストが回収できるのか

コスト削減移転において、それを実施するか否かの判断材料の一つに、移転費用が何年で回収できるかのコストシミュレーションが挙げられる。その一例を、下記A~Fオフィスへの移転、5パターンの試算で示してみた。

前回同様、300坪、100人規模のオフィスを想定しており、移転コストは坪当たり21万円と、かなり低めに設定。これは、新規家具購入なし、オフィスデザインや入居ビル工事も最低限に抑えた、ビルの既存内装や設備を生かしたシンプルなオフィスという想定となる。また、シミュレーションはキャッシュフローにより算出しており、現行オフィスと新オフィスとの保証金・敷金の差額は、コスト累計の移転年に組み込まれている。

各パターンの結果はグラフをご覧いただくとして、ここでは、このような項目を設定することで、簡単にコスト試算を行えることを理解していただきたい。今回、現行賃料30,000円/坪と東京のマーケットを想定したが、もちろん賃料水準の異なる地方都市では、ここに提示したように、すぐさま移転コストを回収する事例とはならないかもしれない。シービー・リチャードエリスでは、移転条件を入力することで、容易にコスト試算を実施するソフトをツール化しており、ぜひ、個別にご相談いただき、移転判断や候補物件選定にご活用いただきたい。

また今回は誌面の都合上掲載を見送ったが、当社のシミュレーションでは、さらに詳細に月額の支払いを提示することもできる。移転年は月毎に必要となるキャッシュの差が大きく、例えば敷金等、高額な支払い発生がどの期に入るのかを見越して移転を考えることも必要となろう。

移転パターン別コストシュミレーション

新オフィスの賃貸条件
保証金・敷金 賃料の12か月分
駐車場等、他費用 月額20万円
フリーレント 3か月
仲介手数料 賃料の1か月分
移転時期 9月(年度半ばに移転)
現行オフィスの状況
面積 300坪
ワーカー数 100人(1人当たりスペース3坪)
共込み賃料 30,000円/坪
(賃料:25,000円/坪、共益費5,000円/坪)
保証金・敷金の返却 賃料の12か月分(9000万円)
駐車場等・他費用 月額20万円
移転コストの条件
移転引越費用 20,000円/坪
オフィス設計・工事費用 140,000円/坪
原状回復費用 50,000円/坪

賃料を安くすると...

コストシミュレーションから考えるオフィス移転の是非:賃料を安くすると

移転しない場合、年間の総オフィスコストは1億1040万円。これを示す黒の棒グラフ(以下「黒棒」)は、当然この額が年毎に加算されていく。移転年は、全てのグラフが黒棒を上回っているが、1年目には30%減のCオフィスへの移転が、2年目には20%減のBオフィスへの移転が黒棒を下回る。3年目、黒棒は4億4160万円、10%減のAオフィスへの移転が4億4370万円と、その差わずか210万円。3年目でほぼ総オフィスコストはトントンとなり、以降、経費削減が続いていく。

面積を削減すると...

コストシミュレーションから考えるオフィス移転の是非:賃料を安くすると

では、賃料が同じで面積を削減した場合はどうなるか。使用面積30%減は、人員削減等を行わないとなかなか難しいが、20%減程度であれば、1人当たりのオフィススペースは2.4坪と、少々窮屈ではあるもののありえない水準ではない。さすがに移転年でのコスト回収は難しいが、1年目で、黒棒が2億2080万円に対しEオフィスへの移転が2億1780万円と300万円下回った。また、4年目の総オフィスコストの差額は7500万円にも及び、大きな経費削減となっている。

賃料20%減、面積20%減で...

コストシミュレーションから考えるオフィス移転の是非:賃料を安くすると

賃料、面積ともに2割減を果たし、徹底したコスト削減移転を実施した場合、グラフからも明らかなとおり、移転年ですでに移転コストを回収している。これは、同シミュレーションがキャッシュフローによる算出で、保証金・敷金の差額が移転年に加算されるところが大きい。ただ、ここで注意したいのは保証金・敷金の返還時期。返還は、あくまで現行オフィスの引き渡しを終えた後であり、移転費用に充当できないことはもちろん、期を跨ぐことで財務管理にも関わってくる。

上記の記事の内容は オフィスジャパン誌 2009年春季号 掲載記事 掲載当時のものです。

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