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賃貸オフィス・事務所の記事

CBRE 奥錬太郎が語るワークプレイスの新潮流「ウェル標準」

健康経営を実現するワークプレイスの新潮流「ウェル標準」。


シービーアールイー株式会社
ワークプレイス ストラテジー アソシエイト ディレクター
奥 錬太郎

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働く人の健康や幸せの指標ウェル認証(Well Certifications)

CBRE LA Office

2012年、ビル・クリントン元アメリカ大統領が主宰する「クリントン・グローバル・イニシアティブ*2012」において、氏自身により「ウェル・ビルディング標準(Well-Building Standard)」(以下:ウェル標準)という理念が大々的に発表されました。働く人の健康や幸せ(well-being)を考えたワークプレイスを推進するというこのウェル標準、具体的には7分野(空気、水、食物、光、体を動かすこと、快適性、心の状態)102項目から構成され、評価制度としてシルバー・ゴールド・プラチナの3レベルから成る「ウェル認証(Well Certifications)」が存在しています。 *【参考】クリントン・グローバル・イニシアティブ(CGI)は、クリントン財団の下でビル・クリントン元大統領が2005年に立ち上げたプロジェクト。世界の最も緊迫している課題に対し、革新的な解決策を創造・実行するために世界的指導者を招集し、例年9月の国連総会時期に合わせて年次総会(Annual Meeting)を開催。世界の政治家・経済会などのトップが集う会として、世界経済フォーラム(ダボス会議)と並び評価されている。

この理念に対し、我が国においても強い関心が集まっており、実際にウェル認証の取得を検討する大手企業も出始めています。これまでも健康経営は重要事項でしたが、もっぱら人事マタ-として取り扱われていました。ウェル標準は、健康経営を推進する強力なツールとしてワークプレイス(ハードとソフト両方の働く環境全般)を位置づけており、従来欠如していた領域を埋める大きな進展といえるでしょう。

実は、2014年に世界で初めてオフィスに適用されたウェル認証事例は、弊社CBREロサンジェルス・オフィスで、その後、CBREがコンサルティングしたオーストラリア、シドニーにあるマッコーリー銀行(Macquari Group)のオフィス2棟もウェル認証を取得しています。そのような実例を踏まえつつ、ウェル認証の概要や、日本国内で急速な拡がりが予想される要因、LEEDをはじめとした環境認証との違い等、以下、詳しく見ていくこととします。なお、ウェル認証は、オフィス以外にも住宅やホテル、学校、ショッピングモール等にも適用されますが、ここではオフィスに限定した領域にとどめることとします。

身体の健康だけでなく、心の健康までカバーする

ウェル標準の特徴として、従来の人間工学的なアプローチと異なり、身体的な健康のみならず精神的な健康状態にも留意している点が挙げられます。例えば、新鮮で豊富な種類の野菜と果物の提供や、それに相応しい貯蔵スペースの確保(冷蔵庫は温度が低過ぎて最適ではない)が評価項目になっているだけでなく、オフィス内での栽培まで奨励されています。これは、自ら栽培することで新鮮で栄養価の高い食物を得られるだけでなく、より良い食事習慣が得られ、自然食品への理解が高まることが実証されているためです(ガーデニング効果)。また、1人で食事を摂ることを避け、皆で会話を楽しみながら食事をすることによって、過食を防ぎ、ソーシャルな関わりの欠如からくるストレスを回避できることから、そのためのスペースを提供することも提言されています。さらに、自然光に触れることの心理的な健康への貢献も実証されていることから、オフィスでも適切(強過ぎず暑過ぎない)な自然光を確保する窓のデザインやフロア形状とすべきとされており、適正レンジが示されています。

これ以外にも、騒音の種類と大きさや、臭いといった環境学的な視点だけでなく、プライバシーが欲しいときに使える環境、短時間の仮眠ができるスペースといった施設ハードに関する項目、さらに従業員の健康に対する知識や意識を高める学習機会の提供や、オフィス環境構築への従業員の参画、質の良い睡眠をサポートし生産性を高めるための深夜労働の制限、不健康になりがちな出張に関する項目(深夜移動の制限、長期間の連続出張の制限、出張先での運動のサポート)などのソフトに関する項目までもが提唱され、総体的に健康的な生活の実現を目指しているのが特徴です。

単なる“お題目”ではなく評価しやすい投資対効果

WELL™オフィスROIモデル
WELL™項目と経営メリットの関係

CBREロサンジェルス・オフィスでは、今回、ウェル認証取得のために従業員1人当たり約3,600米ドルの投資がなされました。その際、従業員1人当たりのリターンは、1年目で3,000米ドル、2年目で5,000米ドル、3年目で6,000米ドル、移転後3年間の合計で14,000米ドルと試算されています。つまり、ウェル標準の考えからすると、移転2年目で初期コストが回収できる計算というわけです。

ここで、ウェル標準を適用することの対投資効果モデルの根拠となった財務的なメリットの具体例を紹介してみることにしましょう。ウェル標準の分野ごとに、①ウェル項目⇒②健康への影響⇒③生産性指標⇒④メリット⇒⑤財務上のメリットの順に見ていくことにします。

空気

①湿度管理⇒②シックビル症候群発生率が4%減少⇒③体調不良(にもかかわらず出勤)による低生産性状態が1.6時間減少⇒④生産性への寄与1.6%⇒⑤従業員1人当たり$79のメリット

①塩化物とフッ化物の低減⇒②発がんリスクが0.5%減少⇒③医療費が$37.39減少⇒④健康保険コストの減少⇒⑤従業員1人当たり$38のメリット

食物

①食物と栄養に関する情報・教育⇒②肥満リスクが0.5%減少⇒③病欠が0.12日減少⇒④生産性が0.05%向上⇒⑤従業員1人当たり$38のメリット

①窓のデザインと性能⇒②健康の実感が40.21%向上⇒③仕事への満足度が22.35%向上⇒④生産性が2.01%向上⇒⑤従業員1人当たり$1,583のメリット

体を動かすこと

①運動器具の提供⇒②脳卒中の発生率が7%減少⇒③病欠が2.63日減少⇒④生産性が1.05%向上⇒⑤従業員1人当たり$776のメリット

■快適性

①エルゴノミクス⇒②腰痛の発生率が27.5%減少⇒③事故発生率が2.75%減少⇒④医療費の減少⇒⑤従業員1人当たり$908のメリット

[出典:Delos Living_WELL™ Office ROI]

 

LEED認証やCASBEE認証などの環境性能認証とは異なり、このように投資効果の多くを財務的なメリットとして数値化できることが、多くの企業の関心を惹きつけるウェル認証の大きな特長ということができます。

社会的な潮流に合致した考え方

ここでその一部をご紹介したウェル標準の102項目は、マインドフルネス(物事をありのままに受け入れて平穏な心でいること)やバイオフィリア(生命愛)といったコンセプトを背景に構成されており、健康経営の実現に向け、非常に参考になる指標が数多く示されています。これらのコンセプトは、健康研究の世界ではすでに潮流を形成するキーワードとなっており、ウェル認証の認知とともに、我が国でも今後一般的になっていくものと思われます。

ウェル認証はワークプレイスに対する認証ですが、それが関与する領域はもはやオフィスの中だけにとどまりません。近年普及してきているワークライフバランスの考え方が仕事中以外の時間も包含するように、これは様々な場所がワークプレイスであるという認識が本格化していくことを、示唆しているものともいえるでしょう。

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上記内容は BZ空間誌 2015年秋季号 掲載記事 です。本ページへの転載時に一部加筆修正している場合がございます。

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