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ケンコーコム株式会社

樋口 宣人氏

ケンコーコム株式会社
常務取締役 執行役員COO
樋口 宣人

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医薬品・健康食品の健康メガショップ「ケンコーコム」

通販サイト「ケンコーコム」

当社は1994年、DM(ダイレクト・メール)による健康食品通信販売を主たる業務とする(株)ヘルシー・ネットとして、東京・赤坂で事業を開始しました。その後、2000年には健康関連商品をインターネット販売するBtoCの通販サイト「ケンコーコム(http://www.kenko.com/)」を立ち上げるとともに、2002年には健康メガショップとして取扱商品を化粧品や医薬品にまで拡大。さらに2003年には社名もケンコーコム(株)に変更、2004年には東証マザーズに上場を果たし、以来、今日までビジネスを拡大させてきました。様々な顧客ニーズに対応できるようロングテールな品ぞろえを基本戦略に掲げ、現在では取扱商品数も18万アイテムを超え、売上高は年商200億円規模※に達しています。(※前期の2013年12月期は、9ヶ月決算で141億円)

当社の運営形態として特徴的なのが、お客様の疑問やリクエストに電話やメールで対応するカスタマーセンターはもちろん、物流機能もアウトソーシングすることなく自社で構築していることでしょう。物流については、2002年には福岡県飯塚市に福岡物流センターを設立。さらに、2006年には最大市場となる首都圏向けの宇都宮物流センターを開設しました。

また、この間、本社オフィスも、創業地である赤坂周辺で従業員規模の拡大に合わせて何度か移転やビル内における増床・フロア移動を繰り返してきましたが、オフィスは東京のみでした。つまり、当社の国内の拠点展開は、その時点では、東京本社と、福岡・宇都宮の2つの物流センターという体制であったわけです。

東日本大震災の影響とケンコーコムの対応

言うまでもなく、東日本大震災は当社にとっても大きな転機となりました。当社はインターネット通販の会社ですから、突然の停電や偶発的な事故によるサーバーのダウンや、サイトへの外部からの攻撃といったシステム上の問題、あるいは取り扱っている医薬品等による健康被害といったリスクに対しては、危機対策プランを用意していました。ただ、ここまで大規模な地震など、天災による被害が起こった場合の対策については、まだ着手しきれていませんでした。東日本大震災では、宇都宮物流センターでは商品の落下などの被害が出ましたが、幸いにも東京オフィスへの影響はほとんどありませんでした。ところが、度重なる余震や原発事故の不安・公共交通機関の麻痺などもあり、従業員の出社率は40%程度にまで落ち込んでいました。そのため、毎日、出社人数を確認し、その日の仕事を各部署に割り当てながら、なんとか業務を継続するような状況だったのです。これでは仕事が成立しない、事業を継続することができない、それが当時の素直な感想でした。

地震後の対策として、当社では3つの施策を実行に移しました。1つめは関東の物流拠点を、宇都宮から市川へ移転させたことです。これは直接震災とは関係がなく、2010年後半頃から予定していた施策でした。関東全域への配送を考えたとき宇都宮では不便であることから、以前から移転を計画していた案件でした。震災直後の東京湾岸部は、一部液状化現象が深刻な状況にある場所があり、そのため一旦計画を見合わせるか、あるいは白紙に戻すかといった議論があったのは事実です。しかし、宇都宮は計画停電の真っ只中にあり、いつ通常稼働ができるかわからない状態でしたので、将来を考えると、延期することなく、今ここで移転したほうがベターな選択だと考え、震災から2ヶ月後の2011年5月に強行したのです。

震災直後の宇都宮物流センター

2つめはサーバーのクラウド化です。2000年のサイト開設当初は、各種のサーバーを自前で稼働させていました。しかし、業務の拡大に伴い、管理の容易性や拡張性に優れているクラウド化が必要になると考え、それを実施しました。震災などの非常時における安全性・安定性という意味でも、有効な手立てであったと考えています。

そして3つめの施策が、福岡への本社機能の移転でした。

わずか3週間で決定した福岡への本社機能移転

開設直後の福岡オフィス

当時、東京オフィスには120〜130人の従業員が業務を行っていました。しかし、インターネット通販ビジネスにおいては、必ずしも東京の中心に本社オフィスがある必然性はありません。しかも、ベンチャー企業ゆえに成長に伴う規模拡大のスピードの読みが難しいため、自由に拡張できることが、当社のオフィスに対する基本概念としてありました。かねてより「物流センターの上にオフィスを構えたらどうか」であるとか、あるいは「近郊のベッドタウン(に本社を構えるのが)がいいのでは」といったアイデアがあり、費用規模などのシミュレーションを実施していました。

ちょうどそこに発生したのが、東日本大震災でした。震災によって、当社が取り扱っている医薬品や日用品をより多くのお客様が必要だと思ってくださっているにもかかわらず、本社オフィスでのデータ処理が間に合わないため、そのニーズに応えられないもどかしい状況が続きました。サイト自体がいつまで稼働できるかもわからない。夏の電力不足も報じられていましたし、このままでは事業を継続することができない危機感がありました。より深刻な危機が目の前に迫っていたことは明白であり、お客様のニーズに応えるために、業務が行えるところに行くというのは、我々にとってはナチュラルな決断でした。

新拠点の立ち上げが急務となるなか、候補に挙がったのが福岡です。福岡は当時、電力の影響など、不確定要素が最も少ないエリアでした。しかも、以前から物流センターがあったため、取引先や仕入先なども多く、馴染みがある場所であったことも後押ししました。

震災の1週間後には移転を決意し、社長と私とですぐに福岡に飛び、1日で10件ほどの候補の中から7件ほどを内覧し、その日のうちに内定。震災発生から3週間と経たない31日に契約を結びました。当社が、ここまで短期間に移転を決定し、そして実行に移せたのは、これまでもロサンゼルスやシンガポールなどの海外サテライトオフィスを短期間で設立してきた経験があったことや、東京オフィスでもフロア移動などを頻繁に行いオフィス構築に対する機動力が高かったこと、また、ベンチャー企業として身の丈に応じたスケーラブルな対応を様々な局面で行っていたという企業風土、加えて、福岡というエリアの地の利を有していたということが、スピーディーに大きな決断ができ、さらに実際の立ち上げも迅速に実現できた理由だと思います。

新拠点福岡を中心にさらなる事業の拡大を目指す

開設直後の福岡オフィス

福岡の新拠点を選ぶに当たっては、2つの点に留意しました。1つは人材を確保しやすい場所であること。もう1つは、それまでオフィスのあった東京からの転勤者が少しでも早く馴染めるよう、これまでのオフィスである赤坂に似た都心に立地する、雰囲気の近いビルであることです。こうして、現在の天神のオフィスに決定したのです。契約後はすぐに、パーテーションも何もないオフィスで、借り物の机を並べて現地での採用活動を始めました。

一方、本社機能を移管するのですから、相当数の人員の東京から福岡への異動が必要でした。これまでずっと東京勤務だっただけに、当然、社員の不安を解消するために説明を繰り返す必要がありました。結果的に本社移転を実施してから1年間で30名ほどの退職者が出たことは、非常に残念な出来事と言えるでしょう。

当時は現地採用者と合わせて、まずは30名ほどの人員により、2011年5月16日に福岡オフィスが稼働し始めました。同オフィスは移転から3年を経て約100名体制に成長しており、今年の4月1日をもって登記簿上の本店所在地を同地に移転させました。現在は、本社機能の大半は福岡に、営業面などの機能は東京に、というオフィスの2拠点化が実現したと言えます。

新オフィスを構えた福岡は、職住近接のコンパクトシティであり、ワークライフバランスが保てること。行政が企業誘致に積極的であること。通販企業が多数存在し、文化として根付いていること。市民がフレンドリーであり、カスタマーセンターの運営に向いていること。そしてなにより、当社の将来のビジョンである海外ビジネス、特に中国やシンガポールなど、東アジアに向けてのゲートウェイであることなど、当社にとってメリットが非常に多いエリアです。

今後は、福岡本社を中心に、さらに事業を拡大していく所存です。

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上記内容は オフィスジャパン誌 2014年夏季号 掲載記事 です。本ページへの転載時に一部加筆修正している場合がございます。

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