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賃貸オフィス・事務所の記事

BCP対応を企図した上場企業の本社移転および、オフィスビルにおけるBCP対策についての考察

東日本大震災後3年で、企業のBCP対策はどこまで浸透したのか。その中で、オフィス移転はどのような役割を果たしたのか。オフィスマーケットにおけるBCP対策を推進する器と、そうではない器は、現状の市場ではどのような状況なのか。震災から3年を経過したこの時期に、徹底検証する。

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「334社中18社」が指し示すのはオフィス市場のBCP対策の本質なのか?

今回の「オフィス移転でBCP対策 その現状と課題」と題する特集を企画するに当たり、オフィスジャパン編集部では、まず、東日本震災以降どれぐらいの企業が、事業継続計画を目的に移転を実施したのかを調査してみた。2011年の震災当時、東京に本社を置いていた上場企業は1,811社程であったが、そのうち2014年春までの3年間に、都内の別の立地に本社所在を移転させた企業は334社となっている。この334社について、移転計画発表のプレスリリースからホームページの移転のお知らせ、IR情報、社長のあいさつまですべてを調査し、そこにBCPに関わる記載がなされているか否かをチェックした(ただし、メディアの報道記事は除き、あくまで自社発表に限定)。具体的には、BCPや事業継続性(計画)という言葉のみならず、「耐震」や「安全確保」、「防災」「リスクマネジメント」といった移転理由が一節でも述べられている企業をピックアップしていったのだが、選出された企業は334社中18社のみ。東日本大震災以後移転を実施した企業の、わずか5%に過ぎなかったのである。

これは、あくまで上場企業の本社移転、しかも震災当時に東京に所在していた企業に限定して調査した結果であるのだが、それにしても、昨今、世の中で「BCP」という言葉が、これだけ認知されるようになっている点や、オフィスビル賃貸借の場面で「耐震性能」や「電力供給」といったセリフが数多く聞かれるようになっていることを考えると、極めて腑に落ちない結果ではないだろうか。

東日本大震災以後、いったいどれだけの企業が移転を考え、そして実行に移していったのか?

正直なところを言えば、調査当初の目論みでは、未曽有の大震災の後、上場企業が本社という要の拠点を移転させるに当たり、「安全確保」や「BCP」のコメントは、必ずや記載されているのではないかと考えていた。また、弊社が東日本大震災直後の2011年4月・5月、及び半年後の10月に行ったテナントアンケートにおいて、今後の本社ビルの選定ポイントを問う設問では、実に9割以上の企業が、耐震性能に優れていることを「非常に重視する」もしくは「やや重視する」と回答していた。少なくとも震災直後において、移転に際してBCP対策は極めて高い関心事であったことが見て取れる。

ここで、同アンケート調査の結果を振り返ってみると、全国企業が対象とはいえ、震災被害の状況は「甚大な被害」と「軽微とは言えない被害」を合わせて27.0%と、回答者の4社に1社が無視できない被害を受けていた。回答者の6割強が東京所在企業であったことを踏まえると、東京で被害を受けた企業の割合はさらに高いものになるだろう。そこで東京に本社を置く企業群に、重ねて「今後の本社立地戦略」を尋ねたところ、「特に戦略に変化はなく、現行のオフィス配置を維持する」との回答が78.3%と大半を占めたが、次いで「東京の中でオフィスビルを選別移転していくことで対応する」というBCP対策のため移転を検討するとした企業群が13.3%の割合で存在した。少々強引ではあるものの、この数値を先の上場企業の本社移転データに結び付けてみると、震災時東京に所在していた上場企業1,811社の13.3%は241社に当たる。机上の空論で恐縮だが、これらの企業群がBCP対策のため移転を検討したというのは当たらずとも遠からじ。そして、震災後3年を経て移転を実施した企業は334社、そのうち自らBCP対策を企図したと語る企業は18社という結果になる。

上記地図は、この18社について移転時期と移転後の所在地、移転理由を簡単に記したものだ。「被災」と直接の被害を発表している企業はアスクルのみ。当然ながらその後の対応は早く、移転は2011年6月と最も早く実施されている。また、自社ビル老朽化による建替のための仮移転を行った企業も目に付く。こちらも上場企業としては当然の行動であろう。ただ、こうした企業群を除いていくと、賃貸ビルから賃貸ビルへとBCP対策を目的に移転した企業は、さらに少なくなっていく。

元来、BCP対策としてオフィスを移転することについては、センシティブな一面があるだろう。例えば「社員の安全性確保を目的に移転」となれば、「今までなにをやっていたのか」や「これまで入居していたビルは危険なのか」という疑義を生みかねない。また、BCPやリスクマネジメントは「これが万全」という答えが存在しないものだ。事業継続を阻害するリスクを突き詰めていけば際限がなく、オフィシャルに宣言するのは憚られるということも考えられる。ただ、世の中におけるBCP意識の高まりと、正しい認識が広がるにつれ、その考えも変わりつつあるかもしれない。下記、移転の月別件数の推移では、近年BCP対策への記述が増加していることが見て取れる。これはBCPを語ることへの抵抗感が低減してきているからなのか、それとも3年の時を経て、現実にBCP対策を企図した移転が行われるようになったことの表れなのだろうか。

震災前3年間の移転と震災後の移転を比較した地図、移転企業業種においても、残念ながら「より安全な立地が選ばれている」や「この業種が抜きんでて震災後に移転している」といった明確な差異は見受けられない。ただ、だからと言って、企業は移転の際にBCPを意識していないわけではない。弊社のビル営業担当に話を聞いても、「今のオフィス移転は、BCPの観点を抜きに考えられない」との答えが返ってくる。世に飛び交うBCPの声と、今回の調査結果。これはオフィス移転でBCP対策が、いまだ道半ばである査証なのかもしれない。

進捗する耐震改修リニューアルオフィスビルのBCP対策は次なるステップへ

ここまで、震災後のテナント移転の動向を中心に語ってきたが、それではその移転の器となる、オフィスビルにおけるBCP対策について見てみたい。

オフィスビルの安全性に関して、まず筆頭に語られるのが新耐震基準と旧耐震基準の別である。弊誌においても、「全国のオフィスマーケットにおける旧耐震ビルの割合」や「東京都における耐震診断義務化」の問題、「耐震補強リニューアルと地震に強いビルの選定基準」と、幾度となく同テーマを取り上げてきた。また、ここまで認知度が高まれば、移転時のオフィスビル選定に当たり、旧耐震ビルと新耐震ビルの意識なく候補先を選定する企業担当者はいないだろう。現在の耐震基準を満たしていないとされる旧耐震ビル。それでは実際、現在のオフィスビル市場において、耐震補強リニューアルが施されていない旧耐震ビルはどの程度存在しているのだろうか。シンクタンクや不動産仲介会社がWeb等で示す耐震ビルの定義はあくまで竣工年に基づくもので、耐震補強の有無や耐震診断の結果を加味したデータなどこれまで目にしたことがない。しかし震災以後、旧耐震ビルを所有するビルオーナーは急ピッチで対策を進めているであろうし、先に記した「東京都における耐震診断義務化」の対策も進捗している。

右の地図は東京主要5区における、延床面積3,000坪以上の旧耐震ビル(1981年以前竣工のビル)の棟数と、その内、耐震補強を施したビルの割合を示したものだ。区によってバラツキはあるもののその割合は想像以上に高く、言葉通り8割方は耐震対策がなされたものとなっている。耐震補強されていないビル群を個別に見ても、規模は大きいものの小割り分割が多かったり、区分所有であったり、店舗や住宅との複合施設であったりと、対策が困難なそれ相応の理由が見て取れるものが多い。もちろん、東京以外の都市や小規模ビルに関してはこの限りではないだろうが、ある程度の規模を有する純粋な賃貸オフィスビルでは、旧耐震ビルは非常に稀な存在だと言うことができる。

当企画に当たり、編集部では大手デベロッパーに所有ビルの耐震補強の状況と入居テナントへのBCP支援策のアンケートを実施したが、耐震補強に関してはほとんどの企業で対策済で、旧耐震のままのビルは建替計画等の理由があるものばかりであった。旧耐震ビルに関する問題については、少なくとも賃貸オフィスビル市場においてはかなり対策が進んでいると言え、デベロッパーサイドは入居テナントの安全性確保やBCP支援策として、さらに高い次元の施策を打ち出してきている。安全性の高いビルやBCP対策が進んだビルに入居することは、自社のBCPの構築にどのようなメリットをもたらすのか。次項では、大手デベロッパーの取り組みを一挙公開する。

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上記内容は オフィスジャパン誌 2014年夏季号 掲載記事 です。本ページへの転載時に一部加筆修正している場合がございます。

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