トラブル回避の勘所 仏の顔も一昨年まで
貸し手市場化で、これまでオーナーが譲歩してきたことがトラブルに発展。
オフィスマーケットは、バブル崩壊以降15年近く、借り手市場が継続してきました。つまり、現在の貸し手市場下におけるオフィス探しや契約交渉、施設運営を経験したことがない人々が、担当者のレベルのみならず企業経営者にも数多くいるわけです。逆に、オーナー側は、貸し手市況に応じた交渉を、行ってくるものだと思われます。数年前の移転の経験やオーナーの対応を当然だと思っていると、思わぬしっぺ返しを食らうことになりかねません。
貸し手市場ゆえ発生するトラブルの元
- テナントのしつこいオーナー信用調査に嫌気が
-
申し込み前に、テナント企業の社内稟議の規定からオーナー企業の信用調査が行われる。最初のうちはオーナーも対応していたのものの、あまりに細かな調査のため、そのうちうんざりされるようになり、最後には入居を断られることに。
- えっ!? もう解約してしまったの
-
移転に手馴れた企業。これまでの、物件確保はもとより賃料発生日の調整等、いくらでも融通が利いた借り手の優位の思い込みが抜けず、移転候補先に申し込みをした後、オーナーの正式な承諾を待たずに現入居ビルに解約通知を出してしまう。当然、以降の条件交渉で弱腰にならざるを得なかった。
- 窓広告はダメ
-
よく見かけるビルの窓に貼り付けた社名の広告。借りている部屋内とはいえ、これにはオーナーの了承が必要になる。これまで暗黙の了解があったにしても、それはオーナーの好意によるものでトラブルで裁判になったらテナント側が負けることも。