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シービーアールイー松永が語る新橋・虎ノ門オフィス市場

シービーアールイー株式会社
コンサルティング本部
アソシエイトディレクター 松永 浩一

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歴史あるビジネス街ゆえに 機能更新進まぬ新橋・虎ノ門

まず、虎ノ門・新橋エリアの歴史的背景と、ビジネス街としての発展の経緯、及びエリアの特性について考えてみましょう。

虎ノ門は江戸時代、徳川家に近い譜代大名の武家屋敷が集まっていました。そのため、その後も大きな区画が残っており大型のビルが建設しやすかったと言えます。事実、虎ノ門周辺は、他の都内ビジネス街と比較して、現在でも規模が大きいビルが多く集積。当社のエリア毎のビルの規模別の分布データによると、延床面積1,000〜3,000坪のビルが都内5区平均35.8%に対して40.0%、3,000〜5,000坪のビルについては同7.1%に対して12.3%、5,000〜10,000坪のビルは同4.5%に対して5.4%と、特に3,000〜5,000坪クラスの集積度が高いエリアであることがわかります。

超高層のビル開発が増えた今日では目立たないものの、1980年代頃には、大型ビルが立ち並ぶ一大オフィス街でした。官公庁に隣接したエリアにこうした受け皿が整備されたため、重厚長大の企業群や特殊法人が、こぞって入居していたのも当然と言えるでしょう。しかし、残念なことに1990年代頃を境に、同エリアに集積していた石油系や海運系企業の転出が目立ち始めました。こうした早くに成熟したオフィス街は、地位(じぐらい)というか、グレードが高いとされ、他エリアに比べ賃料が高めに設定されています。さらには電子メールなどの通信手段の発達も影響して、物理的に官庁街の近くにいる必要がなくなったのでしょう。また、リーマンショック、震災を経て、JRが利用できない、古いビルが多い等の状況を背景に、虎ノ門エリアの空室率は2010年後半に一時的に11%を超える水準まで上昇しました。現在ではマーケットの回復基調に乗り、4%台後半まで回復しています。

一方の新橋ですが、こちらは汐留側と旧市街地を分けて考えるべきでしょう。新橋駅西側の旧市街は、江戸時代には町家で小商店が並ぶ街並みでした。明治時代に鉄道が通ると、烏森神社付近には花街が形成され、その後は銀座の延長として繁華街として発展。区画の小さい中小ビルが多いのは、その当時の名残と言えます。特定の業態が集積しない多様性が特徴ですが、それも中小規模のビルが多いことと関連していると言えます。JR山手線や、路線延長は短いものの多数の路線と接続し、沿線に大きな業務集積を抱える地下鉄銀座線の駅が利用でき、新幹線のアクセスも悪くないなど交通利便性が高いため、本社というより、フットワークを重視する支社や支店、営業所が多いというイメージがあります。そのためか、リーマンショック後も、一時期は空室率が上がりましたが、賃料を下げれば入居を希望するテナントが多いので、比較的早く解消することができました。

この2つのエリアに共通するのは、いわゆる旧耐震の築20年以上の古いビルが多く、コンスタントなビルの新規供給がないため機能更新がなされなかったことです。それが、昨今言われるこのエリアの地盤沈下の主な要因でしょう。

エリア活性化の起爆剤 「新虎通り」が抱える課題

こうしたエリアに、この3月、新たに交通開放されるのが「新虎通り」です。幅員13mの緑豊かな遊歩道がどこまでも続く街並みは、都内のどこを見渡しても例がないもので、無限の可能性を秘めていると言えます。地域活性化の起爆剤として期待が集まるのも当然のことでしょう。しかし、オフィスマーケットの観点から言うと、いくつかの課題が残されています。

まず1つ目は「現在の街並み」です。地下を通る環状2号線は、羽田から都心への、また都心からオリンピック会場へと向かうメインストリートですが、その上を通る新虎通りの沿道にあるのは、小規模な古いビルばかりで、しかも、そのほとんどは道路にお尻を向けているのです。街の成り立ちからいって、大規模ビルが林立するとは思えませんが、「しゃれ街」に則った街路形成が行われることが、まずは発展への必須条件となっているのです。

2つ目は「交通アクセス」です。新虎通りは約1.4kmという距離の長い開発ですが、虎ノ門駅からも新橋駅からも離れており、オフィス立地としては交通利便性の点で高い評価は得られません。地下鉄の新駅建設の噂があり詳細はまだ不明確ですが、新駅ができてはじめて、他のオフィス街と比較する土壌ができると言っても過言ではありません。広い幅員を利用して、新交通であるBRT等を導入し、それを目玉として各停留所付近を中心に開発を広げるといった仕掛けがあっても良かったのかもしれません。

3つ目は「賑わいの演出」です。どんなに美しい通りができても、それだけで人が集まるとは限りません。ましてや、街並みを目的に移転してくる企業がどれだけあるでしょうか。メインの施設である虎ノ門ヒルズも、ロケーションに配慮した用途構成のためか、六本木ヒルズと比較すると店舗数が少なく、集客力の点では見劣りします。職住近接がこのエリアの特徴ですが、気がつけば歩いているのは地元の住人だけという状況では、賑わいには程遠いものとなります。

そして4つ目は「主役の不在」です。近年、丸の内や日本橋、京橋などのエリアで大規模な再開発が行われていますが、これらは皆、大手デベロッパーが主体計画し、実施しています。それに対して新虎通り周辺は、森ビルが直接手掛けるのはⅢ街区にとどまり、開発をトータルにプロデュースするデベロッパーがいません。もちろん、開発案件のために種地を探しているデベロッパーはいるかもしれませんが、街並をプロデュースする機能は担えないでしょう。言い換えれば、そこにビルを建てる地権者や住民のすべてが主役とならなければいけないのです。

ハード・ソフト両面にわたる 「マネジメント力」が成功の鍵

繰り返しになりますが、新橋・虎ノ門エリアは、新虎通りという新しい舞台装置を得て、これまでにない、全く新しい価値を持ったオフィス街になり得ます。地元の地権者や商店主のみならず、周囲のすべての人にとって、磨き方によってはどのようにも輝く「宝の山」となるポテンシャルがあるのです。歩道が整備され、新しいビルが建ち並び、商業テナントが明確な意図を持って配置され、新虎通り全体としての調和が取れた環境ができれば、街の活性化としては例を見ない、素晴らしいものになるでしょう。そのためには、望ましい環境イメージを明らかにした上で、あるべき要素、あってほしい要素、ない方が望ましい要素を、可能な限り具体的に詰めることが重要なのです。

その1つのモデルケースが「みなとみらい」です。みなとみらいは、ビルの高さから広告物、外壁の色のトーンまでルールを作り、官民協働の協議会を通じて管理・運営しています。そこでは店舗を含めて、どんなテナントならOKかまでを話し合いで決めています。放っておくと、資本力に勝るコンビニエンスストアやドラッグストア、ファストフードばかりが林立する、ありきたりの街になりかねません。その意味で“流れに任せない”抑止力が必要であり、価値を維持するための不断の努力が重要になるのです。なにがベストなのか、その答えがあるわけではありません。ただ、どのような形であれ、命を吹き込むのは、そこを維持する街の人々の意識にかかっているのです。

不動産ビジネスを生業とする者としてはもちろん、一個人としても、ここが素晴らしい街になることを願ってやみません。

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上記内容は オフィスジャパン誌 2014年春季号 掲載記事 です。本ページへの転載時に一部加筆修正している場合がございます。

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