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賃貸オフィス・事務所の記事

東北 - 賃貸不動産市場 2017年9月期

空室率は上昇に転じるも、物件の選択肢が少ない状況は継続。

受け皿不足の続く市場

シービーアールイー㈱の調査によると、2017年9月期の仙台市中心部の空室率は4.7%と、対前期(同年6月期)比0.2ポイント上昇し、4期ぶりに上昇に転じた。要因としては、一部の大型空室が、マーケットに顕在化したことが挙げられる。しかし、その空室もすでに消化されるめどが立っているため、今期の上昇は一時的で、マーケットは好調を維持していると言えるだろう。

テナント動向としては、前期同様、コールセンターやデータセンターも含めた大型面積の動きが多く、仙台駅東口の一部の物件では成約も見受けられた。引き続き、各企業とも、拡張等の前向きな移転動機での動きが多い。しかし、その要望に応え、受け皿となる空室の確保が困難なマーケットとなっており、テナントにとっては引き続き、選択肢が少ない状況である。物件確保のためには、スピーディーな判断を要するものと考えられる。

一方、オーナーの動向を見てみると、全体的に空室率が低水準を維持している中、空室を消化して高稼働となったことで、新規募集賃料の見直しや賃料改定に踏み込む大型ビルが、一部に見受けられる。これらのビルは、仙台のマーケットにおいて、賃料水準上昇の牽引役を担っている。大型ビルの空室が枯渇してきている流れから、中・小規模の物件に対しても、引き合いは増加傾向にある。そうした状況下で、競争力を高めるための日々の管理面の徹底や、可能な範囲でのリニューアル・バリューアップ等は、より有効であると考えられる。さらに、オーナーサイドにとって、このような追い風が吹いているマーケットでは、一歩踏み込んで、建替も一つの選択肢となるかもしれない。

今後、2020年までの仙台の空室率は、新築オフィスビルの供給予定もないことから、5%以下で推移するものと予想される。

東北主要都市の市況

仙台以外の東北主要都市においても、新規供給は見られず、空室率は安定的に推移している。一部の物件では、リニューアルを実施したことで、引き合いが増加しているケースも見受けられる。今後も、このようなケースが増え、各都市のマーケットが活発になることに期待したい。

仙台支店 相原 健二

相場表

種別 賃料(共益費込み) 需給の動向 空室率
推移
仙台市中心部 13,000~16,000 円/坪
空室率はわずかに上昇したが、すでに検討テナントがあり空室消化が見込まれる物件が多く、一時的な現象と考えられる。大型空室は少なく、希望面積帯によっては区画確保が難しい状況も出てきている。賃料目安についても、上昇傾向が続いている。
横ばい
郡山市 9,000~13,000 円/坪
新規供給がなく、空室はタイトな状況が続いているものの、一部に大型面積の空室が発生し、今後の動向が注目される。
-
盛岡市 9,000~11,000 円/坪
引き続き、耐震物件を中心に空室が少ない状況が続いている。盛岡駅から北上川までのエリアで、特に空室が少ない。テナントニーズは継続的に見られ、賃料相場は安定している。優良物件の空室は少なく、移転を検討する企業にとっては選択肢が限られる状況となっている。特に大型空室は、希少性がますます高まっている。
-
倉庫・配送センター
注文建築
3,000~5,000 円/坪
直近では中・小型倉庫の需要増が目立ち、新規空室情報の出現を待つ声が大きくなっている。今年竣工したマルチ倉庫は、大型ニーズの受け皿となり、検討先が多い状態が続いている。
-
空室率推移凡例:  上昇 上昇 やや上昇 やや上昇 横ばい 横ばい やや低下 やや低下 低下 低下

※物件検討時の予算の目安です。詳しくはシービーアールイー(株)社員におたずねください。

文中の空室率については、2014年3月期より、データ算出の対象となるオフィスビルを、原則として延床面積1,000坪以上、かつ新耐震基準に準拠した物件に変更しました。

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上記内容は BZ空間誌 2017年冬季号 掲載記事 です。本ページへの転載時に一部加筆修正している場合がございます。

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