空室率の上昇に伴い、26 期ぶりに想定成約賃料が下落。
新築ニーズは堅調
シービーアールイー(株)の調査による、2020年9月期の福岡主要オフィスゾーンの空室率は、前期(同年6月期)から0.6ポイント上昇の1.2%となった。空室率が1%を超えるのは、2017年3月期以来13期ぶり。新型コロナウイルスの影響を受け、撤退や一部返室等、解約の動きが目立った。テナントの方針見直し、意思決定スピードの鈍化も空室の長期化に影響している。
空室率の上昇に伴い想定成約賃料は0.4%下落し、16,460円/坪(共益費込)となった。想定成約賃料の下落は、2014年3月期以来、26期ぶりとなる。ただし、既存ビルの解約に伴う空室(解約予告も含む)は増加しているものの、依然、主要エリアにおける空室率は低水準にある。オーナーサイドが、案件ごとに個別事情を勘案する形で、条件緩和を行っており、積極的に条件見直しを行う段階には至っていない。移転等を検討するテナントは選択肢が増え、従前は難しかった条件交渉も、比較的行いやすくなっている。
新築物件は、「天神ビッグバン」第1号案件の「(仮称)天神ビジネスセンター」を中心に、テナント需要が堅調。物件決定において、ステータスの向上(立地やグレード)、営業効率の向上に資すること(交通利便性)、コストは重視される項目であるが、災害や新型コロナウイルスの感染拡大を受け、BCP対策や感染症対策等、従業員の健康や安心に関連する項目への関心が高まっているように見受けられる。また、多様な働き方への対応として、フレキシブルオフィスの利用にも注目が集まっている。
さらなる空室率の上昇に懸念
今後、福岡のオフィス市場において、新型コロナウイルスの影響が、顕在化してくるものと予測される。また、2021年から24年にかけ、福岡では、具体化しているだけで約7.9万坪の新規供給が予定されている。緊急事態宣言解除後、コールセンターやIT関連企業、中小規模の案件を中心に、テナント需要は回復しつつあるが、空室率のさらなる上昇は免れないだろう。
新規供給に喚起される需要を、どこまで増やすことができるか、国家戦略特区「グローバル創業・雇用創出特区」の指定や「国際金融拠点構想」等、産官学連携の拠点開設・雇用増の取り組みをはじめとした、福岡以外からの新規需要開拓の動きを注視したい。
福岡支店 田中 菜津美
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| 種別 | 賃料(共益費込み) | 需給の動向 | 空室率 推移 |
|---|---|---|---|
| 博多駅前 | 17,000円~21,000円/坪 | 新型コロナの影響により100坪を超える空室への需要が鈍化。募集賃料については現状維持で推移しているが、下落の予兆あり。 | ![]() |
| 博多駅東 | 15,000円~17,000円/坪 | 解約、成約ともに動きが鈍化。募集賃料については現状維持で推移しているが、下落の予兆あり。 | ![]() |
| 呉服町 | 15,000円~17,000円/坪 | 新型コロナの影響により100坪を超える空室への需要が鈍化。募集賃料については現状維持で推移しているが、下落の予兆あり。 | ![]() |
| 天神 | 19,000円~22,000円/坪 | 一部既存ビルで高価格の成約はあるものの、需要が鈍化しており賃料下落の予兆あり。大型の解約が増え、空室率上昇。 | ![]() |
| 赤坂大名 | 14,000円~16,000円/坪 | 解約、成約ともに動きが鈍化。募集賃料については現状維持。 | ![]() |
| 北九州小倉 | 9,000円~11,000円/坪 | テナント動向は停滞。賃料についても横ばい。既存ビルで大型解約があり空室率上昇。 | ![]() |
| 中・大型倉庫 市内 |
2,800円~3,200円/坪 | 大型倉庫は満床。2021年竣工の物件にも強い引き合いが入っている。新規供給を期待する声が多く、コロナ禍においてもニーズは堅調。 | ![]() |
| 空室率推移凡例: | ![]() |
上昇 | ![]() |
やや上昇 | ![]() |
横ばい | ![]() |
やや低下 | ![]() |
低下 |
※物件検討時の予算の目安です。詳しくはシービーアールイー(株)社員におたずねください。
文中の空室率については、2014年3月期より、データ算出の対象となるオフィスビルを、原則として延床面積1,000坪以上、かつ新耐震基準に準拠した物件に変更しました。






