グレードA空室率は0.2%まで低下。 オールグレードも過去最低の1%台へ。
インバウンド効果
ここ数年、訪日外国人が急増しているが、特に関西ではその増加の伸び率が著しく、インバウンド消費も増加傾向である。経済効果は多くの産業に及び、関西経済の成長に大きく寄与しているようだ。中国の関税引き上げの影響があったものの、訪日外国人による買い物の売上増加は、今後も期待されている。また、宿泊客の増加に伴う、ホテル等の宿泊施設の建設ラッシュは、オフィスビルの新規供給にも影響を与えているほどである。
バブル時を上回る好調な市況
当社調査による2018年3月期の大阪オールグレードの空室率は、対前期(2017年12月期)比0.6ポイント低下の1.9%となった。また、「梅田」エリアの今期の空室率は0.2%、「堂島」エリアにおいても、同様に1%を切っており、バブル時を上回る好調さが持続している。
大阪グレードAビルの今期の空室率は0.2%と、ほぼ満室に近い状態である。館内増床希望も多く、市場に出て来ない空室も非常に多い。仮に空室の募集が出た場合でも、空室待ちのテナントが複数控えており、複数の申込書がすぐに提出されるといった状況である。空室をめぐるテナントの競争が当たり前になり、ますます貸し手市場の色合いが濃くなっている。
このような市場変化に伴い、物件を探す立場のテナントサイドにも変化が見られる。建物賃貸借申込書を提出する際、諸条件に対する各社の希望はあるものの、それらを抑えた内容で申し込むことが多くなっている。特にフリーレントの希望は最低限とし、物件確保が最優先な内容としている。また、物件を決める際の社内決済についても、時間短縮に努力するテナントが増えている。
一方のオーナーサイドでは、賃料の上昇やフリーレント付与の減少等がありながらも、LED照明への切り替えの加速、共用施設のリニューアルや、貸室内のタイルカーペットの質の向上等により、テナントの満足度を高めるべく、ビルのグレードアップに努めるケースが増加している。
今年竣工予定の唯一の大型ビル「なんばスカイオ」(9月竣工予定)では、今年3月時点で、おおむね7~8割のテナントが内定しており、満室竣工もあるのではないかとみられている。
関西支社 粟井 克彦
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相場表
種別 | 賃料(共益費込み) | 需給の動向 | 空室率 推移 |
---|---|---|---|
梅田 大規模ビル |
22,000円~29,000円/坪 | 引き続き空室消化が進んでおり、館内増床のニーズも非常に強い。 | |
梅田 中小規模ビル |
17,000円~21,500円/坪 | 大規模ビル同様、多くのビルで高稼働が続いている。 | |
淀屋橋・本町 大規模ビル |
17,000円~20,000円/坪 | 梅田の空室消化が進んでいることもあり、大きな面積の確保は困難。 | |
淀屋橋・本町 中小規模ビル |
12,500円~15,500円/坪 | 割安感のある物件から空室消化が進んでいる。 | |
難波・心斎橋 大規模ビル |
12,000円~20,000円/坪 | 梅田や本町・淀屋橋の空室が減っていることもあり、移転検討エリアが拡大したためニーズを獲得している。 | |
難波・心斎橋 中小規模ビル |
8,000円~10,000円/坪 | 来店型テナントの引き合いは、相変わらず強い。 | |
周辺都市 大規模ビル |
10,000円~13,000円/坪 | 中心部程ではないにせよ、大型空室への引き合いは強い。 | |
周辺都市 中小規模ビル |
8,000円~10,000円/坪 | 大規模物件に比べると、動きは緩やか。 | |
事務所兼倉庫 市内・北摂・東大 |
4,000円~6,000円/坪 | 新規空室は若干増えつつあるが、需要が多く、物件は早期に満室になる傾向。テナントサイドは、早期の物件確保の意思決定が重要となる。 | |
倉庫・配送センター 郊外 |
3,300円~3,900円/坪 | 大量供給が続く先進的な大型物流施設は、全体的に空室消化が進みつつあるものの、物件によりリーシング状況の明暗が分かれている。 |
空室率推移凡例: | 上昇 | やや上昇 | 横ばい | やや低下 | 低下 |
※物件検討時の予算の目安です。詳しくはシービーアールイー(株)社員におたずねください。
文中の空室率については、2014年3月期より、データ算出の対象となるオフィスビルを、原則として延床面積1,000坪以上、かつ新耐震基準に準拠した物件に変更しました。