神戸:継続する需要から空室消化ペースが加速。
神戸のオフィスマーケット
神戸における2018年3月期の空室率は、対前期(2017年12月期)比で0.4ポイント低下して3.2%となった。昨年後半に空室率5.0%ラインを切って以来、オールグレードで空室の消化ペースが少しずつ加速してきている。
今期の大きな動きとしては、3月末に竣工した「LILLY PLAZAONE BLDG.」に大手外資製薬会社が1棟借りで移転し、その退去後の空室約3,600坪も複数テナントで内定していることが挙げられる。また、神戸市庁舎建替に伴う立ち退きも本格化し、大型空室の逼迫に拍車をかけている。優良立地やグレード感のある物件は空き予定段階で内定していくが、立地やリニューアル状況、企業受け入れの柔軟さで劣るビルは依然苦戦しており、マーケットにはまだ若干の余地がある。
昨年からの空室率低下を受け、平均想定成約賃料も対前期比1.3%(140円/坪)上昇して11,120円/坪となった。継続賃料の上昇は限定的であるが、三宮駅前再開発による新規供給がスタートする2021年頃までは、新規成約賃料は上昇傾向で推移していくものと思われる。
京都:全国的に見ても、空室確保が困難な都市。
京都のオフィスマーケット
京都における2018年3月期の空室率は、対前期比0.1ポイント上昇の0.8%となった。わずかに上昇したものの基調に変化はなく、全国的に見ても空室を確保することが困難なエリアであると言える。京都マーケット全体での総貸床面積を踏まえると、0.8%という空室率の低さは、空室がほとんどない状態だと言って決して過言ではない。
平均想定成約賃料は、対前期比で1.8%(230円/坪)上昇して13,250円/坪となった。移転や新規開設を検討するものの、候補物件の選択肢が限られていることや、賃料高騰の状況を受けて、計画を中止または延期するケースも珍しくなくなってきている。面積を問わず引き合いは強い状況にあり、中でも大型の空室への引き合いは強く、限られた空室を複数社が同時に検討するという状況は、今後も続くと考えられる。
オフィス床への需要が高まる中、ホテル供給だけにとどまらず2010年以来ストップしているオフィスビルの新規供給が期待される。
関西支社 松田 梓 布施 直
- 現在募集中の神戸市の賃貸オフィス
- 現在募集中の京都市の賃貸オフィス
相場表
種別 | 賃料(共益費込み) | 需給の動向 | 空室率 推移 |
---|---|---|---|
三宮~神戸 大規模ビル |
15,000円~18,000円/坪 | 前期に続いて空室率低下が加速しており、駅前立地に限らず大型空室確保の選択肢は少ない。 | |
三宮~神戸 中小規模ビル |
8,000円~15,000円/坪 | 立地や築年数、設備水準等により賃料格差はあるものの、空室率の低下基調は継続している。 | |
姫路 | 7,500円~13,000円/坪 | 「マルイト姫路ビル」竣工により、店舗・事務所で若干の二次空室が出てくるも、影響は限られる見込み。 | |
明石・加古川 | 6,000円~8,000円/坪 | 需給ともに動きが少ない。 | |
阪神間 | 9,000円~12,000円/坪 | 新規供給が少なく慢性的な品薄状態が続いているため、新規募集賃料は緩やかに上昇している。 | |
四条烏丸 大規模ビル |
17,000円~22,000円/坪 | 京都駅前同様、引き合いの強さは変わらず強い。 | |
四条烏丸 中小規模ビル |
10,000円~15,000円/坪 | 引き続き高稼働が続いている。 | |
京都駅前 | 15,000円~20,000円/坪 | 空室はほぼなく、空き予定も館内増床で埋まるケースが多い。 | |
倉庫・配送センター・工場 兵庫 |
3,000円~4,000円/坪 | 汎用性の高い中小型物件は引き続き空室が少ない。大型物件は神戸市内陸部で複数開発が進み、既存空室も出てきている。 | |
倉庫・配送センター・工場 京都 |
3,000円~4,000円/坪 | 京都南ICから久御山周辺で300坪程度の需要が最も多い。新規空室が発生しても短期間でテナントが決まる事例が見受けられる。 |
空室率推移凡例: | 上昇 | やや上昇 | 横ばい | やや低下 | 低下 |
※物件検討時の予算の目安です。詳しくはシービーアールイー(株)社員におたずねください。
文中の空室率については、2014年3月期より、データ算出の対象となるオフィスビルを、原則として延床面積1,000坪以上、かつ新耐震基準に準拠した物件に変更しました。