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「今こそ考えたい」、物流企業に経営ビジョンが求められる理由

今どき、まさか本気で「従業員のモチベーションをコントロールするのは、給与の額である」なんて思っていませんよね?

給与の多寡は、たしかに従業員のモチベーションアップには大切でしょう。
しかし、それだけでモチベーションを十分にコントロールできると思っている経営者がいるのであれば、それは大きな間違いです。
あるトラックドライバーは、経営ビジョンを掲げない会社に愛想を尽かし、自分自身がプロドライバーとして働き続ける矜持を満たしてくれる運送会社へと転職しました。

物流の2024年問題、フィジカルインターネット、物流ロボットやトラックの自動運転・無人運転に代表される物流テクノロジーの発展と普及など、今、物流は大きな変革期にあります。

こういった時期だからこそ、物流企業が経営ビジョンを掲げることの大切さを考えていきましょう。

「今こそ考えたい」、物流企業に経営ビジョンが求められる理由

「おにぎりのひとつも届けられないなんて!」、被災地支援に想いを馳せるドライバー

東日本大震災の翌年、知己のトラックドライバーと酒を酌み交わしていたときのことです。

「こんな時期だよ。『プロのトラックドライバー』だと言うなら、おにぎりのひとつも届けたかったよ。なのに...。なんのためのプロドライバーなのか。悔しいよ」

突然、涙を流し始めた彼に、筆者は驚きました。
しかし、彼の想いは、痛いほど筆者にも伝わりました。

2011年3月11日、突然の悲劇に日本のみならず、世界中の人々が心を痛めました。
やがて、被災地での苦境が伝わってきました。

水がない。
食べ物がない。
衣食住のすべてが不足している。

彼は、「ウチからも支援物資を送りましょうよ!」と社長に直訴したそうです。しかし、社長にはダメだと言われました。それでも直訴する彼に、社長は「だったらトラックは貸してやるが、燃料代と高速代は自腹だ」と言い放ったそうです。

冷静に考えれば、彼の要求は少々度を越えていますし、「社長が悪い」と決めつけるのは早計でしょう。ただ、あのときは、すべての人が少なからず、冷静ではなかったはずです。

「『モノを運ぶ』のがトラックドライバーの仕事。頭では理解していたつもりだけど、たぶん、心では理解していなかったんだよ」

それからほどなくして、彼は転職しました。
東日本大震災をきっかけに、「モノを運ぶ」という自身の仕事の意義と真剣に向き合った結果、彼は「今の会社は、自分が働き続けるべき会社ではない」と判断したのです。

「一番の問題はね、僕と社長の考え方が対立したことではないんだよ。
『社長は、今まで"モノを運ぶ"ということの意義を本気で考えたことがないんだ』と気がついたとき、『もうこの人の下では働けないな』と思っちゃったんだよね」

「今こそ考えたい」、物流企業に経営ビジョンが求められる理由

企業ビジョンに対する理解度が、愛社精神につながる?

総従業員数1000名強、うち運送部門従事者が100名弱の物流企業において、運送部門従事者(ドライバー、配車担当者、事務担当者)を対象にメンタリティ調査を行ったことがありました。

同社では、24時間3交代制で配送事業を行っていました。
調査の結果、夜間勤務の従業員が、日中勤務の従業員(朝勤務スタートおよび夕方勤務スタート)よりも総体的に「愛社精神が低く、経営ビジョンも覚えていない」傾向が明らかになりました。

理由は、「夜間勤務者は、会社上層部とのコミュニケーション機会が乏しいこと」にありました。
日中勤務の従業員は、社員食堂や喫煙室などで、社長を始めとする役員や、部長、所長などの高職位者と会話を交わす機会が日常的にありました。結果、自ずと会社の経営状況に関しても高職位者らと話すことになり、経営ビジョンにも興味が向いていたものと考えられます。
一方で、夜間勤務の従業員は、会社上層部の人たちと話す機会はほとんどありませんでした。社長や役員が夜間に出勤する機会が少ないですし、夜間は社員食堂も閉店しています。結果、夜間勤務の従業員らは孤独化・孤立化していったのです。

このケースでは、同じ社内において就労環境の異なる従業員がいたため、分かりやすく経営ビジョンの認知度と、愛社精神の間に相関性が見られました。ただし、筆者が同様の調査を他社で行った経験では、総じて愛社精神の低い会社では、経営ビジョンの認知度も低いことは付記しておきましょう。

「今こそ考えたい」、物流企業に経営ビジョンが求められる理由

今、経営ビジョンが求められる理由

筆者は、複数のWebメディアで物流をテーマにした記事を執筆し、その記事はYahoo!ニュースでも配信されています。筆者の執筆記事に限らないのですが、物流系記事には、ドライバーや倉庫作業員ら、物流従事者と思しき人から多数のコメントが付きます。

物流ロボットや自動運転・無人運転トラック、あるいは配車システム、あるいはフィジカルインターネットなど、新たな物流テクノロジーのことをテーマにした記事には、「現場を知らない奴らが作ったものなんて役に立つものか!!」といった批判的なコメントや、「いずれ俺たちはお払い箱だな」といった自虐的なコメントが多数付きます。

皆さん、不安なんでしょうね。
転換期にある物流が、今後どのように変化していくのか?
あるいは、その変化に自分たち、あるいは勤務する会社がついていけるのかどうか?

当然でしょう。物流ビジネスが変われば、仕事内容が変わります。変わることには、不安やストレスが付いて回ります。
転換期にある物流ビジネスに対しストレスを感じている人たちが、このストレスを乗り越えるためには、ストレスを乗り越えるためのモチベーション向上が必要です。

会社員の仕事に対するモチベーションを示す、以下のような方程式があります。

自己内利益=
売上(年収・昇進から得られる満足感)-コスト(肉体的・時間的労力や精神的苦痛)

この方程式によれば、勤続年数の経過とともに、従業員の自己内利益(≒仕事に対する満足度と考えてください)は下がっていきます。

例えば、課長だった人が部長に昇進し、年収が100万円上がったとします。最初は、「部長になったという自己肯定感」と給与アップから、自己内利益は上がるでしょう。
ところが、自己肯定感や給与アップにはやがて慣れてしまいます。一方で、部長に昇進したことによって管理する部下も増え、そして会社からのプレッシャーもきつくなります。つまりコストは上がっていくのに、売上は減っていく。だから、自己内利益は減少していきます。

これは昇進ではなく、業務改善・変革においても同様です。
例えば、「物流ロボットを導入しなさい」と言われた倉庫担当者のケースを考えましょう。

頭では、「人手不足対策として物流ロボットは必要だよな」とは分かっているでしょう。しかし、現行の業務に加え、新規プロジェクトを任されたのでストレスはたまります。部下が口にした「ロボットが導入されたら僕たちクビですね」という冗談が、冗談に聞こえません。そんなストレスにさらされているうちに、自己内利益は下がり、仕事に対するモチベーションはどんどん下がっていきます。

従業員の自己内利益を下げないためには、プラス要素を加える必要があります。

自己内利益=売上-コスト+α

自己内利益を下げず、物流の転換期を乗り越えるためには、「+α」が必要なのです。そして、優れた経営ビジョンは、「+α」として作用し、従業員の自己内利益を向上させる効果を持ちます。

優れた経営ビジョンは、変化や困難を乗り越える原動力になる

「+α」には、仕事のやりがい、自己承認欲求、働き方や福利厚生(テレワーク実施や週休3日制の導入など)などが考えられます。ただし、挙げた例は、いずれも個人の素養や考え方、あるいはライフスタイルに左右されやすい要素です。効果は人それぞれ、といったところでしょうか。

一方で、優れた経営ビジョンは、変化や困難を乗り越える原動力として期待ができます。
「なぜ今、業務改善・変革を行うのか?」、納得できる理由に結びつく経営ビジョンがあれば、不安や恐れはやわらぎ、頑張ろうという意識が生まれるものです。

逆にしっかりとした経営ビジョンがない会社で働く人は、冒頭に挙げたドライバーのように、不安や不満を感じることもあるでしょう。

繰り返しますが、物流は今転換期を迎えています。そして皆、不安なんです。
変わっていくのも不安ですが、変わらないことも不安なはず。

だからこそ、会社は言葉で説明し、その不安を取り除く努力を求められています。優れた経営ビジョンは、従業員の不安を取り除き、行く先を照らす灯台のような役目を果たします。

経営ビジョンを、飾り物のように考えている経営者がいたら、大間違いです。そして従業員の不安を「たいしたことないよ」と考えている経営者がいたら、それはとても悲しいことです。

もし、本稿を読んで、「そういえば...」と思い当たる経営者がいらっしゃったら。
従業員と、そして会社の未来のために、経営ビジョンの再構築に取り組むことをおすすめします。

「今こそ考えたい」、物流企業に経営ビジョンが求められる理由

執筆・物流ジャーナリスト 坂田良平

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