先進的なマテハン機器を導入した最新の自動化物流センター
読売インフォメーションサービス
ロジスティクス本部
市川センター長
池田敏弘氏
当社は1976年の設立以来、折込広告を中心とする広告会社のリーディングカンパニーとして成長してきました。2011年度の売上は、単体で705億円、連結で1166億円と折込広告業界1位。広告代理業全体でも8位に位置しています(2010年度広告と経済)。その中にあって、「プロロジスパーク市川1」内に開設した市川センターは、首都圏向けの物流センターとして業務の中核を担う、極めて重要な拠点となっています。首都圏でいち早く導入した完全梱包システムを発展させ、一層の最新設備、バーコード管理システムを完備した自動化物流センターです。
5階の約4,700坪を専有し、Aセンター・Bセンターの2区画に分けて作業をしています。非常に複雑な分類、かつスピードが求められる物流システムを構築しているのですが、その中核を成すのが最新のマテハン(マテリアルハンドリングシステム)機器といえます。
ここで行っている業務は大きく分けて3つあります。1つは、東京および千葉・神奈川の1都2県にある新聞販売店に顧客の指定どおりの折込チラシを入荷検品後、梱包・配送する業務です。首都圏の新聞販売店向けの配送業務の対象は、読売新聞に限らず朝日・毎日・産経・東京・日経などの各系統紙の販売店で、その数は約2,800店にものぼり、各店舗へここから100台以上のトラックで毎日折込広告を配送しています。2つ目は、全国にある提携会社に向けての折込チラシの転送業務。3つ目は、読売新聞社関連の様々な商品の管理と読売新聞販売店への配送業務です。
株式会社読売ISロジテム
統括本部 本部長 菅原亨氏
印刷会社から当センターに納品される1都2県(東京・千葉・神奈川)に折り込みするチラシは、パレット毎に管理用のバーコードが付けられます。それを606棚ある入荷用自動倉庫に格納した後、オペレーターが端末で操作すると、モービルソーターで自動的に運ばれ、各販売店毎に必要な枚数を自動で仕分けし、新聞名・販売店名・広告主名・枚数などが印字された宛て紙とともに結束され、ラックソーターによって4万1700棚もある出荷用自動倉庫の棚に格納されます。その後、ドライバーが積込場にある端末を操作することで、担当地域の販売店あてのチラシを、配送の順路どおりに送り出してきます(Bセンターのマテハン機器は若干異なっています)。
こうしたシステムにより、センター全体の折込処理束数1日最大10万束、梱包作業能力1時間当たり最大7,000束という処理能力を実現しているのです。
地震後もシステムは問題なく稼働、改めて認識した免震構造の効果
3月11日に地震が発生した際は、まず始めにセンターで働いている人達の安全を確認し、手動で機械をストップさせ、揺れが落ち着くのを待ったのですが、後でテレビを見て、こんなにも甚大な災害が発生していることを知り愕然としました。
揺れが収まったあと急いで倉庫内の被害状況を確認したのですが、目視での被害は、センター内にパレットを重ねて平置きしていたチラシの束が数個程落ちていただけでした。ただ、マテハンが正常に再稼働するのかは非常に心配していました。これが、全く支障なく震災前と同じように動いてくれた時には、心底ほっとしました。
あるマテハン会社に聞いたところでは、千葉県内で同じようなマテハンを使用している他の企業は震災で大きな被害 にあい、機械の修理に半年ぐらいかかるということ。改めて免震構造の威力を再確認した次第です。
明らかになった事業継続へのリスク、施設の安全性だけでは不十分
今回の東日本大震災は、各地に未曾有の大きな被害を出したにもかかわらず、当施設内ではほとんど問題がありませんでした。ただし、入口ゲート付近や駐車場の液状化など、全く支障がなかったといえば嘘になります。例えば施設周辺が倉庫や工場ばかりの立地なのですが、近隣の住宅街の復旧工事が優先された結果、断水が2週間程続きました。
これら周辺インフラの問題によって、顧客に直接的な不利益は及ぼさなかったものの、しばらくの間、若干の不便を強いられることになりました。幸いにも当施設は自動化が進んでいることから作業人員はさほど多くなく、その後の交通アクセスや断水などの影響も、人員の多いセンターと比較すると軽微なものだったかもしれません。ただ、今回の震災により、事業継続に対する様々なリスクが明らかになったことは紛れもない事実です。現在は、大震災など想定外の事態と思っていたことでも起こり得るという認識に立ち、業務内容、施設、周辺インフラも含めた災害対策を再検討しているところです。