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先進的物流施設の最前線

  • 2025年4月9日

― 物流効率化にとどまらない新しい社会のインフラへ ―

大型マルチテナント型物流施設(LMT)は、その供給が増えるにつれ、競争力強化のため、多機能化、高付加価値化が進んでいる。環境への配慮やBCPに加え、公共性や課題解決に資する役割を持ち始めたLMT。地域住民や自治体への配慮として、公園や災害時の避難施設として利用されたり、企業間のコラボレーションを創出したりするなど地域経済のけん引役としての役割も期待され始めている。また、社会構造の変化により冷凍冷蔵倉庫や、危険物倉庫など用途特化型のLMTも市場を形成しつつある。さらに政府の中長期計画を見据え、計画が進行中の次世代型物流施設など、存在感を増しつつある物流施設を紹介する。

地域経済の活性化、環境への配慮、地域コミュニティの形成に貢献
まちづくり型物流施設

LMTは超大型化し、2020年以降、延床面積5万坪を超えるような巨大なものが供給され始めた。その結果、LMTは、施設内の充実だけでなく、地域にも開かれた施設となっている。最新の物流設備や就労環境の向上への配慮がされていることは言うまでもなく、周辺地域にも開かれた公園やカフェテリア、コンビニ、託児所等を整備。非常時には施設内に地域住民を受け入れ可能な広場を整備したり、災害支援物資の配送センターの機能も有しているものもある。また、イベントの開催など地域社会との共生や入居企業間のコミュニケーションを醸成する取り組みも行われ、地域のハブになりつつある。

MFLP・LOGIFRONT東京板橋

MFLP・LOGIFRONT東京板橋敷地内の公園は地域に開かれている(手前部分)
ドローンラウンジドローンラウンジ
ドローン飛行用フィールド(フットサルコートとしても利用可)ドローン飛行用フィールド(フットサルコートとしても利用可)

GLP ALFALINK相模原

GLP ALFALINK相模原 カフェやレストラン、コンビニがある「リング棟」は地域にも開かれている
サマーフェスタサマーフェスタ
子ども向け交通安全教室子ども向け交通安全教室

社会構造の変化により需要が高まる特定用途のLMT
用途特化型物流施設(冷凍冷蔵倉庫、冷凍自動倉庫、危険物倉庫)

ライフスタイルの変化に伴い、冷凍食品など食品ECはさらなる需要の高まりを見せ、賃貸型市場が形成されつつある冷凍冷蔵倉庫。企業が自前で建設することが一般的であるものの、建築費の高騰や、賃貸型を選択することで柔軟な経営判断が可能になることから、投資家やデベロッパーが開発に取り組み始めている。2030年を見据え、ノンフロン(自然触媒)を採用するなど、環境にも配慮。省人化のため、冷凍自動倉庫や、短期間、パレット単位で必要なスペースだけを利用できるサービスも一部で始まっている。

また、サプライチェーンの変化や危険物を扱う企業の法令順守意識も高まる中、危険物倉庫が注目を集めている。既存施設の老朽化や開発・運営に高度な専門性を要する上にコストが高いこと、さらにリチウムイオン蓄電池の保管についての規制緩和がその需要を後押しする中、LMTに併設するかたちで危険物倉庫の供給が進んでいる。

GLP川崎Ⅱ(冷凍冷蔵倉庫)

GLP川崎Ⅱ(冷凍冷蔵倉庫)

LOGI FLAG TECH 所沢Ⅰ(冷凍自動倉庫)

LOGI FLAG TECH 所沢Ⅰ(冷凍自動倉庫)

プロロジスパーク古河4(危険物倉庫が併設)

プロロジスパーク古河4(危険物倉庫が併設)

冷凍自動倉庫内部

冷凍自動倉庫内部

多様化するテナントニーズが拓く都市型物流倉庫の未来
課題解決型物流施設(共同建築型)

ECの広がりにより、ラストワンマイル拠点としての需要が高まる都市型物流施設。ただし都市部においては倉庫機能に限らない多目的利用(マルチユース)が進む。都市型物流施設は、東京23区では需要に対して、供給が追いつかない状況が続く。その要因として、新たな施設建設のための土地がないことや、老朽化した倉庫を建て替えたくても、法令や収益性から再び倉庫として、建て替えることが難しい現状がある。そこで、倉庫業者と物流デベロッパーが連携し、両社の共同事業として、新しい都市型物流施設を開発している事例がある。ラストワンマイル拠点としての機能に加え、オフィス、ショールーム、ラボなどの都心部ならではのニーズに対応する。

プロロジスアーバン東京錦糸町1

プロロジスアーバン東京錦糸町1施設老朽化のため、共同事業により建て替え
断面パース断面パース

日本初の高速道路IC直結型物流施設で都市圏を結ぶ幹線輸送で自動化を実現
次世代基幹物流施設

長距離幹線輸送を中心に、深刻化するドライバー不足に対応するため、高速道路ICに直結しレベル4自動運転※1トラック等の次世代モビリティの受け入れが可能な物流施設の計画が進んでいる。高速道路から一般道に降りることなく、IC直結でトラック等が出入可能な基幹物流施設は日本初。京都府城陽市に計画中の同施設は、自動運転トラック等の発着拠点となるモビリティプールが設置される予定で、京都府の「新名神を活かす『高次人流・物流』構想」の中で、次世代型物流拠点として位置づけられている。さらに宮城県仙台市で計画されている基幹物流施設は2030年代前半以降に竣工予定。日本全国を結ぶ拠点整備を進めることで、幹線物流が自動化され、人手不足解消や配送効率の高い物流ネットワーク構築を図るほか、国が2040年までに実現を目指す「フィジカルインターネット※2」の実現に寄与する。

京都府城陽市基幹物流施設

京都府城陽市基幹物流施設

宮城県仙台市基幹物流施設 宮城県仙台市基幹物流施設

※1:レベル4自動運転は「高度運転自動化」とも呼ばれ、自動運転が許可されているエリアにおいて、人の介入を必要とせず運転を行い、運転が困難な状況に陥った時には安全な場所に停止するなどの制御までをすべてシステムが行うもの。
※2:フィジカルインターネットは、「総合物流施策大綱(2021年度~2025年度)」で言及されている、物流の効率化と持続可能性を目指す革新的なシステム。

資料提供:三井不動産㈱・日鉄興和不動産㈱、日本GLP㈱、霞ヶ関キャピタル㈱、プロロジス、三菱地所㈱〈掲載順〉

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上記内容は BZ空間誌 2025年春季号 掲載記事 です。本ページへの転載時に一部加筆修正している場合がございます。

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