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人不足対策が進む未来のために、物流施設が考えるべきこと|物流不動産ビジネスと物流クライシス(後編)

先日、とあるメーカーの物流センターを取材したときのことです。
自動化や省人化に取り組む理由について、担当者はこのように答えてくれました。

「実は、この地域の就労可能人口は減少傾向にあり、10年後には就労可能人口が6割まで減少すると見込まれているからです」

これは、すべての物流施設に起こりうる危機です。
そもそも、少子高齢化が進み、2070年には総人口が現状3割減の8700万人に減少、高齢化率が約4割に達すると予測されている日本社会において、雇用を安定的に確保できる地域は限られてきます。

それでなくとも、物流施設は人口集中地域から外れた郊外に建設されることが多くあるもの。そして物流不動産ビジネスは、10年20年といったスパンで行われるビジネスです。

「物流の2024年問題」を筆頭とした物流クライシスに直面し、大きな変革期に直面している物流業界ですから、当然、物流不動産ビジネスにも、未来を見据えた戦術・戦略が必要になるでしょう。

人不足対策が進む未来のために、物流施設が考えるべきこと

トラックの自動運転が変える、近未来の物流施設好立地条件

現在、「物流の2024年問題」によるトラックドライバー不足(※厳密には、残業時間の上限規制によって生じる、輸送リソース不足)に対する対策として、自動運転の社会実装が急ピッチで進められています。

  • 2023年4月1日には、自動運転レベル4(※後述)を社会実装するための改正道交法が施行。
  • 2023年1月には、「自動運行従事者 」なる職務の検討が開始。 検討会では、「輸送の安全確保の観点から、運送事業者の従業員のうち、運転者が行っていた運転操作以外の業務を行う者を『自動運行従事者(仮) 』として法令に位置づけ」と定義されている。
  • 政府は、2026年を目処に、自動運転トラックを実現すると発表している。

どうですか?
「自動運転トラックの実現なんて、まだまだ先でしょう?」と考えている人も多いことと存じますが。
実は多くの人が想像している以上に早く、自動運転トラックは実現する可能性があります。

筆者は、自動運転トラックが実現すると、物流施設に求められるスペックや、好立地の条件などが大きく変わる可能性があると考えています。

自動運転トラックについて、まず実現(社会実装)するのは、運行エリアと運行条件を限定した自動運転レベル4です。「いつでもどこでも自動運転ができる」、自動運転レベル5の実現は、まだ先の話です。

当然、都市部での自動運転はハードルが高いです。人、クルマ、自転車などの異なる、しかも多数のモビリティが、同じ道路環境内を共有している都市部で自動運転トラックの走行を許可するのは、さすがにハードルが高いです。
また、首都高速道路のような、狭くてくねくねとした道路環境も厳しいです。

ですから、自動運転トラックは、郊外の主要道路(高速道路から一般道へ拡大)から、解禁されていくと予想されます。

すると、都市部を中心とした円状に、自動運転トラックによる幹線輸送用の物流施設が必要となってきます。幹線輸送は、自動運転トラックが担い、人口が密集する都市部への貨物バラマキは、ドライバーが手動運転するトラックが担うという構図が実現するわけです。

こうなると、現在都市部にある物流施設に求められる機能・性能は、DC型(「Distribution Center」の略で、「在庫型物流センター」のこと)ではなく、TC型(「Transfer Center」)の略で、「通過型物流センター」のこと)が中心になっていく可能性があります。

実は以前、ある物流不動産ディベロッパーの役員に、この未来シナリオをお話しして、「こうなると都市部に現存するDC型物流施設は、軒並み不良債権化する恐れがあるのでは?」と問いかけたことがあります。

「ずいぶんと厳しいことを言うのですね」と一蹴されましたけど。

人不足対策が進む未来のために、物流施設が考えるべきこと

立地エリアにおける就労可能人口の減少により、維持継続ができなくなる物流センター

前話では、このように締めています。

「『物流施設を移転した場合、5~10年後も庫内作業員を継続確保できるか?』、という『人の都合』に対する考慮も必要になります」

物流施設は、それが自社物件であれ、賃貸物件であれ、5年10年、あるいは20年以上に及ぶ長期のスパンで利活用されます。

  • 5~10年後、あるいはそれ以降も人手の確保が容易な地域(≒就労可能人口がキープされる地域)は限られてくること。
  • こういった物流施設は、賃料も上がるはずであり、テナント企業は採算分岐点が上がってしまうはず。
    つまり、運用が難しい物流施設になってしまう可能性があること。
  • 就労可能人数が確保できる地域と、4時間到達圏内などの輸送面からメリットの高い地域(前話参照)が一致するとは限らないこと。
    よって、人材確保とサプライチェーンを考慮した物流施設の最適化が、今よりもさらに厳しい対立関係に陥る可能性がある。

だから、自動倉庫・物流ロボット、あるいはバース予約管理システム 、WMSなどの物流システムや省人化対策ソリューションを統合運用して、より優れた省人化と生産性向上を実現する必要があるわけです。

確かに、「物流の2024年問題」が直近のターゲットとする2024年4月1日(※トラックドライバーに対する年間時間外労働時間の上限規制発動日)だけを見れば、「物流の2024年問題」と物流不動産ビジネスの相関性、あるいは因果関係は薄いでしょう。

ただし、すでに申し上げたとおり、物流不動産ビジネスは、10年20年といった中長期スパンで行うビジネスであるはずです。
だとすれば、「物流の2024年問題」を筆頭とする物流クライシスや、これらがもたらす物流ビジネスの技術革新、ビジネス革新と無縁でいられるはずはないでしょう。

人不足対策が進む未来のために、物流施設が考えるべきこと

日本社会を襲う物流クライシスに、物流不動産ビジネスだって無関係ではいられない

前話では、立地の観点から。本話では、物流施設内で働く「人」の観点から、物流クライシスと物流不動産ビジネスの関係を論じました。

物流クライシスって、今や毎日、どこかのメディアで取り上げている、いわば日本社会全体が直面している強大な課題ですから。物流不動産ビジネスにも、影響を与えるのは当然のことでしょう。

「日本社会が直面している物流クライシスに対し、物流不動産ビジネスは、どのように対応していくのか?」──これは、とても興味深いテーマです。

これは筆者の個人的な期待であり、そして願いでもあるのですが。

物流不動産ビジネスは、大きなポテンシャルを秘めています。だからこそ、物流クライシスを見据えた物流ビジネスの未来図を描くことに、ぜひ物流不動産ビジネス関係者の皆さまには、果敢に挑戦してほしいと、筆者は願い、そして期待しています。

物流ジャーナリスト 坂田良平

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