ガーデンシティ品川御殿山

当社は1980年頃から大型オフィスビル開発を行ってきましたが、その中には、住宅メーカーとして私どもが培ってきたノウハウが活かされていると考えます。オフィス開発においてもまず大切にするのは、そこで働くワーカーや来訪者等、オフィスで一日の大半を過ごす人々にとって、本当に心地よい空間をつくること。一例を挙げれば、当社の開発したオフィスビルは、豊かな植栽や、落ち着いた雰囲気のエントランスロビー、ラウンジを設えたり、また十分な廊下幅を確保する等、アメニティ空間を重視して計画しています。

今年春に竣工する「ガーデンシティ品川御殿山」は、東京では赤坂ガーデンシティ、台場ガーデンシティビルに続く3つめの大規模オフィス開発になります。都内屈指の高級邸宅街である御殿山に、約2万8000m2にわたる広大な敷地を、2つのオフィスゾーンと2つの住宅ゾーンに分けて開発しました。通常の大型オフィスビル開発は、駅に近い商業地域に超高層で建設するといったものが一般的ですが、今回私どもは、そのような環境とは一線を画した落ち着いた環境を持つ御殿山を立地に選び、近隣の街並みに溶け込むよう、縦ではなく横へと広がる大規模オフィスビル開発を行っています。

 

御殿山は古くは徳川将軍家の別邸・品川御殿があり、鷹狩や花見の名所でした。今回の開発では、敷地内の緑化率を40%と非常に高い割合で確保し、御殿山の緑豊かな原風景を再生したいという思いを込めています。

経年劣化ならぬ「経年美化」する街づくりを目指す当社の住宅事業全体のコンセプトにもとづき、外壁には年月が経つほど風合いが増す天然石の石張りの外壁を採用。明るい色を使うことで、重厚感がありながらも軽やかな外観に仕上げています。横に広い大規模開発ですから、道路に面したビルの全長は街区全体で300mにも達します。そのため、所々で建物を分節して花を置くことができるバルコニーを設置するなど、歩道を行き交う人々に圧迫感を感じさせず、外部にも心地よい空間を提供できるようプランニングしています。

オフィスビルとしては低層で、しかも広いワンフロア面積とした大きな理由は、レイアウト効率の高さを重視したからです。この背景には、近年の傾向である広いフロアへの床集約ニーズの高まりが挙げられます。基準階の4階と5階は、ワンフロアで国内最大級の約2,045坪を確保。この広さを実現しつつも、オフィスの奥行きは使い勝手の良さから理想的な16.7mとしています。複数フロアに分散したオフィスをワンフロアに集約することで、各階に分散して設置していたスペースをまとめることによりレイアウト効率を高めることができますので、実際の賃借床面積を削減し、コスト削減に大きく貢献すると考えています。このメリットは非常に大きいと言えるでしょう。

一方、フロア面積が大きくなると、視覚的に天井が低く感じられる場合もあるかもしれません。当ビルの基準階は、ゆとりと汎用性を両立する2.9mの天井高を設定。また、明るい内部廊下を確保するため、コア部分に5ヵ所の吹き抜けを設けて自然光を取り入れています。加えて、吹き抜け部分にはリフレッシュコーナーや喫煙バルコニーなどのアメニティコーナーを設置し、様々な部署の人が集まって互いに情報共有できるような空間としています。テナント企業が広いフロアを求める理由の一つに社内コミュニケーションの活性化が挙げられますが、デベロッパー側からも、そのためのオフィス空間を提供できればと考えています。

また、7階と9階には、ビル利用者がリフレッシュするための屋上庭園を設置しました。建物自体が横に大きいですから、屋上庭園の規模も大きなものとなっています。合計約1,000坪の空間に散歩道やデッキスペース、各所に憩いのスペースを点在させており、ワーカーの方々のリフレッシュ&コミュニケーションの場としてはもちろん、発想を転換して屋外での"オープン会議スペース"としても、積極的にご利用いただけるのではと考えています。