首都圏
高水準の供給一服も、外縁部中心に空室消化ペース鈍く
今期(Q4)の首都圏大型マルチテナント型物流施設(LMT)の空室率は9.3%と、前期の8.9%から0.4ポイント上昇した。新規供給は3棟/10.4万坪と2023年の四半期ベースでは最も低い水準となり、過去最高の供給量だった2023年Q1(32.4万坪)対比で3分の1程度となった。新規竣工物件の稼働率は2割程度と、前期に続いて多くの空室を残しての竣工となった。また新規需要は、7.3万坪と過去2年間で最も低い水準。主な理由としては、空室が多い地域に新規竣工が集中したこと、また既存物件で発生した大型の空室が期中に消化しきれなかったことが挙げられる。結果として今期の首都圏全体の空室面積は、過去最高を記録した前期からさらに増加して58.1万坪となっている。
新規契約テナントの業種としては引き続き物流会社が主であり、1棟契約や神奈川エリアの複数物件の区画で契約する大手会社もみられた。また物流会社以外では食品やアパレルなど多様な業種で入居が決定した。
築1年以上の物件の空室率(既存空室率)は2.7%と、前期の2.1%から上昇し2017年Q2以来の約6年ぶりの高水準となった。新たに築1年以上となった2022年Q4竣工の物件では引き続き5棟中2棟がいずれも1万坪以上の空室を残しており、2021年以前竣工の既存物件においても数棟で新たに大規模な空室区画が発生したことが主な要因である。
首都圏のQ4の実質賃料は、4,520円/坪で、対前期比横ばいで推移した。茨城、埼玉を中心とした圏央道外縁エリアで空室を多く残す物件の賃料が引き続き下方に寄与している一方で、東京都下の一部エリアでは2期連続で賃料が上昇しており、全体では横ばいとなった。総じて需給の緩みが続く中でも、好立地・高スペックの物件、あるいは周辺に空室が少ない一部地域では、賃料相場が上向いた。
Figure 2 : 首都圏 LMT物流施設 需給バランス
Figure 3 : 首都圏LMT エリア別空室率
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