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現地営業マンが語る 最新、九州エリア物流マーケット動向

都市別特集

2008年6月6日

シービー・リチャードエリス株式会社
福岡支店 インダストリアル営業グループ
グループリーダー 山根 徳男

九州一の消費地への配送拠点、人気の福岡周辺エリア

九州における主要な物流機能の集積地には、福岡エリアに鳥栖エリア、そして北九州エリアが挙げられます。

まず福岡エリアですが、博多港、福岡空港、福岡ICといった交通の要衝が10キロ圏内に集中しており、物流施設はこの3つを結ぶ地域に集積しています。中でも、福岡エリアの一部である福岡IC付近は物流ニーズが高い地区です。この地区はもともとは農地でしたが、九州自動車道や福岡都市高速の開通により交通利便性が高まるにつれ、15年ほど前から物流施設が供給されるようになりました。ここでは、JAが地主である農家を取りまとめ、注文建築により物流施設を開発するという全国でも珍しい方法が採られています。当初はインターの南が物流集積地でしたが、最近では、北側も開発され始めています。

福岡エリアでのもう一つの主要地区が、箱崎ふ頭を中心とする博多港周辺。箱崎ふ頭は昭和40年代後半に埋立が完了し、用地分譲がスタートしました。もともと製造業や物流業の企業が自社倉庫を建てていたのですが、10年程前から、空いたスペースを賃貸に出すという流れが生まれています。

福岡市及び周辺市町村は、九州全体の約3割の消費を担う一大経済圏です。したがって福岡周辺の物流拠点は、福岡市内に向けた配送が主たるニーズになります。取り扱う荷物も、食品や雑貨などの消費財が主流となっています。

交通アクセスに優れた鳥栖エリア、九州全域への配送拠点として人気

佐賀県の鳥栖エリアは、九州自動車道と大分自動車道、長崎自動車道が交わる鳥栖JCTが位置し、交通アクセスに優れたエリアといえます。昭和50年頃から、食品や飲料、雑貨などの製造メーカーが集まる工業団地が誕生し、それに伴い工場付随型の物流センターが多く立地するようになりました。

福岡市内向けの配送をにらむ企業が福岡近辺に物流施設を構えるのに対し、鳥栖エリアは九州全域への配送を必要とする企業が多く立地しています。広域にわたり展開している食品スーパーやディスカウントストアへの配送には、鳥栖は非常に利便性の高いエリアだと言えるでしょう。ただ、陸路にしても航路にしても、鳥栖に入る荷物はほとんどが福岡を通過してくるため、福岡での消費がメインの場合、往復のロスを考え敬遠される向きもあるようです。

北九州エリアは、かつて鉄鋼の町として栄えた都市。また、大豆等原材料の輸出入の拠点として門司港が利用されるなど、港湾機能も発達してきました。これまでは、工場付随の自社倉庫で荷物を保管するケースがほとんどで、新規需要はそれほど高くありませんでした。しかし近年、自動車完成車体工場の進出などにより、門司港から小倉南区周辺で、自動車部品関連の保管、仕分け作業の需要が急増しています。

様々な選択肢が存在する福岡周辺での物流拠点構築

福岡エリアにおける賃貸物流施設の相場観は、3,000円/坪が一つの目安になります。博多港周辺では、一部オフィス機能を兼ね備えた高機能施設が高値をつけており、また、福岡IC付近には需要が高まったバブル期に高値で長期契約した事例が多く、こちらも相場を引き上げています。

昨今の九州物流マーケットで最大のトピックスといえば、不動産投資家による施設供給が挙げられるでしょう。東京、大阪、名古屋といった大都市圏に続き、いよいよ九州にも進出。彼らの開発案件の特徴は、なんと言ってもその規模の大きさです。これまで、大型物流施設といえば自社使用のものがほとんどで、それとて九州全域で数えるほどしかありませんでした。元来、九州の物流ニーズはそう大きな面積ではなく、企業が要望する面積は、1,000坪から2,000坪あたりが最も多くなっています。そのような中、延床面積1万坪クラスの大型賃貸施設が供給され始めたことは、賃貸市場に相当のインパクトを与えており、新たな物流ニーズを生み出すことに発展していく可能性があると思います。

とはいえ、投資家が供給する多層階の物流施設を「使いづらい」と感じる傾向もあるようです。福岡エリアでも、湾岸部では多層階の施設が一般的になってきましたが、福岡インター周辺には未開発地が存在しており、ワンフロア面積の広い平屋や2階建の施設を建てることが可能です。加えて、自己資金を投下して開発した方が、長期的にみてメリットが大きいと考える企業がいまだに多いのも事実。現在、物流施設を構築するにあたっては、博多湾から福岡ICまでの比較的狭い区域で、賃貸施設、売買案件とも、様々な選択肢が存在していると言うことができるでしょう。

企業の集約ニーズに応え大型物流施設の立地が進む鳥栖

一方で、鳥栖エリアの賃料相場は、2,500円/坪前後を目安に推移しています。九州自動車道の鳥栖JCTに近いという交通の利便性に加え、まとまった広さの土地を安値で仕入れることができるため、コストを抑えながらワンフロア面積の広い施設を開発できることが利点となっています。これは、物流拠点の集約ニーズにマッチしており、最近では、鳥栖JCTの南側に佐賀県が開発した土地を内外の不動産投資家数社が購入し、最新大型物流施設の供給を始めたほか、国道3号線沿いや基山周辺にも物流施設が集積し始めています。

最後に、北九州エリアの賃貸相場ですが、2,000~2,500円/坪が目安となります。先述のように、このエリアは昔から自社物件が多く、今のところ新規供給はさほど多くありません。しかし、新北九州空港の開港に伴い、トヨタ自動車が小倉近辺に工場を構えるなど製造業の進出もあり、それに付随して物流ニーズも高まってきており、新規供給が出てくると予想されます。

エリア別賃料水準

エリア別マーケット事情
福岡エリア

九州最大の都市である福岡市向けの配送拠点として、大型物件に対する需要が多い。特に、箱崎ふ頭から福岡I Cにかけてが人気のエリアとなっている。また、博多や天神、福岡空港に非常に近い榎田地区は、航空貨物や都心部向け配送拠点としてのニーズが高い。福岡近郊の賃料水準は、おおむね3,000円/坪を目安に推移している状況である。

鳥栖エリア

鳥栖には九州自動車道のJCTがあり、九州全域に対応する配送拠点として、かねてから人気のエリアである。主に食品や飲料の工場に物流拠点が併設されるケースが多く、自社所有物件が多いのも特徴である。賃貸施設の賃料水準としては、2,500円/坪程度を目安に推移している。今後も食品や雑貨などの配送拠点として、需要は根強いと思われる。

北九州エリア

北九州は、かつて鉄鋼の町として栄えた都市。またかねてから、大豆など原材料の輸出入拠点として門司港が利用されてきた。近年は福岡エリアに需要が集中し、北九州エリアのニーズは減少傾向にある。賃料水準は、2,000~2,500円/坪程で推移。新規供給もあまり見られない。今後は、自動車工場の進出などによる部品関連の物流需要に期待したいところである。

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上記の記事の内容は オフィスジャパン誌 2008年夏季号 掲載記事 掲載当時のものです。

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