各国政府はICEの段階的廃止を約束
アジア太平洋地域の多くの国は、乗用車の大部分を占めるICE(内燃機関車)の新車販売を今後20年間で段階的に廃止することを計画している。〔図1〕
なかでも2030年と積極的な期限を掲げているシンガポールは、ハイブリッドEVの販売は引き続き許可する。他の国は2035年から2040年の間に段階的に廃止することをめざしている。
今後数年間のうちにEVに加え、燃料電池車のようなゼロエミッション車(ZEV)の導入が進むと見られる。トヨタ自動車と現代自動車はすでに北アジアで水素乗用車を販売しており、中国の自動車メーカーはトラックやバスを含む水素商用車への投資を拡大している。
EVの販売台数は過去2年間で年率85%成長
EVの販売台数は車両と充電インフラがより身近になったことから、2020年に販売台数が急拡大した。多くの市場で乗用車全体の販売台数は減少する一方、世界におけるEVの販売台数は2年間で3倍に増加、2022年には1,000万台に達し、ほぼ3分の2をアジア太平洋地域が占めた。〔図2〕
補助金や税制優遇措置を含む政府の政策や国内ブランドの台頭により、中国はEVの最大の市場となっている。シンガポールとインドは、もともと普及率が低かったこともあり、最も売上を伸ばしている。〔図3〕国際エネルギー機関(IEA)は、世界のEVの年間販売台数は2030年までに現在の3倍以上の3,700万台になると予測している。
EVは世界の自動車ストックのわずか2.1%にすぎない
近年、販売台数が飛躍的に伸びているにもかかわらず、 2022年の世界の自動車販売台数に占めるEVの割合はわずか14%、自動車ストック全体に占める割合は2.1%にすぎない。ノルウェーはEVへの移行を主導しており、2022年の新車販売台数の88%をEVが占めた。〔図4〕
アジア太平洋地域では香港が導入の最前線にあり、2022年の自動車販売全体に占めるEVの割合は53%であった。
香港と中国を除くと、2022年末時点でアジア太平洋地域の既存自動車ストックに占めるEVの割合は2%未満である。