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合同会社石狩再エネデータセンター第1号 柳川 直隆 氏

立地の優位性を最大限に活かし、北海道の可能性を広げる先進データセンターの開設を目指す。

合同会社石狩再エネデータセンター第1号

北海道中央西部に位置する石狩市。石狩湾に面して南北に広がり、中でも石狩湾新港地域は北海道を代表する産業や流通の拠点として知られている。現在この地で進められているのが「石狩再エネデータセンター第1号」の開発だ。北海道におけるデータセンターの開設は、長年議論が重ねられてきた。合同会社を設立してプロジェクトを取りまとめている株式会社Flower Communicationsの柳川氏に、データセンターの開設に至った背景や展望を訊いた。

合同会社石狩再エネデータセンター第1号
柳川 直隆

合同会社石狩再エネデータセンター第1号 柳川 直隆氏

国・市・業界の足並みがそろい石狩のデータセンター開発が始動

石狩再エネデータセンター第1号は、2026年4月の運用開始に向けて着々と計画が進んでいます。北海道にデータセンター(以下:DC)が必要だという議論は、ITやインフラに関わる企業が集まり、15年ほど前から始められていました。 DCは当時から東京や大阪に集中していましたが、その後の東日本大震災で通信の大動脈である海底ケーブルが損傷したり、災害レジリエンスへの懸念がありました。一方、北海道は地理的に北米や欧州に近く、海底ケーブルも短くできるなど、もともとネットワークの構築に有利な土地です。新たにケーブルが敷かれれば、災害対策にもなります。加えて、北海道は風力・水力・太陽光・地熱など、再エネの発電量も全国でトップ。DCはサーバーや通信機器の稼働と冷却に大量の電力を使うので、再エネで賄えるならカーボンニュートラルな時代に向けても有効です。

国も2021年に「デジタル田園都市国家構想」を発表し、デジタル技術で社会の課題を解決していこうと制度と予算を整えました。そのインフラ整備計画ではDCの地方分散が掲げられ、重要拠点として北海道や九州が挙げられています。一方、2022年に環境省の「脱炭素先行地域」に選ばれた石狩市は、石狩湾新港地域に電力を100%再エネで供給する再エネデータセンターパークを設けて企業誘致を進めています。

我々の業界団体も、日本を代表する研究者や業界の第一人者が運営に加わり、2020年には「北海道ニュートピアデータセンター研究会」が発足しました。その会で石狩がDCの集積地として最適だろうと議論していたところ、国と石狩市から先述の方針が出たため合同会社を設立したという流れです。その結果、総務省のデジタルインフラ整備基金から補助を受けられることになり、東急不動産株式会社とともに石狩再エネデータセンター第1号の事業化を進めています。

石狩再エネデータセンター第1号〔外観イメージ〕

デジタル社会の地殻変動を成長のチャンスにできる好立地

IoTやAIが進化すると、インターネットやクラウドの使われ方も変わります。身近な暮らしの場面から自然災害の予知、宇宙開発まで、あらゆる分野でこれまで以上に膨大な情報処理が行われるなど、すでにデジタルの世界では地殻変動が始まっています。DCも、これまでは人口や企業の多い都市部に集中していましたが、遠隔地でも支障がなくなり、一方で環境性能が重要視されるようになりました。DCは大量の電力を消費し、熱も排出します。そのような意味でも北海道は気候が冷涼で、石狩市なら再エネを利用できるなど、DCにとって理想的な環境なのです。

また、現在、フィンランドと北海道の間では、北極海経由で海底ケーブルをつなぐ計画が進められており、北海道が従来以上の精度や速さで世界と通信できれば、ビジネスチャンスも広がります。そのためにも、まずは社会基盤としてDCを整えることが重要です。

石狩市は札幌市から15kmほど。DCを起点に地域の様々な事業を発展させるには、都市部から20km圏内が理想的だと考えていました。石狩再エネデータセンター第1号は、北海道の皆さんのためのものです。その優位性をビジネスに大いに活かしてほしいと考えています。

次世代型の液浸冷却を導入、将来に対応できる省エネ性と環境性

石狩再エネデータセンター第1号は、石狩市の再エネデータセンターパークに建てられます。地上3階建で延床面積は約11,000㎡。データセンター・イン・データセンターという位置づけで6区画を設け、DCやクラウドサービスを運営する企業向けの施設になります。我々の合同会社はその大家であり、ショッピングモールのテナントのようにご利用いただくかたちです。多様な企業にご利用いただくことで、それぞれのサービスにも広がりが生まれると考えており、現時点で複数のデータセンター事業者の入居が決まっています。生成AIやその他AI産業向けに、サーバー部分を水に浸し、水を冷却する駆動装置は油に浸す「ハイブリッド液浸冷却システム」を用いて、HPCコンピューティングサービスを行う事業者の入居計画があります。このシステムを用いると従来の空冷方式と比べると消費電力を50%以下に、さらに設置面積は約1/10(一般的な空冷式データセンターと比較して)、しかも故障率は従来の約10%でサーバー室は無音無風とうかがっています。石狩のメリットを最大限活用した今後成長の見込める事業者様で、世界的に見ても他にはまだないほどの規模で同システムを導入して事業を行う計画とうかがっています。

再エネデータセンターパークも約25ヘクタールあり、アジア最大規模の広さです。サーバーは10万ラックまで拡張でき、その際に必要になる電力は800MWから1GW。石狩エリアから供給される3.6GW(計画)の再エネ電力に対して22%程度の消費量でパーク全体が稼働することになります。東急不動産が同エリアで出資する「リエネ銭函風力発電所」が、すでに風力発電事業を開始しています。世界的にも、DCの集積地として栄えてきたのは電力が潤沢に使えるエリアであり、世界のネットワークの中心地とされるアメリカのアッシュバーンには巨大な水力発電があります。また、オランダのアムステルダムは地下水が豊富で、その環境的メリットをDCの排熱処理に活かしています。そのほかにも、石狩市のネットワーク環境を見れば、すでに秋田県と海底ケーブルで結ばれており、新潟や北九州へつなげる計画があります。北九州から韓国ともつながり、逆から見れば北海道経由でヨーロッパや北米が近くなります。再エネが普及していないアジアの企業が石狩を起点にデータセンターを運営することも考えられますし、太平洋側や首都圏で通信が途絶えるようなことがあっても、日本海側や石狩でサービスを継続できることになります。

リエネ銭函風力発電所
ハイブリッド液浸冷却システム

ライバルが参入しても仲間になる、好循環が生まれるこれからの北海道

デジタル田園都市国家構想のもと、日本の社会基盤は今後大きく変化します。石狩の開発はその壮大な物語の1ページです。液浸冷却のような先進技術を大々的に導入したり、数十年先の社会の変化を見据えたDCの開設は、環境と条件の整った石狩だからこそ可能なのです。

我々も今後10年間で第3号(合計300MW)までDCを開設する予定ですが、それでも再エネデータセンターパークに供給される再エネ電力には、大きなゆとりがある状態です。そのため、同様の事業を展開する他社の参入も考えられますが、ライバルではなく、仲間になるような感覚です。仲間が集うことで、再エネデータセンターパークはさらに多様な分野の研究やサービスにつながりあって総合力を増し、真の意味でアジア最大規模のDC集積地になることでしょう。

北海道では苫小牧市、北見市、美唄市、旭川市、稚内市でもデータセンターの開発が始まっています。それらがつながることで災害レジリエンスが担保でき、データや通信の堅牢性も高まります。一方、北海道のより多くの地域で海外のネットワークにつながることが大切だと考えています。その時、北海道は世界のマーケットに対して、さらにビジネスチャンスが生まれる環境となるでしょう。DCは都市部にあったほうがよいと考えがちですが、国の目指す方向や社会の変化を考えた場合、決してそうではありません。我々はその未来に向けた受け皿になれるよう、今後も北海道・石狩で取り組んでいきます。

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上記内容は BZ空間誌 2024年春季号 掲載記事 です。本ページへの転載時に一部加筆修正している場合がございます。

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