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メリット・デメリットを天秤にかけて、より有利な選択ができるビルオーナー

  • 2024年6月18日

最後にビルオーナーにとってのメリット・デメリットを見てみましょう。本来、ビルオーナーにとっては契約期間内に原状回復工事が終わり、新たな契約を締結するというのが、もっとも安全なビジネスであることは間違いありません。半面、必ずしも次のテナントがすぐ見つかるとは限りません。新規の募集をしても、半年、1年も空室が続くといったケースは決して珍しくないでしょう。まして、誘致したテナントのためにフリーレントを提供することも一般化しており、その分、トータルで賃料収入が入らないことになるのです。その点、居抜きであれば既存テナントが退去する前に、すでに次のテナントが決まっているのですから、賃料収入が途絶える心配はないわけです。

また、先にも触れたとおり、せっかくの内装を取り壊すのはSDGsの観点からも避けたいことであると同時に、そのグレードが高いのであれば、他物件との差別化が可能となります。言い換えればビルオーナーは、自ら手を加える手間も、コストもかけることなく質の高いオフィスを、新規テナントに提供できるわけですから、気に入ってもらえるなら、競争力は高まるのです。

ビルオーナーとしては、要は原状回復して退去してもらった方が得か、居抜きで新規テナントにすぐ入居してもらった方が得かという天秤にかけて判断できることが最大のメリットです。事実、外資系の企業には居抜きオフィスを気にせず選択する文化があるため、そうした企業を多くテナントに持つ大手のビルオーナーは、コロナ前から居抜きを受け入れていました。その方が賃料未収のリスクも、差別化になることも知っているからです。それが、最初にお伝えした通り、コロナ以降は意識も変わり、様々なビルオーナー側から居抜きを打診されることも増えてきました。

セットアップオフィスやシェアオフィスの市場の拡大を見てもわかるように、現在では、グレード感さえあれば出来合いの内装でもかまわないとする企業が増えています。ビルオーナー側にも自らセットアップオフィスをつくるケースがあるぐらいですから、原状回復なのか居抜きなのか、どちらが得かの目利きをする傾向が増えてきたのは、退去・後継テナントとともに三方良しの関係を築ける、良いきっかけと言えるでしょう。

逆にデメリットとなるのは、あまりにも特徴的に作り込まれているがために、テナントに敬遠されてしまうケース。また、後継テナントが入居してから、退去テナントもオーナーも知らなかったような瑕疵が見つかって不具合が生じた場合、クレームなどのトラブルに発展する可能性もゼロではないことも覚悟しておく必要があるでしょう。

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