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変容しつつある企業のアジア進出

1.近年見られる海外進出先の環境変化

図表1:アジアの日系企業現地法人数の推移

アジアの日系企業現地法人数の推移

アジアへの日本企業の進出は、1960年代に端を発し、その後、85年のプラザ合意後の急速な円高を背景に急拡大しています。日本企業の海外進出先といえば、生産拠点を中心としてタイや中国がその主要な地位を占めていましたが、2000年代に入ってASEAN諸国の台頭とともに加速度的に拡大してきました。

現在、世界経済の不透明性の影響を受けながらも、アジア市場は新興国を中心に依然として着実に拡大を続けており、市場拡大規模は目覚ましく、その優位性に揺るぎはない存在として認識されています〔図表1〕。

実際、アジアの日系企業現地法人数の推移を見ても、サブプライムショックに端を発した世界同時不況期に一時期縮小傾向にあったものの、2009年以降は着実に拡大基調を続けており、その傾向は、東日本大震災、タイ水害、欧州財政不透明といった偶発的な事象が一時的に影を落としたにもかかわらず、これまでのところ勢いを失っていません。

多くの日本企業は、新興国市場の拡大等、日本を取り巻く世界の経済環境変化の下で、これまで以上に積極的にアジアに進出していくことが求められていると言えます。日本企業の成長の鍵を握る新興国市場をはじめとした海外進出先でのパフォーマンスの向上こそが、日本企業の新たな競争力の源泉となり得ると考えられるからです。

現在は特にタイや中国に加え、他のASEAN諸国やインドといった新興国で、自動車や家電製品等の高級消費財の購入層となり得る「中間所得層」市場の拡大が予測され、有望な進出先としての注目が集まっています。日本企業にとって、これら新興国の消費市場としての重要性がこれまで以上に増すと考えられます。

ここでは、水害後のタイや、転換期を迎える中国の企業進出の状況、各種のデータや調査結果などをもとに、近年の環境変化の現状を紹介します。

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2.タイ水害後の企業進出の現状と課題

図表2:タイ洪水が海外ビジネスに与えた影響とその内容

タイ洪水が海外ビジネスに与えた影響

タイ洪水が海外ビジネスに与えた影響

影響の内容(複数回答)

影響の内容

日本企業の生産活動が大きな打撃を受けたタイの大洪水から約1年が過ぎた現在、被害を受けたタイ国内の7工業団地では、8割超の工場が操業を再開し復旧が着実に進んでいます。世界のサプライチェーン(部品供給網)を揺るがした事態は、日本企業の海外ビジネスに大きな影響を与え、海外におけるリスクの認識を新たにしました。

実際、タイの水害が何らかの形で自社の海外ビジネスに影響を及ぼしたとする企業はタイに輸出、投資をしている企業の7割近くを占め、2割弱の企業に、海外進出に対するリスクを再認識させています〔図表2〕。

しかしながら、それを乗り越えて、日本企業のタイへの今年の新規投資額は足元ではむしろ拡大しています。約4,000社の日系企業が集積し、インフラや優遇措置が充実するタイの優位性は、リスクの存在を考慮に入れても、揺らぐことはありませんでした。こうした状況は、昨年までの歴史的な円高というもうひとつの局面の影響も大きかったようです。

事実、円高を背景に自動車関連投資は大きく加速し、「アジアのデトロイト」とも呼ばれ、日系メーカーの自動車生産台数が全体の9割超を占めるタイは、アジア諸国への輸出拠点として存在感を増しています。

2012年のタイの自動車生産は前年比5割増の勢いで、過去最高の220万台に達すると見込まれ、タイ投資委員会は3年以内に生産台数で世界トップ10入りを目指しています。このため、タイ政府は日本の経済産業省とともに代替生産や事業継続に関するネットワークづくり「オタガイ・ビジネス・コンティニュイティー」など、今後のサプライチェーンの脆弱性を補強する取り組みを始めています。

3.転換期を迎える中国への企業進出

2012年後半には、尖閣領有問題を巡って日中関係が悪化する中、反日運動等の固有の中国リスクが改めて判明し、日本企業の対中ビジネスへの影響長期化が懸念されました。中国では人件費の急上昇や経済成長の減速によりビジネス環境自体も変化してきていることを踏まえると、日本企業にとって、これまでの対中戦略を見直す時期が到来していると考えられます。

実際、賃金の高騰が原因で、中国では東南アジア諸国との間で人件費格差が生じており〔図表3、4〕、過去に中国に進出した米国等の外資企業の工場撤退と東南アジア諸国への移転が進んでいるのです。こうした国では、移転の受け皿としての投資を促進するために税制など様々な優遇措置を打ち出しています。

図表3:中国国内での月額法定最低賃金

都市名 実額(人民元:RMB) 前年比上昇率 米ドル換算(US$) 前年比上昇率
2010 2011 2012 2013 2012 2013 2011 2012 2013 2012 2013
上海(市内) 1,120 1,280 1,450 - 13.3% - 189 229 - 21.4% -
深圳(特区内) 1,100 1,320 1,500 - 20.0% - 195 237 - 21.7% -
深圳(特区外) 1,100 1,320 1,500 - 20.0% - 195 237 - 21.7% -

図表3:ワーカー(一般工職)月額基本給(US$)

ワーカー(一般工職)月額基本給(US$)

国際連合貿易開発会議(UNCTAD)が発表した「2012年世界投資報告」によると、2011年に東南アジア各国に流入した外国からの直接投資額は前年比26%増と中国の8%を大きく上回っており、2012年に東南アジア各国に投資された外資の総額は、対中投資額を超える可能性もあるとみられています。

一方で、中国の購買力の増大を狙った欧米リテイラーの中国への店舗進出はここ2、3年で急拡大しています。世界高級品協会(World Luxury Association)の2011年の調査では、高級品を購入した中国の消費者は、家計収入の10~12%を高級品消費に割いているという結果が出ており、中国国内での高級品への需要の拡大により、2012年には中国の高級品市場規模が世界第1位になると予測されています。こうした中国の消費者の需要拡大に応えるように、中国市場をターゲットとする高級品ブランドが増えているのです。

4.JETROアンケートに見る日本企業の海外事業展開

JETROが2012年3月に発表した最新の日本企業の海外事業展開に関するアンケート調査「JETRO海外ビジネス調査」から、日本企業の海外進出に関する意向を見ると、海外に拠点を持つ企業の拠点保有国は中国が7割を超え、アジアでは次いでタイなど、中国をはじめとしたアジアが日本企業にとって重要なビジネスパートナーとなっています〔図表5〕。

また、今後ターゲットとして拡大する先としても、中国、インド、インドネシア、タイなどアジア諸国が並び、依然アジア市場への関心が高くなっています〔図表6〕。

図表5:海外拠点所在地
(複数回答、母数は拠点を有する企業数n=1,426)

海外拠点所在地

図表6:輸出拡大、開始を目指すターゲットとなる国・地域(n=1,661)

輸出拡大、開始を目指すターゲットとなる国・地域

今後の海外事業拡大の方針を持つ企業は近年、年々増加しており、海外進出に積極的な姿勢を見せています。特に、大企業のみならず中小企業も進出拡大意欲が高いのが特徴的となっています〔図表7〕。

図表7:海外での今後(3年程度)の事業方針
企業全体と企業規模別

海外での今後(3年程度)の事業方針―企業全体と企業規模別

海外で事業規模の拡大を図る業種としては、自動車、化学、衣料品、情報関連、機械等といった製造業が上位を占めています。また、これらの進出に伴う建設業や専門サービスなども見られ、日本企業の進出がプロジェクトとして行われる構造となっていることが分かります〔図表8〕。

図表8:海外で事業規模の拡大を図る上位10業種

順位 業種 回答率 拡大する企業数 比率
  合計 2,769 1,666 60.2%
1位 自動車/自動車部品/その他輸送機器 125 95 76.0%
2位 化学 83 63 75.9%
3位 医療品・化粧品 44 32 72.7%
4位 情報通信機械器具/電子部品・デバイス 59 41 69.5%
5位 情報・ソフトウェア 49 34 69.4%
6位 電気機械 95 65 68.4%
7位 一般機械 168 113 67.3%
8位 運輸 51 34 66.7%
9位 専門サービス 54 36 66.7%
10位 建設 53 35 66.0%

また、海外で拡大する機能を販売機能と生産機能に分けると、販売機能を拡大したいとする企業が8割弱と群を抜いて多くなって おり、業種も小売・卸売とも多岐にわたっています。一方、生産機能については、業種により今後拡大予定の企業も一定割合あるものの、全般的には4割程度に とどまっており、かつての生産機能中心の企業進出の時代から、販売機能中心の進出への変化が見られます〔図表9〕。

図表9:海外で販売・生産機能の拡大を図る業種

海外で販売機能を拡大

順位 業種 回答数(n) 拡大する企業数 比率
合計 1,620 1,222 76.3%
大企業 356 275 77.2%
中小企業 1,246 947 76.0%
1位 小売 35 32 91.4%
2位 飲食料品 117 103 88.0%
3位 商社・卸売 378 323 85.4%
4位 精密機器 47 39 83.0%
5位 医療品・化粧品 29 24 82.8%

海外で生産機能を拡大

順位 業種 回答数(n) 拡大する企業数 比率
合計 1,620 1,222 76.3%
大企業 356 275 77.2%
中小企業 1,246 947 76.0%
1位 情報通信機械器具/電子部品・デバイス 40 31 77.5%
2位 石油・石炭製品/プラスチック製品/ゴム製品 63 44 69.8%
3位 自動車/自動車部品/その他輸送機器 91 61 67.0%
4位 一般機器 110 72 65.5%
5位 繊維・織物/アパレル 59 38 64.4%

今後企業が海外で拡大したいと考えている国の順位は、販売機能、生産機能、物流機能のすべての分野で中国1位、タイ2位、インドネシア3位となっており、日本企業にとってこの3ヵ国が重要な地位を占めていることが分かります〔図表10〕。

図表10:今後(3年程度)海外で拡大する機能と国・地域(複数回答)

順位 販売機能 生産機能 物流機能
国・地域名 シェア 国地域名 シェア 国・地域名 シェア
1位 中国 51.5% 中国 32.5% 中国 8.5%
2位 タイ 18.3% タイ 12.1% タイ 3.1%
3位 インドネシア 17.0% インドネシア 8.7% インドネシア 2.4%
4位 インド 16.9% ベトナム 8.3% 香港 2.2%
5位 米国 15.7% インド 6.1% インド 2.0%
6位 台湾 15.0% 米国 6.0% シンガポール 1.9%
7位 韓国 14.8% 韓国 4.7% ベトナム 1.7%
8位 ベトナム 12.4% 台湾 4.4% 台湾 1.5%
9位 西欧 11.5% マレーシア 3.9% 韓国 1.2%
10位 香港 11.5% 西欧 3.4% マレーシア 0.9%

一方で、全企業では4〜5位の位置付けのインドですが、企業規模別に特に大企業に特化してみると、販売機能拠点で中国以外に機能拡大を図る先のトップになっており、インドが大企業に大きな注目を集めていると言えます。

このように、日本企業のアジアへの進出は、企業の規模・業種とも今後も拡大すると考えられ、それに伴うリスク管理体制の充実がますます求められているのです。

参考資料

出所:CBRE Reseaarch

アジア主要マーケット物流施設賃料と上昇率(2012年第4四半期)

都市 用途 賃料
米ドル/sqft(年間) 上昇率(四半期) 上昇率(年間)
中国 北京 物流施設 6.88 5.4% 11.1%
上海 物流施設 6.46 0.7% 4.3%
広州 物流施設 5.09 0.6% 2.3%
深圳 物流施設 5.12 1.3% 0.5%
成都 物流施設 4.55 0.5% 9.1%
大連 物流施設 4.46 -1.8% 3.4%
天津 物流施設 5.15 1.6% 7.9%
香港 倉庫 13.03 1.8% 9.8%
インド チェンナイ 物流施設 5.14 2.2% 9.3%
プネー 物流施設 6.45 0.0% 18.0%

アジア主要マーケット物流施設用地価格と上昇率(2012年第4四半期)

  都市 米ドル/sqft(年間) 上昇率(四半期)
中 国 北京 28.19 1.0%
上海 27.32 1.0%
広州 7.36 0.6%
深圳 12.32 0.7%
成都 8.33 12.4%
大連 7.66 -0.2%
天津 6.93 0.1%
インド チェンナイ 10.25 11.4%
プネー 7.29 0.0%
マレーシア セランゴール 35.71 0.0%
タイ バンコク 12.33 0.0%
ベトナム ホーチミンシティ 5.99 0.8%
ハノイ 7.91 0.0%

 

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上記内容は オフィスジャパン誌 2013年春季号 掲載記事 です。本ページへの転載時に一部加筆修正している場合がございます。

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