“オフィスの引越し”から“ワークプレイス戦略”へ。現在、オフィス構築の持つ意味は、大きく変わりつつあります。何人を収容するためにどのようにレイアウトするかではなく、経営戦略を反映するためにどのような環境をつくるかが、オフィス移転時に重要視されてきているのです。経営ビジョンに結び付いたオフィス構築のケーススタディとして、不動産サービスを提供しているCBREの自らの移転事例(次頁以降)をご紹介します。
オフィス移転は働き方改革の絶好のチャンス
ICTの進化に伴い、オフィスで行われる仕事の質は大きく変化しました。現在のオフィスは単なる事務作業をする場から、付加価値を創出する場へと変革を遂げています。仕事が変われば、働く環境(ワークプレイス)も当然変わらなくてはなりません。ワークプレイスへの要求は、従来の個人用デスクと会議室の二者択一ではなく、チームによる協働を中心に据えた多様な種類の働き方に対応したスペースの組み合わせへとシフトしています。
仕事の変化に伴う働き方、組織形態、組織文化、ワークプレイスの変化は、右図のようにまとめられます。
ワークプレイスを戦略的に再構築するには、オフィス移転が貴重なチャンスとなります。移転は、将来の経営ビジョンをワークプレイスに投影する好機と言えるでしょう。最近の企業のオフィス移転目的は多様化しており、従来のコスト削減や交通利便性向上目的に加え、コミュニケーション活性化による生産性向上やブランディング戦略など、企業価値の向上に重点を置いたケースが増えてきています。
オフィス移転を単なる移動イベントで終わらせず、経営ツールとしてのワークプレイス構築に結び付けるには、具体的にどのようなプロセスが必要でしょうか。次頁より、不動産サービスをグローバルに展開するCBREグループの日本法人 シービーアールイー㈱(以下CBRE)が実際に行った移転プロジェクトを例にご説明します。
近年の大型移転に見る移転目的
業 種 | 移転目的 |
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商 社 | グループシナジー、ブランディング戦略、組織文化醸成 |
メーカー | BCP対応、業務効率化 |
メーカー | グループシナジー、コスト見直し、リスクマネジメント |
サービス | 業務効率化、コミュニケーション強化 |
I T | 生産性向上、BCP対応、ブランディング戦略、リクルーティング |
金 融 | 組織再編、BCP対応、コスト削減 |