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賃貸オフィス・事務所の記事

CBRE長島知己が語る、オフィス移転投資は、何を指針にすればいいのか?

今後のオフィス移転に不可欠な、 人材マネジメントの視点。


シービーアールイー株式会社
人事部 タレントディベロプメント&ラーニング
ディレクター 長島 知己

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オフィスは「コスト」から「投資」へ「フレキシブルな働き方」重視の傾向

かつてオフィスは、企業経営にとって「コスト」と捉えられる傾向にあり、オフィス移転時には「できるだけコストを抑えたい」と考える企業が大半でした。実際、当社がオフィスビルのテナント企業を対象に実施した「オフィス利用に関する意識調査」でも、経営サイドがオフィス移転の際に重視する項目として、「立地・交通利便性」「耐震性」と共に、「コスト」が上位を占めています。

一方で、「従業員にとってのオフィスの重要項目は何ですか」という質問には、「交通利便性」に次いで、「室内環境の質」(空気循環、照度、室温等)、「フレキシブルな働き方」(フレックス勤務、在宅・その他オフィス以外でのリモート勤務等)が上位に挙がっています。特に、「フレキシブルな働き方」と答えた企業は、2015年の15%から2016年には40%へと劇的に増えており、「フレキシブルな働き方」が最近のオフィス構築におけるトレンドになりつつあることがわかります。

なぜこのようなトレンドが見られるのでしょうか。それは、企業が抱える課題を考えれば明らかです。同アンケート調査において「今後想定されるリスクは何ですか」とたずねたところ、67%の企業が「人材の不足」と回答し、同リスクが経済の不確実性やコストの増大を抑え1位となっています。これはつまり、優秀な人材を確保できない、思うように人材が育っていないということでしょう。「人材の不足」が今後のリスクの筆頭に挙げられる――これが企業の経営の現状だということです。

この現状に対して、オフィスが貢献できることはたくさんあると私たちは考えています。なぜなら、「社員にこういうふうに働いてほしい」「このような人材に育ってほしい」という経営のビジョンを、言葉で伝えるだけでなく、働く場所として具現化できるのがオフィスだからです。経営者の方々には、ぜひオフィスを人材・組織マネジメントのツールとして、有効に活用していただきたいと考えています。

オフィス利用に関する意識調査2016

組織開発の視点からオフィスに求める要件とは

オフィスに求める要件

では、人材・組織マネジメントに効果的なオフィスを構築するにあたり、どのようなポイントに着目すればいいのでしょうか。人材・組織マネジメントの観点から、オフィスに求める要件をまとめてみました。

まず、組織開発の視点から4つのポイントがあります。1つ目は「組織間連携の強化」です。これまでにない商品を開発する、あるいは最高の顧客サービスを提供するためには、部門を超えた協働が必要になってきます。旧来型のように、部門ごとに島で“閉じた”レイアウトではなく、他部門との交流や協働がしやすい環境であることがポイントです。

2つ目は、「コミュニケーションの効率化」、平たく言えば「話しかけやすさ」です。例えば、相談したいときに、相談したい相手に気軽に相談できるかどうか。上司と部下であれ、異なる部門の相手であれ、気軽にコミュニケーションが取れる環境であることが大切です。もし、役員と話すために、役員室の扉を叩かなくてはならないとか、その前に秘書にアポを取らなければならない環境では、気軽にコミュニケーションを取ることはできません。

3つ目は、「イノベーションの推進」です。競争がますます激しくなる今の時代、生き残るために必要なのは改善や改良ではなく、イノベーティブな発想によって生み出すまったく新しい商品やサービスだったりします。しかし、部門ごとに固定された従来型のオフィスでは、既存の仕事の延長線上での発想しか生まれません。旅先でふといいアイデアを思いつくのと同じで、発想を変えるには、環境を変えることが最も効果的。業務によって自由に働く場所を変えられるなど、新たな発想を生み出すための環境が求められます。

4つ目は、「仲間づくり」です。普段から話しかけやすい環境も大事ですが、社員同士がお互いを理解し合い、親睦を深められる場があるとより理想的です。昔は、業務後の“飲みニケーション”がその役割を果たしていましたが、最近はそれ自体が減ってきています。また、飲みに行くために店を手配したり予約を入れたりするのも手間がかかります。もし、社内で打ち合わせの後、軽く飲み会を開けるような場所があれば、社員同士の相互理解や仲間づくりが進むのではないかと考えます。

人材開発で重要なのはクロスとラインのコミュニケーション

オフィスに求める要件

次に、個人の人材開発の視点からオフィスに求めるポイントを挙げていきましょう。

1つ目は、「全社視点人材の育成」です。私が経営者向けのワークショップを行う中で、経営者の方々からよく聞くのは、「サイロがある」という言葉です。サイロとは、農産物や家畜の飼料などの貯蔵庫のことですが、「窓がなく周囲が見えない」という意味があります。「サイロがある」とはつまり、縦割りの組織構造になっていて、部門間に壁があるということです。このような状況では、部門が異なればお互いに何をやっているのかわからず、全社最適視点を持った次世代の経営者が育ちにくいというわけです。経営者に不可欠な全社最適視点を醸成できるよう、オフィス環境にも工夫が求められます。

2つ目は、「メンター機能の強化」です。人材育成において、メンターの存在は欠かせません。直属の上司には話しにくい相談もできるよう、メンターには他部門の先輩や上職者が就くのが一般的ですが、必要なときにメンターに相談できる環境であることもポイントです。

3つ目は、「OJTの効率アップ」です。前述のメンター機能は部門を越えたクロスのコミュニケーションが重要であるのに対し、OJTでは同じ部署内のラインのコミュニケーションが中心です。自分が身に付けたい知識や技術を持つ先輩社員にアプローチしやすい環境づくりが、若手育成にはとても大切です。

4つ目は、「コミュニケーション機会の質および量の向上による気づき」です。人は誰かから教えられるよりも、他人とのコミュニケーションを通じて気づき、学ぶことの方が多いものです。しかも、年齢が上がるほど、その傾向は強くなります。様々な人との対話を通じて自己課題を発見できるような気づきの機会も、オフィスの作り方次第で提供できると考えています。

5つ目は、「ナレッジシェアリングの促進」です。社員それぞれが持つ専門的な知識を共有することを「ナレッジシェアリング」と呼びますが、ナレッジシェアリングがしやすい環境も人材育成には欠かせません。

ここまで、組織開発、人材開発の観点からオフィスに求められるポイントを説明してきましたが、人材確保においても、社員の働き方を刺激するようなオフィスは武器になり得ます。オフィスの立地や外観、デザインのカッコよさはもちろんのこと、社員の働きやすさに考慮したオフィスや、「こんな人を育てたい」という経営の思いが反映されたオフィスは、学生にとっても魅力的です。当社の例をお話しすると、私たちは2014年4月、首都圏の拠点を統合集約する形で本社移転を行い、経営ビジョンを反映したオフィス構築を自ら実践しました。当社は日本ではまだ知名度が高くありませんが、学生が1度でも本社オフィスを訪れると、「この会社で働きたい」という思いを強くするようです。この例からもわかるように、どのようなオフィスを構えるかによって、優秀な人材確保に貢献することも十分に可能だと考えます。

社内の一体感を醸成できるオフィス移転が最大のチャンス

組織開発・人材開発に効果的なオフィスづくりは、何といっても移転時がチャンスです。仮に移転しなくても、内装やレイアウトを変えるだけで効果は期待できるかもしれませんが、例えば複数拠点や多層階に分かれているなど、ハード面での制約を抱えたまま、部分的な改善にとどまる恐れもあります。やはり、移転を機にゼロから理想のオフィスを構築してこそ、オフィスの問題を抜本的に解決できます。また、「経営が本気で社員のためのオフィスを作ろうとしている」というメッセージにもなり、社員へのインパクトも大きいのではないでしょうか。

移転がチャンスであるもう1つの理由は、移転という会社にとっての一大プロジェクトを全社員で成し遂げることによって、社内に一体感が生まれることです。組織開発を効果的に進めていくには、社員がやる気を持って、主体的に組織に関わっていく姿勢が求められますが、社員のやる気を高めるには「一体感の醸成」は非常に重要です。

社員のやる気

ちなみに、社員のやる気を引き出すには、金銭的な報酬やポジションなどの外発的動機づけではなく、自分の内側から起こる内発的動機づけが効果的だと言われています。アメリカの有名な心理学者であるエドワード・デジは、内発的動機づけに働きかけるポイントとして次の3つを挙げています。1つ目は、自分の意思で自由に選択できる「自己決定感」。2つ目は、自分が組織に貢献できていて、それを周りに認められているという「有能感」。3つ目が、自分もこの組織の一員であるという「一体感」です。「自己決定感」と「有能感」は、マネジメントスタイルの改善によっても達成できます。例えば、自己決定感は、上司が部下に指示するだけでなく、部下にも考えさせるコミュニケーションアプローチを多く取り入れることで生まれます。また、有能感は、上司が部下に仕事を与えるだけでなく、業務遂行後のフィードバックを必ず行うことで高まります。同じように「一体感」も、マネジメントスタイルの工夫で醸成することは可能です。しかし、それよりも、全社が一丸となって移転プロジェクトを成し遂げた時の効果は計り知れません。

移転によって、なぜそこまでの一体感が醸成されるのか。それは、最近のトレンドとして、社内で組織横断型の移転プロジェクトを構成し、推進するスタイルが主流であることも大きな理由です。移転プロジェクトでは、社内から集められたメンバーが中心となって、経営ビジョンをオフィスコンセプトに落とし込み、オフィスレイアウトに反映させていきます。移転プロジェクトを通して、経営によるメッセージの社内浸透を図れるだけでなく、社員がオフィスづくりに参画することで、“自分たちが作った自分たちのオフィス”という愛着が生まれるとともに、社内の一体感が醸成されていくというわけです。

プロジェクトを成功に導く秘訣とは?

そうは言っても、経営のビジョンをオフィスという形に具現化するには、通常の移転作業にも増して高度な知識とノウハウが必要です。企業にとって、移転はそう何度も経験するものではないだけに、社内に知識やノウハウがなく、社員だけで推進するのは並大抵のことではありません。ここはプロジェクトマネジメントのプロフェッショナルと組むことが、費用対効果の面でも得策と言えるでしょう。

経営の思いを伝え、人材マネジメントに寄与するオフィス移転。このプロジェクトを成功に導くには、基本設計に入る前段階での現状把握とオフィス戦略立案がカギとなります。現行のオフィスと働き方を調査・分析し、改善点を抽出した上で、新しいオフィスに求めるあるべき姿とコンセプトを定義します。これがしっかりできているかどうかで、移転プロジェクトの成否が決まると言っても過言ではありません。そして、もう1つのポイントは、新しいオフィスを効果的に使いこなし、成果を生むための働き方改革と、それに伴う社員の意識改革を同時並行で行うことです。ハード面でのオフィス構築と、ソフト面での働き方改革や社員の意識改革の両方がそろってはじめて、移転プロジェクトを成功に導くことができるのです。

経営のビジョンは、言葉で表現しても社員にはなかなか伝わりにくいものですが、オフィスという働く場所に具現化することで伝わりやすくなります。逆に言えば、「どのようなオフィスにするか」は、「どのような働き方を社員に求めるのか」「どのような人材に育てたいのか」という経営のメッセージでもあります。オフィス移転という絶好の機会を逃さず、オフィス構築を組織開発や人材開発に有効に活用していただきたいと思います。

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上記内容は BZ空間誌 2017年秋季号 掲載記事 です。本ページへの転載時に一部加筆修正している場合がございます。

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