広島
広島の平均改定率は、03年以降着実に上昇してきてはいるものの、07年もマイナス水準で、依然として継続賃料の下方調整が続いているといえる。
ただ、06年に7年ぶりにカウントされた増額改定は07年にも見られ、全体の6.1%が増額改定。
減額改定をした事例の8.2%との差は確実に減少した。
ビルオーナーの景況感指数の推移を見ると、近年は低下傾向にあるものの、05年、06年、07年と、いずれもプラスであり、これは、東京を除くとここ広島だけの傾向だ。
近年、空室率が11%前後で安定しており、高止まりとはいうものの急激な悪化材料も見られなかったことから、このような結果を示したのだろう。
しかし、昨今の景況感の悪化に加え、広島では今後新築ビルの竣工が控えており、賃料減額による既存テナントの引き止めも目立つようになってきている。
高松
増額・減額改定割合の帯グラフを見れば一目瞭然であるが、1998年まで「改定といえば増額」であった高松の賃料改定事情。
以降05年までは、一転して「改定といえば減額のみ」という状況が続いていた。
増額改定が1事例もカウントされない時期が7年間。
中でも01年以降は半数以上が減額という状況に、再び転機が訪れたのが06年。
8年ぶりに増額改定がカウントされ、平均改定率も一気に-1.2まで上昇した。
この勢いが07年まで継続するか否かが注目されていたが、結果は、オーナーサイドにとって厳しい状況が如実に示されている。
06年から07年にかけて平均改定率が低下したのは、全国都市の中でも唯一高松のみ。
また、ビルオーナー景況感指数の-32、「市況が悪くなっていく」とするオーナーが全体の46%という状況も、先行きを示す指標として挙げられるだろう。
福岡
07年における福岡の賃料改定は、06年に対して減額改定割合が低下、増額改定割合も低下し、据置の占める割合が7.4ポイント増加し86.7%となった。
全国的に据置が主流を占める昨今の賃料改定事情だが、中でも福岡が、最もその傾向が強かったことを示している。
増額改定の割合は、他の都市と比較してさほど突出したものではないものの、特筆すべきは減額改定事例の少なさだろう。
05年から06年にかけ急激に減少した減額改定が、07年もさらに減少し、全体の2.2%しか行われなかったという結果となっている。
このような状況下にもかかわらず、ビルオーナーの景況感指数は大きく低下し-17
06年から07年で、実に51ポイントも下げたことになる。
今後予定される大量の新規供給への警戒感と、市況の先行き不透明感が如実に示されたものといえるだろう。
凡例
分析対象
1990年~2007年の18年間において、1990年~1995年については当該年5月~次年4月、1996年~2007年については各年1月~12月にそれぞれ賃料改定を実施したもの(契約更新を迎えたもの)。また、原則として改定時期が2年毎のもの。
平均改定率・空室率とビルオーナー景況感指数グラフ 2000年~2007年の過去8年間
『ビルオーナー景況感指数』
今後のオフィス市況が、現在と比較してどのように変化していくと考えられるか」につき質問し、回答があったものにつき集計。この回答のうち「良くなっていく」...①、「悪くなっていく」...②、「どちらとも言えない」...③という3つの選択肢から、①と②の割合の差分を求め指数とした。同指数の経年推移。
指数化の例:東京2007年のビルオーナー景況感指数
「良くなっていく」24%...①
「悪くなっていく」15%...②
「どちらとも言えない」61%...③
ビルオーナー景況感指数=①-②=9
※ビルオーナー景況感の指数算出にあたっては、日本銀行が発表する企業短期経済観測調査(短観)の業況判断指数(DI)の算出方法を参考とした。
『平均改定率(%)』 改定率の平均についての経年推移。
総額・減額海底割合グラフ 1990年~2007年の過去18年間
年毎、全サンプルに占める増額改定、減額改定、据置の割合を、それぞれ帯グラフにて表示。最新データの2007年のみ各数値(%)を併記した。