賃料が下落した都市は4年ぶりにゼロ
全国的にオフィス需要は増加
全国主要都市の賃貸オフィスビル市場動向をまとめた四半期レポート。
2024年第1四半期の空室率・平均募集賃料・需給面積を解説を交えて掲載。
GDP成長率 Q1 | 日銀短観DI Q1(全規模・全産業) | 東京グレードA賃料 Q1 | 東京グレードA空室率 Q1 |
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+0.2% 予測値※ 前年同期比 |
12pts 前期比-1pts |
+0.7% 前期比 |
-0.9pts 前期比 |
※ 出所:日本経済研究センター(ESPフォーキャスト調査)
- 東京:賃料は全てのグレードで2期連続の上昇
今期(Q1)のオールグレード空室率は対前期比-0.4ポイントの4.3%と2期連続で低下した。新規需要は過去四半期平均の約1.5倍の6.3万坪となった。築浅の大型ビルを中心に、グレードアップや立地改善、建て替えによる移転などで空室消化が進んだ。賃料は全てのグレードで2期連続で上昇した。空室消化が進んだビルで賃料を従前の水準に上げ戻すケースが増えている。 - 大阪:新規供給により空室率は上昇も、需要は堅調
今期のオールグレードの空室率は対前期比+0.6ポイントの3.5%。空室率上昇の主因は、一四半期で過去年間平均の1.3倍に相当する新規供給が空室を抱えて竣工したこと。ただし、堅調な需要を背景に面積帯を問わず空室消化が進んだため、空室率は小幅上昇にとどまった。グレードA賃料は対前期比横ばい。約3年間下落傾向が続いたが、堅調な需要を受けて横ばいとなった。 - 名古屋:賃料は約4年ぶりに全てのグレードで上昇
今期のオールグレード空室率は対前期比+0.2ポイントの5.8%。新規供給が空室を抱えて竣工したことが空室率上昇の主因。ただし、築浅ビルを中心に空室消化が進み、新規需要面積は過去四半期平均の3倍超の1.1万坪となった。賃料は4年ぶりに全てのグレードが対前期比で上昇した。特にグレードBで賃料を引き上げる動きが増え、全体の水準を底上げした。 - 地方都市:コロナ禍以降はじめて、賃料の下落した都市みられず
今期のオールグレード空室率は、10都市中7都市で対前期比低下、3都市で上昇した。新規供給を主因に空室率が上昇した都市は見られたものの、拡張移転や建て替え移転、館内増床などで全国的に空室消化が進んだ。オールグレード賃料は、10都市中9都市で対前期比上昇、1都市で横ばいとなり、2020年Q1以来4年ぶりに下落した都市がゼロとなった。