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テナント企業の人材確保をサポートする物流施設デベロッパーの開発・運用

お役立ち

2017年10月10日

田中 英樹 氏

グローバル・ロジスティック・プロパティーズ株式会社

プロパティマネジメント部
シニアマネージャー

田中 英樹

山後 正憲 氏

グローバル・ロジスティック・プロパティーズ株式会社

投資開発部 プロジェクトマネジメントグループ
ヴァイスプレジデント

山後 正憲

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開発デベロッパーにものしかかる物流業界、人手不足の重圧

当社は2009年3月に設立され、以降、先進的な物流施設のリーディングプロバイダーとして、日本、中国、米国、ブラジルで事業を展開。2017年3月時点で、5500万㎡規模の物流施設ポートフォリオを展開するまでに発展してきました。世界の主要な製造業、小売業、3PL事業者が主な取引先であり、その顧客数は4,000社にも達しています。国内においても、主要な物流拠点を網羅する都市に、マルチテナント型、ビルド・トゥ・スーツ(BTS)型、セールスアンドリースバック型の物流施設を展開しており、現時点で97物件、総延床面積約470万㎡を所有・運営し、約100社の企業様にご提供しています。

当社が物件を開発する上でのポイントは、いくつかありますが、最も重要なのが立地であることは言うまでもないでしょう。いわゆる物流適地と呼ばれるエリアで、なおかつ高速道路のICに近いといった、利便性に優れた場所に土地を確保することが最優先です。そこに効率性の高い物件を開発し、適正な賃料でご提供することは、テナント様を誘致する上で今も昔も変わらない条件となっています。これらに加え、以前にも増して重要度が高まっているのが人材の確保、つまり雇用がしやすいエリアであるかどうかという点です。ご存知のとおり、今日のわが国では全産業レベルで人手不足に陥っているのが現状です。特に物流業界は3K業種のイメージが強く、経済状況が好況な時ほど時給を上げても人が集まりにくいのが現実です。そのため、ご入居いただいたテナント様にとって採用がしやすいかどうかが、物流施設選択の大きなファクターとなっているのです。ですから、物件周辺の雇用情報を提供することが、デベロッパーにも強く求められるようになっています。

当社では、以前からこの点を重視しており、土地の仕入れ時点から調査をしてきました。具体的には、候補地から特定の距離・時間内にどれ程の人が住み、どれだけの人が働いているかという人口・労働力人口に加え、ハローワークでの求人動向、さらには近隣施設のテナント様からの生情報を加味して立地評価をしてきました。近年では、その重要度がますます高まっていることを痛感しています。倉庫内ワーカーの人手不足は今に始まったことではありませんが、例えばフォークリフトを操作するような専門性の高い人材はもちろん、ECでのピッキング作業のパート・アルバイトも、取り合いになっているような状況なのです。

マルチテナント型ならではの設備とアメニティスペースの導入

このような人手不足の状況に対して、当社が入居テナント様に向けてできる施策は、大きく2つあると考えています。その1つが庫内の作業環境の快適性向上です。当社の施設の多くは、PC(プレキャストコンクリート)造の堅牢で美しい内観を有し、基礎に免震装置を採用することで安心感を高めています。また、外壁には断熱性に優れたサンドイッチパネルを採用しているほか、全館LED照明による明るく安全な作業空間を実現しています。倉庫内作業が抱える課題の代表格が夏の暑さであり、その対策として大きな空調設備のニーズが高いのは事実です。しかし、大掛かりな設備を導入すれば快適さは確保できますが、その分、設備代と電気代に大きなコストがかかり、賃料負担も増すことになります。そこで当社では、2017年3月以降に竣工する開発物件より、天井に大型のシーリングファンを各テナント様の区画毎に1台、標準仕様として設置することとしています。このファンで庫内の空気を動かすことで、電気代はさほどかさまず、ワーカーにとって心地よい環境が作り出せるのです。一方、空調を増設したいテナント様もいらっしゃいます。その場合、例えば5階のテナント様の室外機を1階に増設するのでは、配管だけでも大きなコストがかかります。当社の物件では、配管や室外機の設置を想定して、各フロアに効率よく機器を置けるように設計するなどの配慮をしています。

そしてもう1つの施策が、福利厚生施設の充実です。これは売店・食堂・カフェ・喫煙室などの、いわゆるアメニティスペースを指します。一企業が所有する旧来の小型倉庫では、これらの施策はなかなか難しかったのですが、大型施設ではテナント企業様から共益費をいただくことで運用が可能であり、大型マルチテナント型ならではのメリットと言えるでしょう。かつては、こうした福利厚生施設そのものが差別化戦略となっていましたが、今日の大型施設では標準的なものとなっています。そこで当社では、デザイン性を重視したスペース作りに注力するようにしています。デザインに優れた快適なアメニティスペースは、物件の格を高めるとともに、ワーカーが長く働きたいと思うモチベーションアップにも繋がります。例えば、奥様がワーカーとして働く場合、家族に誇れるようなスペースであれば働きがいも向上し、友人にも自慢したくなるでしょう。そうすれば新たな人材の採用に繋がることも期待できます。そのため当社の施設では、アメニティスペースの面積が年々拡大する傾向にあります。しかも単に広くするだけでなく、物件の特性に合わせたデザインを施すことで、その魅力を高めています。例えばGLP厚木IIの休憩室では、インダストリアルなイメージを持ち込んだクラシカルなデザインを採用しました。また、高台の緑地にある埼玉県のGLP狭山日高IIでは、その眺望を活かしたリゾート風のラウンジにしています。窓からは遠く東京スカイツリーまでもが望める落ち着いた雰囲気が魅力であり、倉庫内の喧騒から離れて、一息つけるようなストーリー作りをしています。ワーカーの方々には、それぞれの休憩時間の楽しみ方があります。ですから休憩室には、1人でいたい人用のカウンターや、談笑用のどっしりとしたソファなど、多様なシーンに対応する環境を作っています。また、スマートフォン等向けにWi-Fi設備を設けたほか、充電器も設置しています。当社のようなデベロッパーは、仕事のオペレーションには口を出せませんが、こうした環境を提供することで、テナント様の人材確保の一助になることができるのです。とはいえ、過度な設備やメンテナンスにコストがかかりやすい造作は、結果的に賃料アップに繋がってしまうので、そのバランスを見極めることが重要になっています。

ワーカーの継続雇用を目指した満足度調査アンケートの実施

こうした設備や環境が、デベロッパー側の押しつけであってはなりません。テナント様やワーカーの方々に価値を感じていただいてこそ、意味があると考えます。そこで当社では、2013年より顧客満足度調査を実施しています。内容は、売店や食堂を含めた共用部分全般に加え、警備員の質や当社社員の応対など多岐にわたっています。まずは野村総研の協力を得て、テナント様のセンター長や物流会社の責任者クラスなど200名の方々に、インターネットによるアンケート調査を実施。その結果、当社施設の継続利用の意向に関して、97%という高い評価をいただきました。加えて2016年には、より現場のリアルな声を吸い上げ今後の施設運営に生かすために、5,000人のワーカーの方々に質問表を配布し、ご意見をいただきました。この結果を反映した施策の一例が、先に触れたWi-Fi設備の設置であり、セルフレジの導入による売店の24時間営業などです。さらに、今年からはいつでも意見が寄せられるように、アメニティスペースに意見箱を設置し、無記名で不満や苦情が言えるようにしました。そして、何ができて何ができないか、どこを改善したのかがわかるように、意見とその回答を開示するようにしています。また、このアンケートに基づき、売店や食堂、警備の運営会社には、月1回の定例会でフィードバックし、メニューの改善やサービスの向上を図っています。

こうした調査は、施設内の設備やサービスに対して求められる要求レベルを計る上での指標探しであり、物流デベロッパーだからこそ必要なことだと考えます。なぜなら、こうした部分の満足度こそが、人材確保にとって重要なファクターだからです。この他、大手人材派遣会社と提携して、当社のテナント様の人材募集にあたっては、求人広告を割安で掲載できるようにしています。また、ある人材派遣会社との提携により、同一施設内の派遣社員を、テナント様の繁忙期に合わせて流動的に斡旋するなど、ソフト面のサービスも提供しています。

省人化と人材確保の双方に対応 堅実で喜ばれるサービスの提供

国内の生産労働人口が劇的に減少している今日の状況を見ると、物流施設においても省人化・自動化が進むことは間違いのないところでしょう。しかし、ワーカーがゼロになる状況はすぐには考えられません。なぜなら、大規模な機械化には巨額な初期投資が必要となり、1社で大型施設を所有できる大企業なら可能かもしれませんが、物流施設を必要とするすべての業種の企業が対応できるとは思えないからです。したがって当社では、機械化に対応できると同時に、ワーカーが安心・安全・快適に働ける施設という、双方のニーズに応えていかなければならないでしょう。そうした中では、テナント様やワーカーの方々が求める環境にも変化が生じるかもしれません。幸い当社では、そうした皆様の生の声を吸い上げる仕組みを作ることができました。こうした情報をもとに、これからも、常に新しく、しかも堅実で喜ばれるサービスをご提供していくことが、我々の使命だと考えています。

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上記内容は BZ空間誌 2017年秋季号 掲載記事 です。本ページへの転載時に一部加筆修正している場合がございます。

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