関係団体・企業が集まり、
物流革新に向けた議論をスタート
ソフトからハードへ両輪の支援を目指す。
物流業界への支援に向け、拠点のあり方を考える検討会を設立
昨年4月、トラックドライバーの時間外労働の上限規制が適用されることになりました。いわゆる物流の2024年問題では輸送力の不足などが見込まれ、政府はその前年から様々な取り組みを進めてきました。その中で議論の柱が、「物流の効率化」「商慣行の見直し」「荷主・消費者の行動変容」です。
昨年の国会では、トラックドライバーの荷待ち時間の削減や旧態依然としていた契約のあり方など、物流の効率化と商慣行の見直しなどに規則的措置を導入することが決まり、5月には改正物流法を公布。今年4月から段階的に施行されることになっています。
一方、そのようなソフト面に加え、ハード面でも支援策を打ち出していこうと、昨年10月には、経済や流通分野の有識者をはじめ、物流に携わる業界団体や企業などに参画いただき、「物流拠点の今後のあり方に関する検討会」(以下、検討会)を設立しました。昨今は、物流の2024年問題はもとより、災害時の物流が耳目を集めることもあるなど、物流を取り巻く長年の構造的課題への対応がこれまで以上に求められています。裏を返せば、政策の推進を積極的に図る好機であり、社会からの要請に迅速に対応するべく、この検討会が動き出しました。
検討会では、物流拠点整備についての国の方針、基幹物流拠点の整備への関与や支援などを検討するほか、施設の老朽化などにも対応できないかと、様々な観点から議論を交わしています。また、これまで多くの物流施設は、トラックが出入りすることもあり、住宅地から離れたエリアに立地していました。しかし、現在は地域を支えるインフラでもあり、自治体が誘致に乗り出したり、デベロッパーや外資系企業が開発に参画するなど、供給方法や役割・機能も多様化しています。中には防災拠点や公園を併設し、地域住民が利用できるようにするなど、まちづくりの側面を伴うケースも増えています。そのような状況を踏まえ、今後の物流拠点のあり方やそのための政策について、議論を進めているところです。
物流拠点の現状を把握し、3つの論点を柱に今後の政策案を議論
検討会では、具体的な議論の柱として、「物流拠点に求められる役割・機能」「地域経済を支える物流拠点の立地戦略」「物流拠点の整備・運営事業者に係る産業政策」を掲げています。役割・機能では、物流の2024年問題や気候変動などに向けた自動運転の導入など、DX※1やGX※2への対応などを中心に議論し、立地戦略としては、EC拠点の拡大や中継輸送の拡大、それらに伴う自動運転トラックの導入への対応、さらには地域のまちづくりとの連携で物流施設はどうあるべきかを議論しています。整備・産業政策としては、1960年代に経済成長を見越して数多く建てられた倉庫や物流施設の老朽化が進んでいるため【図3】、それらの再構築への対応など、物流の持続可能性に関わる課題への対応や支援策について、検討しています。
検討会を始めるにあたっては、国で把握していた倉庫に加え、近年急増する賃貸型物流施設の供給数など、物流拠点の現状把握も重要なテーマでした。【図4】人口減少の中、物流全体の取扱量は劇的には増えないとは言え、ECの需要による荷物の小口化や、冷凍冷蔵倉庫の需要が伸びているなど、物流業界が置かれた状況は変化しています。倉庫も荷物を保管するだけではなく、立地特性に基づいた機能や、流通加工・配送の機能といった付加価値のほか、雇用を生み出す場としての快適性や安全性を改善していくことについても議論を重ねています。
政策の方向性を取りまとめ、新年度以降の制度設計を目指す
検討会は令和6年度末をめどに、一定の政策の方向性を取りまとめる予定です。現時点では、幹線輸送と地域配送の接続拠点となり、自動運転にも対応する基幹物流拠点の整備をはじめ、老朽化した物流拠点の再構築、まちづくりとの連携などに対する施策が盛り込まれる見込みです。それをもとに新年度以降、具体的な支援の制度設計を進めることになるかと思います。
物流は、民間企業の事業や戦略という枠を超え、地域の経済や生活を支えるものであるという認識が広がっています。検討会には、物流に関わる様々な立場の団体や企業が参加し、時には意見が異なる場合もあります。しかし、物流の将来という同じ方向を向きながら、様々な視点から議論することに意味があります。物流の2024年問題がクローズアップされ、物流という課題に注目が集まっている今、国土交通省としても大きなチャレンジになりますが、皆様とともに取り組んでいきたいと考えています。
※1 デジタルトランスフォーメーション
※2 グリーントランスフォーメーション


