規制・制度改革を活用して、 福岡市をスタートアップの拠点都市に。
国の経済活性化のために、地域限定で新たな規制・制度改革の提案が可能となる国家戦略特区。「グローバル創業・雇用創出特区」に指定された福岡市では、国内外からスタートアップを誘致し、市で創業する企業を育むため、様々なプロジェクトを展開しています。
そのシンボルとなる事業の一つとして、市は閉校となった旧大名小学校を、2017年4月に官民共働型スタートアップ支援施設「Fukuoka Growth Next(FGN)」※1として再生。起業や第二創業を支援し、その成長をサポートする場として運営しています。FGNでは、シェアオフィスやコワーキングスペースといったハード面とともに、創業に必要な機能をすべて集約し、ワンストップで利用できるようにソフト面も充実。コンシェルジュによる起業相談窓口を置くスタートアップカフェや、雇用労働相談センター、人材マッチングセンターの設置など、“特区としての規制・制度改革”に“福岡市の独自施策”を併せて、さらなるサポートを推進しており、これが福岡市の創業支援策の特長にもなっています。
こうした取り組みが奏功し、FGNはスタートアップのプラットフォームとして認知され、東京の投資家やベンチャーキャピタルも足繁く訪れるようになっており、これまでに約30社・80億円以上の資金調達が実現しています。現在、リニューアル・オープンに向けて入居企業募集中です。
また、外国人の創業活動を促進するため、在留資格(経営・管理)の取得要件を満たす見込みのある外国人の創業活動を特例的に認める「スタートアップビザ」の受付を、2015年12月に開始しました。これは、在留資格(経営・管理)の要件(事務所開設、常勤2名以上の雇用もしくは資本金の額または出資の総額が500万円以上など)が整っていなくても、要件を満たす見込みについて福岡市の確認を受けると最大一年の在留資格が認められ、福岡市で創業活動ができる制度。国の規制改革(スタートアップビザ)に市の制度(スタートアップ賃料補助※2)を併せ、外国人がより創業しやすい環境を整えています。
福岡市では、国内外からスタートアップ人材や企業を呼び込むうえでハードルとなる規制の改革や法人減税などを実現し、これらを「福岡市スタートアップ・パッケージ」として発信していくことで、創業拠点都市づくりの日本における先駆的なロールモデルを構築しています。
※1:現在内外装工事等により一時閉鎖、5月31日リニューアル・オープン予定
※2:有望なビジネスプランを持つ外国人起業家へ、福岡市の「住居」「事業所」の補助を行う制度
- 取材:2019年1月 福岡市 経済観光文化局 創業・立地推進部 企業誘致課 企業誘致係長 山下 龍二郎氏、内田 沙弥香氏 / 創業・大学連携課 創業推進係長 菊池 義明氏