※ 本レポートは2025年6月に発表されたものです。
2024年問題が人材不足への対応を加速
物流施設の仕様や立地にはこれまで以上に厳しい視点
2025年のCBRE物流施設利用に関するテナント調査(2025年3月実施)では、トラックドライバーの労働時間規制(2024年問題)の影響が鮮明となった。テナント企業の拡張意欲は、倉庫の総面積および拠点数のいずれについても引き続き強い。しかし、テナント企業によって、解決しようとしている課題は様々なようだ。具体的には、物流企業は多くの対策を検討しながらも、従業員の作業環境の整備や雇用の確保を重視する姿勢が鮮明だ。一方、荷主企業は、拠点立地の見直しや再配置、倉庫の自動化・機械化、施設の老朽化への対応など、物流効率化に向けた取り組みを本格化していることがわかった。
2024年問題への対応については、実施状況に進展がみられるが、まだ多くのテナント企業が対策の途上にある。物流企業は、効率化を推進しつつもドライバー不足への懸念が未だ強い。荷主企業も、ドライバーの拘束時間の削減に向けた取り組みを積極的化させているようだ。
そして、2024年問題への対応だけでなく、物流コストの上昇も踏まえて、これからも輸送・配送網の効率化に向けた取り組みは続くものとみられる。検討中の拠点の立地に関する設問では、地方都市・中間地点、および物流集積地の回答率が増加。配送効率や距離の短縮を重視する傾向がみられた。
テナント企業がこれからの物流施設に求める仕様は、倉庫内の作業環境の改善に有効な空調と、ドライバーの待機時間削減に寄与するトラックバースである。また、先進的物流施設の基本的なスペックが多くのテナント企業から求められていることも、アンケートの結果から確認された。冷凍冷蔵や危険物など、特殊な仕様の倉庫についてもニーズがありそうだ。
賃料改定について、一定の賃料上昇を容認する回答者が全体の63%を占めた。物流施設の賃料水準は首都圏の一部地域を除いて上昇傾向にあり、テナント企業の市況への理解が進んでいることを示唆する結果といえる。
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- 01 課題と対策
- 02 物流施設の要件と賃料改定

作成:2025年6月