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川越建築事務所 一級建築士 建築設備士 消防設備士
川越 一博

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用途変更への安易な期待がトラブルの原因に

今日、多くのオフィスビルに店舗が入居しているのを目にします。ビルオーナーにとって、店舗はビルの利便性を高める上でも、収益性の面でも魅力的なテナントでしょう。また、テナント側にとっても、スピーディーな出店を進める上で、オフィスビルの空室を利用することは重要な戦略となっています。しかし残念なことに、この店舗出店では、建物の用途に関して違法に行われていることが多いのもまた事実です。

前入居者が物販のところに物販、飲食から飲食というように、類似相互間の店舗の変更であれば問題は少ないのですが、それまでオフィスだったところに店舗が出店するのはもちろん、前テナントが店舗であっても、出店する業態によっては用途変更が必要になることがあるのです。そして、これら用途変更に関連してトラブルが起き、結果的にオーナーにとってもテナントにとっても、時間やコストの面で大きな損害が出るケースが後を絶ちません。用途変更に関しては、予想以上に難易度が高いという認識を持つことが、まず必要なのです。

用途変更を難しくする様々な阻害要因

では、なぜ用途変更が難しいのでしょう。それにはいくつかの要因があります。まず、一つ目が関連法規について。用途変更に関する重要な法規は、建築基準法と消防法の二つがあります。どちらも人と建物の安全を重視した法律でありながら、その視点は微妙に異なっています。簡潔にいえば、建築基準法では火災の延焼を最低限に食い止めることが重視され、火元の安全性は自己責任に委ねられています。

一方、消防法では、避難路の確保など、火元を含めた不特定多数の安全に主眼を置いており、求められる安全性の質が異なっているのです。そして、双方に整合性のない部分もあり、建築基準法上はクリアしていても消防法上問題があるケースなどでは、完成後に改修が必要になるなど、コスト面で大きなロスを生じることがあります。

また、関連法規における条文の解釈のしにくさも、対応を難しくしている要因となっています。例えば、店舗が入居する特殊建築物では、100m2を超える用途変更は申請が必要となっていますが、以下ならば申請不要かというとそうでもない。一例ですが、60m2の飲食店の隣で50m2空いたので拡張しようとした場合、拡張分は50m2だけでも、全体としては100m2を超えるため申請を必要とする役所があるなど、その解釈はまちまちなのが現状です。

用途変更には、こうした法規や前例を熟知した専門家の存在が不可欠なのですが、日本の建築行政は建物を新しく作る方向に向いていて、リニューアルや再生には力点が置かれていない側面があります。残念ながら、申請を請け負う設計事務所やゼネコンにおいても、認可する役所にも、十分なノウハウを持ったプロフェッショナルが少ない。これが、用途変更を難しくしているもう一つの大きな要因といえるでしょう。

業者はどこまで工事すればいいのかわからない。役所は資料があっても理解に時間がかかり、しかも、前例がないことを許可するにはためらいがある。また、地域によって法規の解釈に違いがある。わからない同士でやっているから、当然、安全過剰の対応を求めることになる。加えて、ゼネコンとしては工事が大規模になればなるほどマージンが大きくなるという仕組みが拍車をかけ、結果として施主に対する費用負担が大きくなり用途変更が困難になるという図式になっているのです。

現に、スーパーゼネコンが見積りで1億円かかるといった用途変更の案件が、500万円で済んだ例もあります。このように、法の理解やノウハウ、役所に対する交渉力も含めたコンサルティングができる、専門家の存在が重要なのです。

ビルオーナーの不手際が難易度をさらに高めることも

用途変更を行うにあたり一番大切なのは、「その建物が、建設当時の法規に合わせて建てられていることが証明できる」ことであり、その条件が満たされて、はじめて用途変更をスタートさせる資格があるというのが原則です。

しかし現実には、オーナー側の不手際から用途変更を難しくすることもあります。最もよくあるのが必要書類の不備。用途変更には、俗に4点セットと呼ばれる「検査済証」「確認済証(建築確認通知書)」「確認申請図面」「構造計算書」の四つの重要書類があり、詳細は後述しますが、これらがきちんとそろっていれば、何とかなるものです。

ところが、こうした書類が転売や相続の際に紛失し、そろっていないことがあまりに多い。さらに、役所側でも、昭和40年代に担当が都・県から市・区に移管する際に紛失してしまったケースがある。こうなると、スタートラインに立つだけで多くの時間とコストがかかることになるのです。

また、小規模ビルでは、容積オーバーなどの違法建築も多く、そのため、最初から検査済証が取れていない事例さえあります。さらに、本来なら認められていない店舗を、勝手に入居させているケース。こういう場合は、すでに構造荷重が変わっており、用途変更となると全体を適法か否かチェックされるため問題が起こってきます。

これまで述べたさまざまな阻害要因を合わせると、私の経験からの実感値としては、用途変更を希望する案件で、比較的容易であるものが全体の50%。難易度の差はあるものの、専門家が携われば可能なものが40%。残りの10%が用途変更が難しい建物という感じでしょうか。

必要書類の完備が用途変更を容易にする

用途変更の実務としては、必要な書類をそろえ、役所と誠意ある交渉を重ね、双方の理解を得た上で合意にこぎつけるわけですが、その書類として重要なのが前述の四つの書類です。中でも一番重要なのが検査済証になります。なぜなら、既存ビルの状態を調べる方法はいくつかあるものの、建ってしまったビルの地下などの構造物の状態を立証できるのは、検査済証だけだからです。ただし、仮に前述の理由で手元や役所にこれが残っていなくとも、当時の建築主の個人名がわかれば、消防署で同意を取っているかどうか確認するという手もあります。消防署で同意が取れていれば、確認が取れている可能性が高いといえるからです。

また、耐震偽装問題以降、特に厳しくなったのが構造の問題。店舗の用途が変われば荷重が変化するので、構造計算書がない場合、安全性を証明するにはさまざまな検査を実施する必要性が出てきます。古いビルなどでは、現状の建物を調査し、火災の際の避難検証を行うなどの資料を付加して、役所と交渉することもあります。私自身、銀座の歴史あるビルで、景観を損なうため排煙設備を付けたくないという施主の要望により、避難検証を実施して用途変更を行った例があります。

テナントから見た危険な物件の見分け方

最後に、テナント側から見た、用途変更が容易にできそうなビルの見分け方についてアドバイスしておきましょう。まず、現在何らかのテナントが入っているビルの場合、その入居の時点で、オーナーやテナントが用途変更しているかどうかをチェックすることです。過去に申請していれば、書類等がそろっているはずであり、短期間に入居できる可能性が高いといえます。

一方、特に注意したい案件は、中2階や半地下があるビル。昔は認められていましたが、現在では1.4m以上の天井高があれば1つの階とみなされます。階数が変われば規制も変わり、そのため、用途変更をするとスプリンクラーの設置など新たな負担が増える可能性が出てきます。 排煙設備のあるなしなどは、すぐにチェックできる確認項目として有効です。ただ、いずれにしても、最終的には経験のある専門家に相談することが確実で、一番の早道といえるでしょう。

用途変更には、現行の法律に適合させることで、資産価値を高めるメリットがあります。加えて、地域の防災や景観の美化にも寄与し、街の活性化を促すなど社会貢献にも繋がります。特に、日本橋や銀座など歴史ある街で立地のよいビルのオーナーは、積極的に取り組むべきテーマだといえるでしょう。また、こうした変更が円滑に行われるためにも、請負業者や各行政庁に、専門家が増えることを切望します。

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上記内容は オフィスジャパン誌 2006年冬季号 掲載記事 です。本ページへの転載時に一部加筆修正している場合がございます。

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