低廉な原状回復を入居当初から考慮するオフィス選び、スピーディかつ容易なオフィスづくり・ハーフセットアップ。
オフィスは開設時のみならず、退去時の原状回復にも多額のコストと時間がかかる。誰もが疑わなかったその常識を打ち破る「ハーフセットアップ」という運用形態を、住友商事がPREXのブランドで推進する。一般のオフィスづくりと、フルセットアップのまさに「いいとこどり」として、時代の潮流に乗り拡大するハーフセットアップのメリットを聞いた。
住友商事株式会社
ビル事業ユニット 事業推進第六チームリーダー
リーシング推進チームリーダー
林 宏有氏
時代の潮流に乗って拡大する、ハーフセットアップオフィスとは
当社ではPREXというブランド名のハーフセットアップオフィスを展開しています。そのメリットをご説明いたします。通常のオフィスは空間だけが提供されるので、テナント企業は内装やレイアウトなどを自由に決めることができます。その半面、デザインから工事業者の選択、入居工事など、その準備に多くの手間とコストが必要となり、中規模のオフィスでも現在は入居までに約2ヶ月以上かかります。また退去時には原状回復工事が必要となり、ここでも約2ヶ月と総契約期間のうち計4ヶ月以上のロスが発生します。さらにコスト面でも、一例を挙げればハーフセットアップ同様の会議室を制作するだけで入居時に約1000万円、退去時の工事にも数百万円かかることになるのです。
その点、当社が提供するハーフセットアップは、本来はテナント側が設置すべき会議室やフォンブースを、A工事としてオーナーである当社で設置している点が特長です。つまり入居工事における作り込みや退去時の解体など、最もコストがかかる部分が不要となるので大きなコストカットが可能なのです。さらに天井はスタイリッシュなスケルトン仕様、OAフロアは配線済みなので、カーペットを敷いて、デスクなどの什器を持ち込めば入居準備は完了。退去時もクリーニングするだけの手軽さで、時間的なロスは最小限に留められるのです。
また総コストで見ると、ランニングコストである月々の賃料は高めでも、入退去時にかかるコストが低いので、契約期間が2~3年であれば、グロスの金額は変わらないケースが多いでしょう〔図1〕。工事費が高騰している今日においては、よりメリットは大きくなっていると言えます。
一方、フルセットアップのオフィスも存在しますが、そういった形態のオフィスや同様のメリットがある居抜きオフィスは、什器やレイアウトに自由度がないケースがほとんどです。ハーフセットアップは、その点でも、コーポレートカラーを打ち出したいといった内装変更も可能な点にメリットがあると言えるでしょう。
そのため、より早く、より低コストで、オリジナルなオフィスを開設したいスタートアップやベンチャー企業、さらには期間限定のプロジェクト用オフィスを求める企業などにとって最適な選択肢だと言うことができます。
コロナ禍を経てオフィスとして、進化したPREXシリーズ
PREXはもともと、当社の一般的なオフィスビルのブランド名であり、すでに16~17棟のビルを開発・売却してきました。それが2021年2月に竣工した五反田の「島津山PREX」を機にハーフセットアップの賃貸方式に切り替えたのです。コロナ禍の最中であり、在宅ワークが浸透する中、集まりたい、働きたいと思えるような、かっこいいオフィスでありたい。同時に出社人数の増減が激しい中、あるいはベンチャー企業のように急拡大が見込まれる企業にとって、入りやすく出やすいオフィスは、需要が高いと思われたからです。
以降、京橋宝町、人形町、神宮北参道、愛宕山、銀座PREX Eastの6物件を展開しています。共通する特長としては、❶セキュリティ面で安心できるワンフロア・ワンテナント、❷密を回避する開閉可能な窓、❸安全性の高いエントランスセキュリティ、❹開放感のある2面採光、❺専用のキッチン、トイレ、❻WiFiを完備したテナント専用屋外ワークスペース、などが挙げられます。
サイズ的には50~100坪のフロア面積で、最大は人形町の158坪です。この規模感であれば、過去の経験上からどの位置に何室、どれくらいの大きさの会議室が必要か、といったニーズを把握しているので、7〜8割ぐらいの企業から「いいね」と評価していただけるレイアウトが作り込めていると自負しています。というのも当社では、土地の仕入れから商品企画、開発、リーシング、そして売却まで、一つのチームが一気通貫で行っているので、土地を買う段階で最終段階まで見通していることが求められるからです。言い換えれば、ハーフセットアップという手法で相場より高い賃料水準を担保できる、イコール土地代も高く払えるにつながるわけで、それが当社の強みと言えるでしょう。
より高級に、より地球に優しい、ビジネスの未来を目指して
当社の今後の展開として、PREXの基準階の仕様はそのままに、充実した共用ラウンジを備えた「WORK VILLA」というシリーズを開発しています。その一つが基準階95坪の「WORK VILLA MYJ kanda」です。特長は最上階にテナント専用ラウンジを確保していること。これは高級感の演出はもちろんですが、コロナ禍を経て、テレワークによって出社人数が日々変わる中で、その人数のバッファーを吸収できるというメリットがあります。こうすれば総人数分より少なめの広さで借りて、多くなればラウンジで仕事をすることもできるし、もちろん日々の中での気分転換にも使えますので、無駄になることはありません。
もう一つ、古いビルのリノベーションも手掛け始めました。中古のビルを全面的にリノベして、PREX仕様に変える。スクラップ&ビルドだけでなく、使える物は再利用しながら、市場ニーズに合致した新たなワークスペースを提供できれば、環境にも人にも優しいビジネスとして発展していけると考えています。






