移転前の調査・コンサルティングで賢い投資を
ワークプレイスストラテジーの活用
オフィスの現状把握や移転理由の重要性は、どの移転マニュアルでも筆頭に記されていることです。ただ、「オフィスの現状など、入居している自分が一番よくわかっている」「移転の目的は立地改善のため」など、簡単に答えを出してはいないでしょうか? 感覚で理解していることと、裏付けされ具現化された定義とでは、その後の移転プロジェクトの進捗に大きな違いが生じてきます。ワークプレイスストラテジー(WPS)とは、客観的な視点から現行のオフィスと働き方を調査分析、改善点を明らかにし、その上で新しいワークプレイスに求めるあるべき姿とコンセプトを示すもの。この時、現在のニーズに応えるだけではなく、5年、10年と将来の経営計画を踏まえながら戦略を立てていきます。もちろん、調査やコンサルティングという工程により、通常の移転に比べ期間とコストが必要になりますが、戦略が明確になる分、その後の工程がスムーズに進みます。「社内の意見がまとまらずにビル選定もままならない」「部署間の調整で設計に時間がかかる」「声の大きな人の意見が反映され当初の移転目的からかけ離れていく」のはよくある話。長期間にわたるワークプレイス改革をブレなく進め、移転により本当の意味で社員のためのオフィスを作るためにも、調査分析に基づくワークプレイス戦略の立案は重要なのです。
移転候補ビルの選定・賃貸借契約で賢い投資を
オフィス仲介サービスの活用
今さらですがオフィス移転投資の両翼とは、移転先となるスペースの選定・確保と、そこでのワークプレイスの構築です。そして、自社に最も適したビル、フロア、一室を選ぶためには、幅広いマーケット情報と対象物件の詳細な内容を知ることが不可欠と言えます。と、ここで「幅広い」「詳細な」と記すのは簡単ですが、現実のオフィス探しで賢い選択をするためには、様々なファクターを考慮しなければなりません。募集中の現状空室・賃貸条件はもとより、今後の空き予定や条件の交渉余地。オーナーがPRするビルグレード・設備概要はもちろん、自社にとってのメリット・デメリットの判断、候補物件毎の客観的な比較検証。マーケットの市況を反映した賃貸条件の妥当性の判断。これらは、豊富な実績と経験を有するオフィス専門の仲介サービス会社以外からは、提供され得ない事柄でしょう。賃貸借契約に際しても、コンプライアンスの確保や契約上の盲点など、事業用不動産特有の視点でのチェックが必要となります。多岐にわたる交渉において、社内リソースのみでその道の専門家であるビルオーナーに相対するのは至難の業。有能なオフィス仲介サービスを活用することが、新たなオフィスを的確に構築したいユーザーサイド、着実にテナント募集を推し進めたいオーナーサイドともに納得する、Win-Winのオフィス移転を実現する前提条件だと言えるのです。
設計・入居工事・引越など新オフィス構築で賢い投資を
プロジェクトマネジメントの活用
オフィス移転投資の片翼を担うワークプレイスの構築。具体的には、新オフィスのデザイン設計から、内装や設備の入居工事、引越という大掛かりなプロジェクトを実施していくことですが、企業が本業に経営資源を集中させる一方で管理部門の少人数化が進んでおり、本社や拠点の移転を遂行するための人材は不足しているのが現状です。タイトなスケジュールや予算、また専門的な知識が必要とされる中で、プロセスを透明化し説明責任を果たしながらステークホルダーの要求に応えていくのは非常に困難なタスク。昨今、プロジェクトマネジメントに外部パートナーを使う企業が増えているのは、こうした背景に対し、高い専門性や経験を持ったアウトソースを活用することで、プロジェクトそのものの価値を高めようという企業の戦略的な動きと捉えることができるでしょう。有効なプロジェクトマネジメントとは、設計者、ビル指定業者、各種サプライヤーなどの選定・調整・交渉を、100%クライアントの利益代表として行うことと、透明性と守秘性を維持しつつ、与条件に対して適正なコスト・品質のワークプレイスを実現し、投資効果を最大化することです。手戻りが致命的となるオフィス移転において、俯瞰的なプロセス管理により全体適正を図るプロジェクトマネジメントの導入は、投資を成功に導く絶対条件なのです。