どこよりも豊富な物流施設の開発・運営ノウハウにプラスし、
グループ全体でお客様のニーズに応え、シナジー効果を生み出す。
SGリアルティ株式会社
取締役
石黒 由高 氏
顧客のCREニーズに対応した新事業領域のスタート
当社は、佐川急便を中核企業とするSGホールディングスグループにおいて、本格的なプロパティマネジメントの考え方を導入して、グループの事業用不動産の最適運営・最適管理を徹底し、グループのランニングコストの中長期的な削減を図ることを目的に設立された会社です。
具体的に言うと、佐川急便では全国に約400ヵ所ほどの物流施設用の土地と建物を保有していたのですが、これらは管理レベルがまちまちで、不動産の資産維持状況が物件毎で異なっていたのが現状でした。そこで、これらの事業用不動産を一元管理し、管理コストなどのランニングコストを削減、良好な資産として維持するための計画修繕を実施することが求められたわけです。
また、一部賃借して利用している施設に関しても、法律面やマーケットにおける適正賃料の判断など、グループが必要とする不動産について、持つ・借りる、の両面からサポートすることが設立当初の役割でした。つまり、グループ全体のCREの機能に特化した会社としてのスタートでした。
新たな戦略として開発を実現した横浜・柏の大型物流施設
当社のソリューションが、今回のテーマである一般の荷主・物流会社に対する施設の提供を含むようになったのは、2009年頃からです。グループ各社が、それぞれの事業基盤を築くために外販事業を行って収益を上げる、自立した企業になることを標榜したことが背景にあります。この構想の中、これまで約400棟の物流施設を開発・運営・管理してきた当社のノウハウを活かして、グループ外の企業に施設を貸与して賃料収入を得るという手法をとるのは、自然の流れだったといえるでしょう。
こうして最初に開発案件として着手したのが「SGリアルティ横浜」です。2010年6月に土地を取得したこの物件は、首都高速横羽線「守屋町IC」から約200mに位置し、敷地面積約39,000㎡、延床面積約84,000㎡の4階建で、1階には佐川急便のカーゴセンターを、2~4階を外部企業の物流拠点として開発し2012年5月に竣工しました。
また、2010年10月には千葉県柏市に約104,000㎡の土地を取得。こちらは常磐自動車道「柏IC」から約600mに位置しており、「(仮称)SGリアルティ柏」の1期工事として延床面積約130,000㎡の5階建で、当社初のマルチテナント型物流施設の開発であり、2012年6月に竣工します。
こうした開発について、当社はこれまで、大小あわせて少なくとも年間4~5棟の物流施設を開発してきた経験があり、異なるのは従来が佐川急便の利用が主であったのに対して、3PL事業者などグループ外の会社にも利用できるようにしたということです。土地の取得から建物の設計・施工の管理の手法についてはこれまでとほとんど変わることはありません。施設の仕様についても、従来と比較して汎用性を高めることはもちろんですが、既存の他社大型物件と同等のスペックを確保しています。唯一、大きな違いがあるのは、マーケットの賃料相場を的確に読む必要があるということでしょうか。
このほか、2011年6月には埼玉県久喜市、品川区勝島の大型倉庫を取得しましたが、これはテナントの1社としてグループ会社の佐川グローバルロジスティクスがあり、投資効果だけでなく、グループのシナジー効果に期待して購入を判断しました。単純な利回りだけでなくグループ全体の競争力向上も、開発や案件購入の目的のひとつです。
自社長期保有ならではの安心感と利便性を提供
このような開発は現時点では、自社の資産として長期に保有し、安定した賃料収入を得ることを目的としています。つまり長期保有が大前提ですから、テナント企業のニーズにフレキシブルに対応しながら、安心してお使いいただける施設を提供できると自負しています。また、佐川急便の拠点が入居することもあるので、荷物の集荷の柔軟な対応など、デリバリーに関する利便性が高いことも、テナントにとってはメリットになると言えるでしょう。
土地取得については、これまでのグループ利用施設整備の実績から、物流適地の情報が全国の仲介業者の方々から数多く寄せられています。また、単純に土地の購入だけではなく、例えば、メーカーの物流子会社が保有する既存施設などの場合、物流機能と土地・建物をまるごと買収するといったことも当社1社だけで可能であり、個人的には案件購入に際して差別化を図っていける戦略のひとつになると考えています。
営業面についても、基幹事業が物流事業ですから、日本中のいかなる企業様とも、日常的にお取引があるわけで、その分、テナントの情報量が豊富であることが強みでしょう。さらには今日、施設だけを借りられればいいというテナントは減少しており、物流サービスなどの付加価値が求められています。当グループでは3PL事業もあるほか、海外へのネットワークも構築しているため、それらをパッケージングして提供できることもテナント誘致には有利であるといえます。
今回の神奈川の横浜、千葉の柏、東京の勝島、埼玉の久喜とで、関東エリアにバランスよく施設を配置したことになります。今後、関東北西部エリアに開発ができれば、申し分ない配置といえるでしょう。全国的にみれば、現在、関西エリアも検討中であるほか、中部の名古屋周辺、アジアの玄関口となる福岡近郊などの主要地域も、案件によっては検討したいエリアです。
こうした環境の中で、当社が目指すのは、当グループが持っているあらゆるサービスを組み込んだ、いわゆる「場所の提供から配送まで」のトータルサービスの一翼を担うことです。とはいえ、すべてを求めるテナントだけが対象となるわけではありません。3PLなどの同業企業をはじめ、業種は問わず、あらゆるテナントにお使いいただきたいと考えております。施設を借りるだけ、プラス物流ソリューションも、あるいはその他のサービスまで、選択肢はテナント側が有しているのはもちろんですが、求められるあらゆるニーズに対応できるようにしていく。そのような活動を通じて、例えばテナントと事業パートナーとしてジョイントを組むようなことも起こり得るでしょう。
将来は、当グループのあらゆるサービスを具現化する不動産サイドのプラットフォームとして展開し、グループとしてのCSを高める役割を果たすことを目指しています。そのために、グループとテナント双方のメリットを最優先に考え、単なる賃貸借にとどまらない契約形態、床の賃料と配送費用を総合的に勘案した価格設定なども、条件によっては相談に応じられるような体制を確立しようと考えています。こうした構想を実現し、より多くの方々にご満足いただけるよう、今後も物流ニーズのあるところに的確に施設を展開していく所存です。
横浜に大型物流施設を開発 SGリアルティ横浜 | ||
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現在地 | 神奈川県横浜市守屋町3-11 | |
敷地面積 | 約39,000㎡ | |
延床面積 | 約84,000㎡ | |
構造 | 地上4階建 | |
竣工 | 2012年5月 |
千葉県柏に大型物流施設を開発 SGリアルティ柏(仮称) | ||
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現在地 | 千葉県柏市新十余二13-1 | |
敷地面積 | 約104,000㎡ | |
延床面積 | 第1期工事:約130,000㎡ 第2期工事:約120,000㎡ |
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構造 | 地上5階建 2棟 | |
竣工 | 第1期工事:2012年6月 第2期工事:2013年秋 |