千代田区は中央に皇居が位置し、取り囲むようにオフィスゾーンが存在している。
東京駅前の我が国トップグレードのビジネス街である丸の内に一大金融街の大手町をはじめ、時計回りに、繁華街の有楽町、官庁街の霞が関に、隣接する内幸町や永田町、閑静な立地で独特の雰囲気を醸す番町・麹町、大型開発で様相の一変した飯田橋・九段、以降、御茶ノ水・神保町、秋葉原、神田、岩本町と切れ目なく続き、それぞれのゾーンが特色のあるオフィス街を形成している。
空室率は丸の内ビルディング(丸ビル)が竣工した2003年をピークに低下を続け、ほとんどのゾーンが3%以下と低水準で推移。多くの大手企業の本社所在地としての人気を裏付けている。これからも丸の内・大手町を中心に再開発による大型ビルの供給が予定されている。
千代田区 都市データ | |
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企業数 | 34,768社 [H13→H18 増減率 : -3.7%] |
平成18年事業所・企業統計調査により事業所総数 増減率は平成13年同統計調査との比較 | |
ワーカー数 | 876,172人 [H13→H18 増減率 : -1.3%] |
平成18年事業所・企業統計調査により従業者総数 増減率は平成13年同統計調査との比較 | |
大型小売店数 | 65店 |
大規模小売店 舗立地法届け出より抽出・算出 | |
大型小売売場面積 | 337,030㎡ |
当社データベースより該当エリア内の賃貸オフィスビルで延床面積の大きなものを抽出 代表的な入居企業は2008年5月現在 |
主要オフィスビルと代表的な入居企業 | |
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Gran Tokyo North Tower | 大和証券グループ / ビー・エヌ・ピー・パリバグループ |
Gran Tokyo South Tower | リクルート |
新丸の内ビルディング | 日興シティグループ証券 |
明治安田生命ビル | 明治安田生命保険 |
丸の内ビルディング | 三菱UFJ証券 |
大手町ファーストスクエアイーストタワー | UBS証券 / スタッフサービス |
大手町ファーストスクエアウエストタワー | みずほ証券 / 三菱マテリアル |
アーバンネット大手町ビル | 野村證券 |
山王パークタワー | エヌ・ティ・ティ・ドコモ / ドイツ銀行グループ |
霞が関ビルディング | リクルートエージェント |
霞が関コモンゲート西館 | 帝人グループ |
秋葉原UDX | 日立製作所 |
神保町三井ビルディング | 旭化成グループ |
日比谷国際ビル | JFEスチール |
二番町ガーデン | セブン&アイ・ホールディングス |
御茶ノ水・神保町
靖国通り沿いを中心に、古本屋やスポーツ用品店、楽器店などが集積し、学生街のイメージが強い。また業務集積としては、出版・教育・医療系の企業が多い。複数の地下鉄が乗り入れていることから交通利便性は高いが、立地するビルの多くが中小規模であり、加えて築年数を経たものも多いため、近年は建て替えによる新築ビルの供給が進んでいる。
飯田橋・九段
JRと地下鉄4路線の乗り入れで交通利便性が高く、近年、JR貨物跡地などに多数の大規模オフィスビルや自社ビルが建設されたことで業務集積が進み、新たなオフィス街として認知されてきた。今後の大型供給としては、富士見二丁目北部地区市街地再開発事業が2009年に竣工予定である。
番町・麹町
当ビジネス街は、本来武家屋敷町を由来とする閑静な住宅街であったが、徐々にオフィス化が進み、議員事務所や、法律・弁護士など専門サービス系の事務所、閑静な立地を好む外資系企業が多く集積するようになった。今後の大型供給としては、平河町二丁目東部南地区第一種市街地再開発事業やベルギー大使館建替プロジェクトが2009年に竣工予定となっている。
霞が関
中央官庁街の霞が関を中心に隣接する内幸町や永田町は、古くから大規模ビルが集積するエリア。代表的なものとしては、日本初の超高層ビルである霞が関ビルやPFIによる再開発事業であった霞が関コモンゲートが挙げられる。立地特性上、官公庁の分室需要やそれに付随する外郭団体等のニーズが多い。今後の大型供給としては、キャピトル東急ホテルの建て替えが2010年に竣工予定である。
丸の内・大手町
JR東京駅前に、古くから多数の大規模ビルが林立する日本一のビジネス街であり、重厚長大系企業、国内外の金融機関など多数の有名企業が集積している。また、建て替えや再開発が促進され、仲通りを中心に商業集積も高まっている。今後の大型供給としては、大手町一丁目地区第一種市街地再開発事業と丸の内パークビルディングが2009年に竣工予定であり、注目を集めている。
岩本町
JR神田駅の東側に位置し、小規模ビルが集積するエリア。神田駅から離れるにしたがって賃料水準も低廉になってくる。衣類卸売業や建設・不動産業のオフィスが多く立地しており、安価な飲食店や物販店も多い。中小規模のビルが多く、今も昔も再開発事業は少ない。
内神田
JR神田駅の西側に位置し、古くから小規模ビルを中心にビジネス街が形成されたエリアであるが、隣接する大手町に比べ賃料が安く、大手企業の関連会社テナントも見られる。駅前は雑居ビルが多く、やや雑然としたイメージが強い。全体的に老朽化したビルが集積し、ストックの更新も遅れ気味であることから、空室保有期間が長期化するビルが数多く見受けられる。
秋葉原
JR秋葉原駅周辺は、つくばエクスプレスの開業と駅周辺の大型再開発事業をきっかけに大きく変貌を遂げている。複数の大規模オフィスビルが供給され業務集積が進み、新たなビジネス街として認知された。ただし、中央通り沿いを中心としたエリアは、ビジネス街ではなく電器店やゲーム・アニメ店等の商業集積地としての知名度が高い。