施設管理部門だけで完結させない ➡全社を巻き込む戦略の重要性
ワークプレイスを構築していく過程は、これまでは企業の施設管理部門の主導で行われることが一般的でした。しかし、ワークプレイスの変化が空間だけにとどまらない現在では、これまで1ユーザーであった部署、例えば、商品企画部が主体となってワークスタイル変革を伴うワークプレイスの議論を推進する事例も出てきています。
施設管理部がリーダーシップをとる方法は間違いではありませんが、他の部署のコミットメントを戦略的に引き出すことが、今後のワークプレイスの構築プロセスでは大切となります。
働き方に大きな変革を伴う場合、プロジェクトのコアメンバーには、施設管理部門の他に少なくともIT部門と人事部門が入っているべきです。プロジェクトが進むにつれて、広報部門のサポートも必要になってきますので、最初からコアメンバーに加えておくことも得策でしょう。さらに、ステアリングコミッティ(プロジェクト推進委員会)は、経営メンバーによって構成されていることが重要です。これにより、経営ビジョンとワークプレイスの方向性を合致させることがスムーズにできるようになるからです〔図表5〕。
CBREのワークプレイス戦略コンサルティングチームは、プロジェクトマネジメントチームと強力に連携し、プロジェクトのハブとしてすべてのステークホルダーをリードします。
ワークプレイス戦略がないとどうなるか
ワークプレイス戦略プロセスを適用しないとどうなるでしょう。まず、現状を評価するためのデータがないので、経営的な思考に持ち込むことが困難になります。そうすると、経営ビジョンをサポートする志の高いコンセプトが打ち出せず、オフィス構築プロセスになくてはならない経営陣の強いリーダーシップを引き出すこともできなくなります。
リーダーシップの欠如したプロジェクトは、特に大きな変革を必要とする場合、関係者のモメンタム(勢い)を維持することは不可能に近くなります。困難が立ちはだかると、容易に設定目標が下げられ、プロジェクトが迷走するリスクが高くなります。
見た目の良いワークプレイスを作るだけならば、戦略がなくても可能かもしれません。しかしそれが、経営ビジョンを反映し、人々が効果的かつ幸せに働けるワークプレイスとなる可能性は低くなるでしょう。つまり、ワークプレイスの質とインテリアデザインの質とは1対1の関係ではない、ということです。インテリアデザインが良いこと、必要なテクノロジーがすべて導入されていることは、今ではワークプレイスに求められる最低限の条件です。
現代のワークプレイスにおいてより重要なことは、ユーザー自身が気付いていないワークプレイス要件を明らかにし、ユーザーが「望んでいる」だけではなく「実は必要としている」環境を構築することです〔図表6・7〕。
CBREワークプレイス戦略コンサルティングサービスは、お客様のワークプレイスの現状をできる限り定量的に評価し、定性的な判断の根拠とします。この手法を用いることで、経営ビジョンに直結したワークプレイスの解決法を提案することが可能となります。さらには、経営の言語によるコミュニケーションを用いることにより、提案を実現させるためのサポートサービスをご提供します。
事例
CBRE ロサンゼルスオフィス
CBREのロサンゼルスオフィスでは、他の大手企業に先駆けてキネティック ワークプレイスを構築し、FOX TVで取り上げられるなど、注目を浴びています。
このオフィスでは、すべての社員が自分のデスクに縛られることなく、これから行う仕事に最適な場所を選ぶ自由があり、個人とチームの生産性を最大化させる試みがなされています。2014年4月には、東京のCBRE本社オフィスも同様のコンセプトを取り入れたワークプレイスへ移転予定となっています。
本稿についてのお問い合わせ
シービーアールイー株式会社 本社
オキュパイアーサービス ワークプレイスストラテジー部
奥 錬太郎
Email : Rentaro.Oku@cbre.co.jp