3-1 賃貸借契約
賃貸借契約において重視する項目を、1位から3位まで順位づけしてもらった。内装費や賃料を含む「イニシャル/ランニングコストの掛かり方」の回答数が22件と最も多く、「売上歩合」(14件)、「解約や更新のオプション」(13件)が続いた。「イニシャル/ランニングコストの掛かり方」を重視するリテーラーが多いという結果は、日本の既存店でも同じことが言えそうだ。特に海外での出店では、税金の掛かり方が国によって異なり高額な負担を強いられることもあるため注意が必要となる。
ショッピングセンターでは、「売上歩合」の支払いは必須に近い。海外では出店先のショッピングセンターが運営するEコマースでの売り上げまでもが、歩合の対象となるケースがある(ただし、今回の調査で「オンライン売上に対する歩合賃料の割合」を選んだ回答数は1件にとどまった)。
また、「解約や更新のオプション」は、海外リテーラーが日本に出店する際にも必ずと言っていいほど慎重に検討する項目である。背景には、事業リスクを抑えるため、マーケットが変化した際に店舗戦略を柔軟に変更できるようにしたいという思惑がある。
回答総数では4位だったものの、「看板やファサードデザイン、内装の柔軟性」を重視する点として1位に選んだ回答者数は3番目に多かった。これらの回答者は、出店店舗の形態を訊いた設問では「(商業中心地の)路面店舗」を嗜好している。店舗の作り込みに際し、路面店舗はショッピングセンターよりも自由度が高いことと関連しそうである。
一方、日本のリテールマーケットでは内装工事期間に限定されやすい「フリーレントなどのインセンティブ」は、本アンケートでも1件のみだった。ただし、商習慣が異なる海外では、店舗の開店後のフリーレントが一般的な国や地域もあるため、交渉すべき項目に挙げられるかもしれない。
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