空室率は前期に引き続き低下。 継続賃料の上昇が顕著に。
新築ビルへの旺盛な需要
シービーアールイー(株)の調査による、2019年9月期の広島市内中心部の空室率は2.1%となり、対前期(同年6月期)比1.0ポイントの低下となった。
空室率低下の主な要因は、今年3月末に竣工した「GRANODE(グラノード)広島」の空室消化が進んだことで、市内最大規模の供給面積を誇る同ビルも、竣工後1年足らずで満床となる見込みである。また、10月末に竣工した「新広島ビルディング」もすでに募集を終了しており、新築ビルに 対する旺盛な需要を示している。
移転企業の多くでは、環境改善や立地改善等の前向きな移転需要が見られた。また、BCPや人材募集面から移転を決めた企業もあり、今後も企業のオフィス選定においては、災害対応のビルスペックや規模・グレード、立地等が優先事項となるだろう。
さらなる空室率の低下により、継続賃料の上昇も顕著である。契約更新時の賃料改定では、多くのビルで値上げ要請がある。引き続き賃料相場の上昇が続くことが見込まれるが、来年以降は、一定量の二次空室の発生が予定されており、一部のエリアでは、需給バランスが緩む可能性もある。
今後の新規供給としては、2022年秋に竣工予定の広島東郵便局の建替計画がある。同ビルは、JR広島駅直結のオフィスビルとして非常に注目度が高く、広島駅周辺のオフィス集積度のアップが期待される。
岡山の移転ニーズは停滞
岡山の空室率は、新規開設や拡張移転でエンドが決まっている企業が、数少ない空室に入居したため、前期よりやや低下した。ただし、企業側の需要に合わないビルは、空室のままという状態である。
移転需要の多くは、停滞している。これは、移転を検討する企業の多くが、環境改善や立地改善を移転理由に挙げており、希望に合うビルがない限り移転しないためである。企業によっては、数年かけて移転先を探しているケースも見受けられる。
来年になれば、2021年竣工の「(仮称)杜の街プロジェクト オフィス棟」が、移転先として検討され始めると考えられる。一街区がプロジェクト用地であり、コンセプトの詳細発表と正式募集が待たれるところである。
広島支店 山上 政文 / 越智 昭博
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相場表
種別 | 賃料(共益費込み) | 需給の動向 | 空室率 推移 |
---|---|---|---|
広島駅北 | 11,000円~15,000円/坪 | 新築大型ビルも順調に空室消化が進んでおり、需要に対する受け皿となるビルの選択肢は限定的な状況が続いている。 | |
広島駅南 |
10,000円~14,000円/坪 |
一部、空室が長期化しているビルも見られるが、館内増床や新規開設等、需要は底固い。 | |
八丁堀・紙屋町 | 11,000円~17,000円/坪 | 建築中の新築ビルはすでに募集を終了しており、引き続きテナント需要は堅調。 | |
大手町 | 9,000円~12,000円/坪 | 中心部で空室が少ないことに加え、当エリアの割安な賃料相場から、新規・移転ニーズを吸収している。 | |
岡山桃太郎大通り | 9,500円~12,000円/坪 | 市役所筋で対応できない需要を取り込んで、空室率は低下傾向。 | |
岡山市役所筋 | 10,000円~13,000円/坪 | 現在、ほとんどのビルで空室がない。来年度に向け解約予告の出たビルに、申し込みが入る状況。 | |
広島倉庫・配送センター 市内 |
3,500円~4,400円/坪 | 相変わらず物件不足で、新規空室が出てこない状況。 | |
広島倉庫・配送センター 郊外 |
3,300円~4,100円/坪 | 開発計画のほとんどは大型物件で、最低賃貸区画も大型化してきている。 | |
岡山倉庫・配送センター | 2800円~3,700円/坪 | 大型既存物件の空室は非常に少ない状況が継続。来年完成予定の大型物流施設供給による、二次空室の可能性が出てきた。 |
空室率推移凡例: | 上昇 | やや上昇 | 横ばい | やや低下 | 低下 |
※物件検討時の予算の目安です。詳しくはシービーアールイー(株)社員におたずねください。
文中の空室率については、2014年3月期より、データ算出の対象となるオフィスビルを、原則として延床面積1,000坪以上、かつ新耐震基準に準拠した物件に変更しました。