成約賃料は6期ぶりに上昇。
今後も中央区・博多区で再開発が進む。
空室率は2期連続上昇
シービーアールイー(株)の調査によると、2023年6月期の福岡市主要オフィスエリアの空室率は、対前期(同年3月期)比0.2ポイント上昇の4.8%だった。前期に未成約で竣工した新築物件や、成約率10%以下で竣工した新築物件で、コールセンターの増床・分室や、建て替えに伴う移転企業の成約が続き、空室率は低下傾向が見られた。しかし、新築物件への移転に伴う二次空室の増加や、募集面積3,394坪の「福岡Kスクエア」が、6月に未成約で竣工した影響もあり、全体の空室率はやや上昇となった。
一方、想定成約賃料(共益費込)は対前期比0.1%(20円/坪)上昇の16,050円/坪となった。福岡市が主導する再開発「天神ビッグバン」「博多コネクティッド」により、新築物件の天神地区の募集賃料は28,000~32,000円/坪(共益費込)、博多地区の募集賃料は20,000~24,000円/坪(共益費込)と、高水準が続いている。新築・既存物件を問わず、募集期間が長期化するオフィスを中心に、フリーレント付与など賃貸条件の緩和は進んでいるが、賃料を高水準で維持するオーナーも多く、全体の推定成約賃料はやや上昇した。
移転物件の選定に慎重なテナント
2023年以降も、中央区・博多区ともに再開発が進み、新規供給は2023年が25,000坪、2024年が21,000坪、2025年が19,000坪となっている。依然として、エリアに対する注目度や期待値は高く、新規開発計画が増え続ける見込みとなっている。2014年2月に起工式が行われた「天神ビッグバン」では、耐震性の高い先進的なビルを建設するために、更新期を迎えた旧耐震物件を中心に、建て替えを実施してきた。こうした流れで、「博多コネクティッド」でも、博多駅周辺の旧耐震基準や定期借家契約の物件を中心に、建替計画がより進む見込みとなっている。建て替えに伴う事務所移転を検討する企業にとって、同立地・同価格帯の物件は少なく、月額賃料の大幅なアップは避けられない。リモートワークの活用による必要面積の圧縮や、立地の見直しなど、物件選定に慎重なテナントも多い。
テナントサイドが、オフィスに求めるものは多様化している。今後のさらなるニーズ喚起や、福岡オフィスマーケット全体の活性化に期待したい。
福岡支店 良永 裕一朗
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