大宮駅周辺は依然需給が逼迫。新潟エリアでも需要は堅調に推移。
空室率1%未満が継続
シービーアールイー(株)の調査による2019年3月期のさいたまエリアの空室率は、前期(昨年12月期)から0.1ポイント上昇し、0.4%となった。2年近く空室率が1%を下回る状態が続き、まとまった新規供給がない中で、非常にタイトなマーケットとなっている。
JR大宮駅・さいたま新都心駅周辺は需要が堅調で、成約賃料は緩やかに上昇、入居テナントに値上げの打診を行うオーナーも増加してきた。また新規募集が出ても、解約予告期間内に後継テナントが決定するケースが多く、移転を検討する企業は、意思決定に一層のスピード感が求められている。
北関東では、一部エリアを除き、駅周辺の中・大型ビルの需給はタイトな状況が続いている。各エリアとも、競争力が高い物件には、100坪以上のまとまった空室が非常に少なく、環境改善や拡張等の前向きな移転の受け皿となれるような空室は限定的である。
新規供給で動き出す新潟
新潟エリアでは、新規出店ニーズに加え、再開発を前提とした立ち退きによる需要が発生し、JR新潟駅周辺を中心に空室は減少した。駅周辺の一部の物件では、稼働率上昇に伴い新規募集賃料の見直しを検討するオーナーが出てきている。その一方で、築年数の経った物件や、駅徒歩15分以上の物件は、空室が長期化しているケースもあり、二極化が進んでいる。2020年には「(仮称)マルタケ新潟駅前ビル建替え計画」「古町ルフル」の2棟の新規供給が予定されているが、新潟三越撤退のニュースもある。新築物件のリーシング動向や、その周辺のテナント動向に注視していきたい。
ビル営業本部 志賀 敦
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相場表
種別 | 種別 | 賃料(共益費込み) | 需給の動向 | 空室 率推移 |
---|---|---|---|---|
さいたま市 | 大規模ビル | 19,000~26,000円/坪 | ■大宮エリアでは今期、大規模ビルの空室率が若干上昇したが、1Fの事務所といった特殊な物件が空室として残ったことが主な要因で、通常の事務所区画は空室として表に出る前に成約に至る状況が継続。■さいたま新都心、浦和も主だった物件は前期同様に満室稼働しており、大宮に比べると物件の動きが少ないものの、募集に出ると比較的早期に成約する状況。 | |
中小規模ビル | 13,000~18,000円/坪 | |||
千葉 | 千葉駅 | 8,000~12,000円/坪 | ■千葉駅周辺エリアは空室率低下が継続しており、駅前の一部では満室予定のビルが出てきている。駅前のビルの賃料上昇もあり、駅徒歩10分前後のビルでも空室消化が少しずつ進んでいる。■海浜幕張では一部のビルで館内の大型テナントの増床が続いており、エリア全体の空室率低下の主な要因となっている。また、20~30坪のニーズに応えるため、分割検討を始めたビルもある。■船橋エリアでは新規供給がなく、空室が払底した状態が続いており、一部のビルでは入札形式の募集が行われている。■柏駅周辺エリアも、引き続き空室が非常に少ない状況。解約による供給がほとんどないため、主要なオフィスビルの空室はほぼ消化され、満室稼働のビルが多くなっている。 | |
海浜幕張駅 | 9,000~10,000円/坪 | |||
船橋駅 | 11,000~15,000円/坪 | |||
柏駅 | 13,000~15,000円/坪 | |||
茨城 | 水戸 | 7,500~10,000円/坪 | ■水戸エリアでは需要と供給に大きな変化は見られない。一部の物件で空室の消化が進んだものの、主要ビルでも即入居可能となっている区画を複数抱えているビルが多い状況が続く。■つくばエリアでは、駅前立地の大型ビルや500坪以上の空室を持つビルで、一部区画の空室消化が進んでいる。20~30坪といった小規模テナントも、100坪を超える大型テナントも、選択肢が非常に限られた状態。 | |
つくば | 12,000~15,000円/坪 | |||
群馬 | 高崎 | 8,500~12,500円/坪 | ■高崎エリアは、西口で小規模な空室消化が散見されたものの、今期は大きな動きはなく空室率推移もほぼ横ばい。■前橋エリアは、分室による増床ニーズなどによって一部のビルで空室消化があり、四半期毎に少しずつ空室率が低下してきているが、空室が長期化している物件もあり、引き続き需要は停滞気味と言える。 | |
前橋 | 5,000~8,000円/坪 | |||
栃木 | 8,000~11,000円/坪 | 宇都宮市内では、JR側、東武側を問わず、空室率低下が進む。需要は20~50坪程度が大半であるが、拡張・新規・環境改善など前向きなものが多い。長期化していた70~100坪クラスの空室も徐々に消化傾向にあり、満室稼働の物件が増加してきている。 | ||
新潟 | 8,500~11,000円/坪 | テナント需要が堅調で、エリア全体の空室率は緩やかに低下。特に新潟駅周辺は面積問わず物件が減少してきた。ごく一部ではあるが、空室が少なくなった物件では、募集賃料を見直す動きが出てくる可能性もある。 | ||
長野 | 8,500~11,000円/坪 | 長野駅徒歩圏の物件を中心に、新規出店やビル内増床による成約があり、エリア全体の空室は大きく減少。ただし空室率は依然として高水準で、賃料水準を見直すほどの動きは見られない。 |
空室率推移凡例: | 上昇 | やや上昇 | 横ばい | やや低下 | 低下 |
※物件検討時の予算の目安です。詳しくはシービーアールイー(株)社員におたずねください。
文中の空室率については、2014年3月期より、データ算出の対象となるオフィスビルを、原則として延床面積1,000坪以上、かつ新耐震基準に準拠した物件に変更しました。