テナント需要は依然堅調。想定成約賃料の上昇傾向が続く。
空室率は0.2%まで低下
シービーアールイー(株)の調査による、2019年3月期の福岡主要オフィスゾーンの空室率は、前期(2018年12月期)から0.2ポイント低下し、0.2%となった。1年前の2018年3月期には、数棟の大型空室があったが、テナント需要が変わらず堅調なこともあり、順調に消化された。IT企業を中心とした増床や分室、福岡への新規開設等、新たな空室が発生しないオフィス需要も増え続けている。また、近年は福岡市としてのポテンシャルが注目を浴びており、従業員を多く採用したいコールセンターの新規開設や、既にセンターがあるものの、第2、第3のセンターを開設する需要も増えてきている。天神エリアの再開発による建て替え等の移転も進んでおり、福岡市全体で、引き続き空室率は低下傾向で推移している。移転を検討している企業は、今後も迅速な意思決定が必要になる。
今期の想定成約賃料は、前期から2.6%上昇し、15,190円/坪(共益費込)となった。博多、天神エリアを中心に、想定成約賃料の上昇が見られ、福岡市全体の賃料上昇に大きな影響を与え続けている。空室率低下の影響もあり、 築浅物件や好立地の新規大型空室物件については、エリア相場以上の成約賃料で決まっている事例もある。引き続き、福岡エリア全体の想定成約賃料は、上昇の一途を辿ると予想される。
新築ビル2棟は満室竣工
1月に呉服町エリアで「南日本博多ビル」、3月には天神エリアで「第1明星ビル」と、2019年前半に2棟の新築オフィスビルが竣工した。どちらの物件も、現状では新築物件が少ないこともあり、2018年の早期に全フロア内定となった。現在の好調な市況の影響を受けた物件と言えるだろう。また、2020年春には、博多エリアで「(仮称)九勧博多駅前一丁目ビル」の竣工が予定されている。ワンフロア約320坪、博多駅から徒歩圏内という好立地・好条件が揃っており、福岡のオフィスマーケットに良い影響を与える計画になると予想され、テナントの注目度は高まっている。
ただし、来年も新規供給量は限定的で、受け皿不足を解消するほどではない。そのため、今後も現在の貸し手優位の市況が継続していくと予測される。
福岡支店 羽田 裕太
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相場表
種別 | 賃料(共益費込み) | 需給の動向 | 空室率 推移 |
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博多駅前 | 15,000円~18,000円/坪 | 引き続き、大通り沿いのオフィスを中心に稼働率が高い。新規空室は入札形式での募集も散見され、継続して賃料は上昇傾向。 | |
博多駅東 | 14,000円~16,000円/坪 | 博多駅前エリアの高稼働が影響し、賃料は上昇傾向。大型の空室は博多駅前エリアと同水準で成約する事例も見られるように。 | |
呉服町 | 13,000円~15,000円/坪 | 周辺エリアの賃料上昇の影響で当該エリアにおいても賃料は上昇傾向。割安感から堅調に空室を消化している。 | |
天神 | 17,000円~20,000円/坪 | 再開発の影響が色濃く、需要と供給が乖離した状態が継続している。それに伴い、賃料も上昇が続いている。 | |
赤坂大名 | 12,000円~15,000円/坪 | 隣接する天神エリアと比較して割安感があるものの、解約が少なく、移転動向は停滞。新規募集を中心に賃料は上昇傾向。 | |
北九州小倉 | 8,000円~10,000円/坪 | オフィス需要が少ないため新築予定ビルの募集は難航中。今後も横ばいの見通し。 | |
中・大型倉庫 市内 |
2,800円~3,200円/坪 | 大型マルチ倉庫および中型倉庫の供給は、引き続き品薄感が続いている。ニーズは大型・中型ともに堅調。 |
空室率推移凡例: | 上昇 | やや上昇 | 横ばい | やや低下 | 低下 |
※物件検討時の予算の目安です。詳しくはシービーアールイー(株)社員におたずねください。
文中の空室率については、2014年3月期より、データ算出の対象となるオフィスビルを、原則として延床面積1,000坪以上、かつ新耐震基準に準拠した物件に変更しました。