広島:空室率は過去最低の1%台へ。広島駅周辺の今後に高まる期待。
増額改定交渉の増加
シービーアールイー(株)の調査による、2019年12月期の広島市内中心部の空室率は1.9%と、対前期(同年9月期)比0.2ポイントの低下となり、調査開始以来、最低の水準となった。2019年に竣工した2棟の新築ビルが順調に空室を消化したことが、低下の要因となっている。ただし、今年に入り、新築ビルに移転した企業の移転元が新規空室として顕在化したり、一部企業の集約移転で新規空室も出てくることから、この低水準は一過性のものと推測される。
継続賃料については、これまで増額改定交渉を実施していなかったビルでも賃料改定の協議が見受けられるようになった。今後予想される需給バランスや経済情勢の変動予測が、その動きに拍車をかけたと考えられる。
2020年以降の広島は、JR広島駅周辺を中心に、再開発や区画整理によって大きく変貌する可能性がある。2022年秋竣工予定の広島東郵便局建替計画のほか、広島駅ビル建て替え、路面電車の2階部分への高架乗り入れ事業を主とした広島駅南口エリアの開発も、2025年春の開業予定として計画されている。また、紙屋町・八丁堀エリアでも、市営基町駐車場周辺一帯の再開発計画の検討が進められている。自社ビルの建て替えも相次いでおり、これらの開発による経済効果に期待したい。
岡山:一時的に空室が出るも即座に消化。オーナーも焦らず好条件テナントを待つ気配。
供給の少ない岡山マーケット
岡山の中心オフィスエリアは、引き続き空室が少なく、今年竣工するビルもないため、空室率の変動は少ないと考えられる。最近の市場の特徴の一つとして、旧耐震ビルでも大通りに面し岡山駅から徒歩圏内のビルは、ほぼ満室で稼働していることが挙げられる。岡山は災害が少ない街と言われており、水害はあるものの活断層がないため大地震発生のリスクは低い。仮に発生しても、震度は低いと考えられている。ただし、避難路に指定されている市役所筋や桃太郎大通り沿いの、旧耐震ビルの耐震診断の報告期限は今年度中。稼働率の高い旧耐震ビルでも、耐震基準をクリアしていない場合、将来を考える時期に来ている。
また岡山市は、県庁通りの1車線化を実施する。県庁通りは避難路に指定されていないが、旧耐震ビルが散見されるため、これを機に建て替えが進むことに期待したい。投資(税金投入)に対する、リターン(建て替え・安全)の考え方が必要であろう。
広島支店 辻﨑 寛人 / 越智 昭博
- 現在募集中の広島県の賃貸オフィス
- 現在募集中の岡山県の賃貸オフィス
相場表
種別 | 賃料(共益費込み) | 需給の動向 | 空室率 推移 |
---|---|---|---|
広島駅北 | 10,000円~15,000円/坪 | 昨年竣工の新築大型ビルもほぼ満室の状態。一部空室予定は見られるも、現空室は少ない。 | |
広島駅南 |
10,000円~14,000円/坪 |
空室消化が続いていたが、今後、新規空室が出る予定が複数あり。需要は堅調。 | |
八丁堀・紙屋町 | 11,000円~17,000円/坪 | ハイグレードビルを中心に、空室率は低水準で推移。成約賃料も上昇傾向にある。 | |
大手町 | 9,000円~12,000円/坪 | 他エリアでの空室減少の影響を受けてニーズを取り込み、空室率は低下。ただし、賃料上昇への影響は少ない。 | |
岡山桃太郎大通り | 9,500円~12,000円/坪 | 貸し止めのビルが市場に出て一時的に空室率が上昇するも、すぐにテナントが決定した。 | |
岡山市役所筋 | 10,000円~13,000円/坪 | 解約予告期間中に後継テナントが決定する状況。一部空室のあるビルも、経済条件の合うテナントを待っている気配。 | |
広島倉庫・配送センター 市内 |
3,500円~4,400円/坪 | 新築、既存、面積の大小にかかわらず、空室の予定が見えない。 | |
広島倉庫・配送センター 郊外 |
3,300円~4,100円/坪 | 今春にランプウェイ自走式で最小区画約1,000坪の新築倉庫が竣工する。テナントの動きが活発化するかもしれない。 | |
岡山倉庫・配送センター | 2800円~3,800円/坪 | 依然、中・大型賃貸物流物件の空室の発生がほとんどない状況。それにより賃料の変動もなく、相場は高止まり傾向にある。 |
空室率推移凡例: | 上昇 | やや上昇 | 横ばい | やや低下 | 低下 |
※物件検討時の予算の目安です。詳しくはシービーアールイー(株)社員におたずねください。
文中の空室率については、2014年3月期より、データ算出の対象となるオフィスビルを、原則として延床面積1,000坪以上、かつ新耐震基準に準拠した物件に変更しました。