オフィスと物流施設、変わる拠点戦略! 2つの老舗企業の勝算とは?
大企業による不動産売却が増えている。 2021年度の不動産売却企業数は、リーマンショック以降、最も多く、不動産譲渡差益は2001年以降、最高値を記録した。
また、それを後押しするかのように、日本の不動産に対する国内外からの投資意欲は引き続き旺盛である。
ここでは、先行きの見えない時期だからこそ、マーケットに近づくことを選択し、郊外の本社ビルを売却、都心部の賃貸オフィスへ移転したみちのくコカ・コーラボトリングと、その旧本社所在地を取得し、「物流の2024年問題」への対応として、東北最大のマルチテナント型物流施設の開発を決めた物流不動産会社大手のプロロジスに、その拠点戦略と今後の展望を訊いた。
業績にかかわらず、大企業の不動産売却は増加傾向
東京商工リサーチの調査によると、2021年度に不動産売却を開示した東証1部、2部上場企業は、 87社で3年連続増加し、不動産の譲渡益と譲渡損の差額はプラス5,267億9,200万円で3年連続増加、差額は2001年度以降では最大を記録した。
不動産を売却した87社について、直近の決算で最終利益が赤字だったのは15社(構成比17.2%)にとどまり、前年度の30社(同39.4%)から22.2ポイント減と大きく減少した。長引くコロナ禍で、企業の不動産所有に対する認識が変化しており、業績にかかわらず、資産効率を高め、キャッシュポジションに余裕を持つ動きが定着してきたと見られる。
日本の不動産の魅力は3年連続1位、国内投資家の投資意欲は非常に旺盛
CBREの調査によると、日本の不動産投資市場に対する海外投資家の関心は依然として高く、アジア太平洋地域のもっとも魅力的な都市として、東京が3年連続で1位となった。今回初めて、日本の地方都市が8位にランクインしたほか、大阪も10位に入った。
また、日本の投資家の意欲も旺盛で、2022年の取得額が「昨年より増加する」と回答した日本の投資家の割合は54%で、2020年12月に実施された前回の調査結果に比べて10ポイント増加。これは2015年12月以降に実施された7回の調査の中で最も高い割合となった。