店舗の総面積
まず、銀座・心斎橋それぞれのエリアにおいて、特に繁華性が高いとCBREが選定したハイストリートにある路面店舗の店舗総面積を推計した。銀座では約29,000坪(対象212店舗)となり、これは2010年9月に増床した「銀座三越(売場面積:約9,400坪)」の約3.1倍に相当する。丸の内/大手町エリアのグレードAオフィスの貸室総面積と比べると、10分の1程度の規模だ。
一方の心斎橋は約23,000坪(対象199店舗)と、ハイストリートのマーケットサイズは銀座の80%程度ということが分かった。2015年12月に営業を終了し、建て替え工事に入った「大丸心斎橋店本館(売場面積:約9,380坪)」の約2.5倍だ。梅田エリアのグレードAオフィスの貸室総面積と比べると、4分の1程度の規模である。
グレードAオフィスの貸室総面積は、集計をはじめた2005年から右肩上がりで増加している。再開発が進むことで、1棟あたりのオフィスビルが大型化するためだ。2002年に施行された都市再生特別措置法をはじめとして、都市の国際競争力の強化という観点から大型開発を促進する制度が設けられてきた。その結果、2016年のグレードAオフィスの貸室総面積は、2005年と比較して90%増となっている。2020年には、東京のグレードAオフィスだけでも貸室面積が約70万坪増える予定だ。しかし、リテールの路面店舗では、主要マーケットのハイストリートが限定的であるため、オフィスのように飛躍的に面積が増えることがない。そのため、希少性の高さがうかがえる。
店舗の面積帯
対象のハイストリートに路面店舗を出店する1テナントあたりの店舗面積を推計した。銀座で一番多い面積帯
(件数ベース)は「50坪未満」で、全体の37%を占めた。中央通りの路面店舗に「50坪未満」の区画が最も多く、そのうち約6割は5丁目から8丁目の間であった。また、「100坪未満」の路面店舗が全体の約6割、「200坪未満」の店舗面積が全体の約8割を占めることが分かった。大規模小売店舗立地法を届け出ていると推測する店舗面積1,000平方メートル(約300坪)を超える店舗面積は、15%以下だった。
心斎橋で一番多い面積帯も、やはり「50坪未満」の39%で銀座よりも2ポイント高かった。特に心斎橋筋商店街に「50坪未満」の店舗面積が集中しており、全体の7割を超えていた。「100坪未満」の路面店舗が全体の約7割、「200坪未満」の店舗面積が全体の8割を超えることが分かった。大規模小売店舗立地法を届け出ていると推測する店舗面積は、5%以下にとどまっている。
両エリアに共通するのは、昔から商売をしている老舗店舗が散見されることだ。個人事業主やそれに近い小規模企業が経営する店舗としては、「50坪未満」の大きさが相応しいことが推察される。近年は老舗店舗の数が減少し、海外ブランドが銀座や心斎橋に大型店を出店するケースも散見されているが、エリア全体でとらえるとその割合はまだ低い。
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