大型築浅ビルの空室消化が進み、空室率は6%台まで低下。
商業地の基準地価上昇
今年9月に発表された大阪府の基準地価は、商業地が2年連続で上昇、住宅地は横ばいとなった。商業地の上昇率は2.2%と、東京都に次ぐ2位。市区町村別の上昇率では、北区が8.5%と最高で、次いで福島区が8.2%。商業地の上昇率で、全国の上位10地点中4地点が大阪市内という結果となっている。
今回初めて調査地点となった、昨年春竣工のグランフロント大阪は、価格が950万円/㎡となり、7年連続1位であった大阪第一生命ビル856万円/㎡を抜いた。北区梅田の2棟に続く3位は、中央区の御堂筋センタービルの335万円/㎡であった。景況感の改善と金融緩和を背景に、REITの動きが活発化していることが、商業地の地価上昇に影響を与えていると考えられる。
グレードA·B共に成約賃料上昇
2014年9月期の大阪市全体の空室率は、対前期(同年6月期)比0.7ポイント低下の6.8%となり、6期連続の低下となった。内訳は、グレードAビルが対前期比1.2ポイント低下し8.2%、グレードBビルが対前期比0.4ポイント低下し5.2%であった。想定成約賃料(共益費を含む)については、グレードAビルが前期から200円上がり19,200円/坪、グレードBビルは、前期から100円上がり10,650円/坪となった。
市況の実感としては、新大阪と梅田~本町の大型築浅ビルでの空室消化が進んでいる。人員増による面積不足での拡張移転、BCPに対応するため、古いビルから大型築浅物件への移転、採用活動での有意性を考え、駅近物件への移転等が目立つ。今後もまだ、この動きは続くと考えられる。
2015年春、北区で2棟のオフィスビルが竣工を迎える。堂島のランドマークとなる「新ダイビル」(総貸室面積約12,700坪)、東梅田駅直結の「清和梅田ビル」(総貸室面積約4,053坪)である。どちらも高い耐震性能と、非常時のテナントへの電源供給等、BCP対策に力を入れている点が特徴である。
中央区では、2015年に中型ビルが2棟竣工予定である。また、自社ビル2棟が竣工予定で、企業が仮移転していた先のビルが大きく空室として供給される予定であり、その貸室総面積は10,000坪超にもなる。加えて、それ以外にも本町から堂島へ大型移転する企業もあり、中央区については、2015年後半頃から、空室率が反転する可能性が高いと思われる。
関西支社 福本正広
- 現在募集中の大阪府の賃貸オフィス
相場表
種別 | 賃料(共益費込) | 需給の動向 | 空室率 推移 |
---|---|---|---|
梅田 大規模ビル |
18,000~25,000 円/坪 | 大型新築ビル、既存ハイグレードビルについては空室消化の傾向にあり、賃料は持ち直してきている。 | |
梅田 中小規模ビル |
10,000~15,000 円/坪 | 利便性・グレードにより空室率低下の傾向に差が生じている。小規模区画については、引き続き引き合いがあり動きは速い。 | |
淀屋橋・本町 大規模ビル |
14,000~17,000 円/坪 | 一時的に空室消化の傾向にあるが、地域をまたいだ動きにより市況の完全復調には至っていない。相場は横ばい。 | |
淀屋橋・本町 中小規模ビル |
9,000~11,000 円/坪 | マーケット内の動きは活発だが、競合物件が多いため、市況は横ばい状態。 | |
難波・心斎橋 大規模ビル |
10,000~13,000 円/坪 | 商業色が強いエリアのため、事務所需要については活発な動きは見受けられず、空室率低下に至っていない。 | |
難波・心斎橋 中小規模ビル |
7,000~9,000 円/坪 | 商業色が強いエリアのため、立地・視認性が良いビルは来店型事務所の需要が増加。空室を解消しているビルも見受けられる。 | |
周辺都市 大規模ビル |
8,000~10,000 円/坪 | 都市によっては検討されるエリアもあるが、全体としては空室を解消するまでに至っていない。 | |
周辺都市 中小規模ビル |
6,000~8,000 円/坪 | 需要は少なく、依然空室を解消するに至っていない。 | |
事務所兼倉庫 市内・北摂・東大 |
3,500~6,000 円/坪 | 新規開設や拡張の需要が増えてきている状況。最寄駅徒歩圏内の物件の空室消化に要する期間は短い。 | |
倉庫・配送センター 郊外 |
3,200~4,000 円/坪 | 拡張や拠点統合等、面積が大型化するケースが増えてきている。空室の減少に伴い、成約賃料が上昇する傾向にある。 |
空室率推移凡例: | 上昇 | やや上昇 | 横ばい | やや低下 | 低下 |
※物件検討時の予算の目安です。詳しくはシービーアールイー㈱社員におたずねください。
文中の空室率については、2014年3月期より、データ算出の対象となるオフィスビルを、原則として延床面積1,000坪以上、かつ新耐震基準に準拠した物件に変更しました。