空室率は横ばいで推移するも、需要は前向きな動きが継続。
新規供給に高まる需要
当社調査による、2016年12月期の広島市内中心部の空室率は3.3%と、前期(同年9月期)と同水準となった。昨夏リニューアルオープンした「おりづるタワー」の空室が順調に消化されたものの、同面積帯の空室が顕在化したため、横ばいで推移したと考えられる。
テナント需要としては、立ち退き移転でのニーズが一段落したものの、引き続き新規出店や拡張移転が数多く見られ、ハイグレードビルをはじめとする主要ビルの空室率は、依然低い状況である。新規成約賃料は上昇傾向にあり、継続賃料の増額改定も頻繁に見られるようになってきた。テナント目線で捉えると、今後も厳しいマーケットが続くと思われるが、賃料面に限っては、適正な相場帯に戻りつつあると言えるだろう。
供給面では、前述の「おりづるタワー」のほか、11月竣工予定の「スタートラム広島」の注目度も高く、検討企業は確実に増加している。今後は、新築ビルへ移転する企業の二次空室も、注視する必要がありそうだ。また、JR広島駅北口の「広島二葉の里プロジェクト」も、2019年春の竣工に向け本格的に建設工事がスタートしており、動向が注目される。昨年、広島県が「企業人材転入制度」を新設したが、今期はこの助成を利用した企業進出も見られた。このような制度を活用することで、今後、新たなイノベーションが創出されることにも期待したい。
岡山の空室率は引き続き低下
岡山の空室率は引き続き低下傾向にある。特に今期は、新年度を見据えた館内増床や新設需要により、空室が消化された。一方、年度の節目に合わせて解約予告の出たビルもあり、市場には動きが出始めている。賃料は上昇傾向にあるが、テナント側は他都市のマーケットと比較して物件を選定するため、高額賃料物件はやはり敬遠される傾向が見られる。
供給面では、しばらくはオフィスビルの新築計画はない。先日発表のあった「駅前町一丁目再開発」もホテル・マンション・駐車場で、低層階に商業店舗が計画されている。
岡山市は、市街地の活性化策として、県庁通りの一車線化や西川緑道公園筋の歩行者天国の事業化を調整している。オフィスワーカー増加による市街地活性策として、ビルの容積率緩和や補助金の施策にも期待したい。
広島支店 辻﨑 寛人・越智 昭博
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相場表
種別 | 賃料(共益費込) | 需給の動向 | 空室率 推移 |
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広島駅北 | 9,000~11,000 円/坪 |
小中規模の需要が多数を占める。空室は引き続き少ない。
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広島駅南 | 9,000~12,000 円/坪 | 空室は依然少ない状況。広島駅前再開発物件も高稼働。 | |
八丁堀・紙屋町 | 10,000~13,000 円/坪 |
需要は旺盛だが、中型・大型とも空室は少ない。新規成約賃料は、上昇傾向にある。
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大手町 | 9,000~12,000 円/坪 |
紙屋町エリアと比較して割安感があるため、空室消化が加速。築浅物件はほとんど空室がない状況。
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岡山桃太郎大通り | 8,500~12,000 円/坪 |
市役所筋エリアでは物件の選択肢が少なく、桃太郎大通りエリアに需要が流れている状況。
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岡山市役所筋 | 9,000~13,000 円/坪 |
新規開設や館内増床などで、空室は引き続き少ない。
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広島倉庫・配送センター 市内 |
3,500~4,400 円/坪 |
空室が減り、比較検討できる選択肢が少なくなってきている。物件確保には、判断基準を明確にして即断が必要。
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広島倉庫・配送センター 郊外 |
3,000~4,000 円/坪 |
大型既存物件の空室はほとんどなく、戸建倉庫も少ない。新築計画も少なく、物件確保には時間を要する。
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岡山倉庫・配送センター | 2,500~3,500 円/坪 |
大型既存物件の空室は減少傾向にある。建築中や開発予定案件への引き合いも増加傾向にある。
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空室率推移凡例: | 上昇 | やや上昇 | 横ばい | やや低下 | 低下 |
※物件検討時の予算の目安です。詳しくはシービーアールイー(株)社員におたずねください。
文中の空室率については、2014年3月期より、データ算出の対象となるオフィスビルを、原則として延床面積1,000坪以上、かつ新耐震基準に準拠した物件に変更しました。