全体的に空室率は上昇傾向。グレードAへの需要鈍化が継続。
名古屋東の空室率大幅上昇
CBREの調査による、2022年9月期の名古屋オールグレードの空室率は、前期(同年6月期)から0.4ポイント上昇し、5.8%となった。今期は、新規供給物件はなかったものの、オフィスの集約や使用面積の一部減床による面積の見直しにより、募集区画が増えたことが、空室率上昇の主な要因と考えられる。一方で、館内増床や立地改善目的の移転など、ポジティブな理由による空室消化も見られた。
グレード別に見ると、グレードAの空室率は、対前期比0.5ポイント上昇し8.5%。想定成約賃料は、対前期比-0.9%の26,800円/坪となった。引き続き引き合いが鈍い状況が続いており、空室を抱える高価格帯のビルを中心に、募集賃料の調整を柔軟に行い、テナント誘致を目指す動きも見られた。
グレードBの空室率は、対前期比0.5ポイント上昇し5.1%。想定成約賃料は、前期と同じ14,300円/坪となった。グレードBでは、立地改善による移転や、建替物件からの移転案件などで、空室消化が進んだ物件があるなか、自社ビル建設による短期利用区画や、拠点集約の解約に伴う大型募集区画が発生し、空室率が上昇した。当然ながら、グレードBはグレードAに比べ総じて賃料水準が低く、郊外からの立地改善やグレードア ップ、建て替えに伴う移転などのニーズが引き続き見られる。
エリア別の空室率で今期最も動きがあったのは、対前期比1.4ポイント上昇した「名古屋東」エリアである。企業の拠点集約によって発生した、大型空室区画が主な上昇要因である。空室消化に向けて、立ち退きに伴うオフィス移転案件を取り込むなど、一部埋め戻しを行っている。
オフィススペースの見直しが増加
各企業で、オフィススペースの見直しを行うケースが増えている。今後の拡張性を見越して、大型スペースを借りるより、分割対応可能な柔軟性の高い物件を選定する企業も多い。また、空室率の上昇に伴い、以前よりも物件の選択肢が増えている。さらにオーナ ーサイドも、一部貸室をセットア ップオフィスにするなど、空室消化に向けた動きが見られている。
名古屋では、2023年7月の「中日ビル」竣工まで、新規供給に伴う空室率の上昇は小さいものと考えられる。グレードA、グレードBの既存物件の空室消化が、今後の空室率変動の鍵となろう。
名古屋支店 岩城 和利
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